世界史(4.現代)の世界観です。
イギリスとフランスは、文明化と科学技術力の発展に伴う、とても強大な覇権の力を持つようになりました。世界各地に植民地を作り、富と奴隷を得て、優れた法制度や技術力を海外に伝える「文明化」の側面を持ちました。
これに対して、ドイツやイタリアは遅れをとり、結果、二度の世界大戦では、アメリカ・イギリス・フランスを中心とする「持てる者」と、ドイツ・イタリア・日本を中心とする「持たざる者」の間で、とても強力な近代兵器を使った「総力戦」の戦争を行いました。
後日注記:二度の世界大戦は、持てるものと持たざるものの戦いです。持てるものであるアメリカ・イギリス・フランスと、持たざるものであるドイツ・イタリア・日本、そして両者にとって重要な国であるロシア(ソ連)が、今までの戦争よりも大きな破壊力を持つ「近代兵器」で戦いました。
ドイツやイタリアでは、民族主義的で、民主主義的な統一運動が生まれました。
人物 | 説明 |
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ビスマルク | ドイツ帝国の宰相。ドイツを上から統一した。 |
ヴィルヘルム一世 | ドイツ帝国の皇帝。ビスマルクとともにドイツを統一した。 |
ガリバルディと青年イタリア(赤シャツ隊) | イタリアの革命家。 自分が得た地域を国王に献上することで、イタリアの統一を成し遂げた。 |
後日注記:長い間分裂国家だったドイツとイタリアは統一し、イギリスやフランスに比するほどの力をつけていきます。また、彼らとの重要なパートナーとして、アジアで力をつけた日本が台頭します。
資本主義が行き着いた先は、植民地の搾取で儲ける、政府の国防軍と植民地会社による、帝国主義でした。世界分割で、どんどん世界中が植民地になっていきました。
人物 | 説明 |
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世界分割とアフリカの植民地化 | イギリスやフランスは世界中を植民地にした。 わずか十年たらずの間にアフリカ全土はほとんどがヨーロッパの占領下になって、植民地となった。 |
後日注記:資本帝国主義は、「持てるもの」が行き着いた最終形態のようなものです。アフリカやアジアなどさまざまな地域を植民地にし、植民地の住民は文字通りの「奴隷」となり、イギリスやフランスの富は莫大になります。
アフリカも参照のこと。
マルクスが共産主義を唱えました。
行き過ぎた資本主義は、供給過剰によって失業者を生み出し、それをコントロールする国営の共産主義社会が生産力の向上によって訪れ、革命によって搾取はなくなるとされました。
産業革命による工場の労働と、帝国主義による搾取と植民地による奴隷化のアンチテーゼとして、共産主義は世界に広まっていきました。
人物 | 説明 |
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マルクスとエンゲルス | 共産主義を唱えたドイツの哲学者。 |
後日注記:共産主義の台頭について、「行き過ぎた資本主義と産業革命による社会の変貌により、労働者は平等を求めるようになった」ということが言えます。多数の労働者は、工場で何時間も働かされているのに、一部の資本家や権力者だけが何もせずに搾取によって儲けており、生産手段を独占し労働者を疎外しています。このような社会に対して、「いずれ必ず生産過多によって資本帝国主義は滅びる」とマルクスは唱え、「万国の労働者団結せよ」と唱えて、全員に平等に資産が行きわたるとされる社会主義経済を革命によって実現すべきだと訴えました。
マルクスを参照のこと。
第一次世界大戦は、帝国主義(専制主義)と民主主義の戦いでした。
第一次世界大戦では、それまでと違う高度化された兵器による戦争を行いました。
国家としては、イギリス、フランス、ロシアなどとドイツ、オーストリアなどとの戦争でした。
人物 | 説明 |
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ヴィルヘルム二世 | 第一次世界大戦の時代のドイツの皇帝。 |
ワイマール共和国 | ドイツが敗北し、多額の賠償権を背負って設立した新しい左翼的民主主義のドイツ。 だが、最も民主的な憲法と言われた社会民主主義的な「ワイマール憲法」を裁定していた。 |
後日注記:第一次世界大戦は専制主義と民主主義の戦いです。帝国主義陣営と民主主義陣営の自由をめぐる戦いが、世界大戦に発展しました。この戦争でドイツは負け、ドイツは多額の賠償金を背負って左派民主主義国家へと転換します。
レーニンの率いるボリシェビキによるロシア革命によって、ロシア帝国は滅亡し、ソビエト連邦になりました。
人物 | 説明 |
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レーニン | ロシア革命の革命家。 |
スターリン | ソ連の指導者。 |
トロツキー | ボリシェビキの革命家で有力者だったがスターリンの刺客に暗殺された。 |
後日注記:レーニンの目指すソ連は、「生産手段が国有化された平等なソビエト評議会体制の共同体を軸とする連邦」でした。しかしながら、ロシア革命によって実際に生まれたソ連は、強制的に農作物を徴収する「独裁権力」の国家になります。また、レーニンの後継者であるスターリンは革命政権を存続させるため、自分に反対する意見を持つ人民を密告によって逮捕し、強制収容所に送りながら、かつての盟友であっても関係なく政敵を粛清しました。
ロシアを参照のこと。
ドイツは、第一次世界大戦で敗北したことで、多額の賠償金を背負って何も出来なくなりました。
民族主義と戦争に訴えるファシズムが広まりました。
ドイツ人はヒトラーのような独裁者に希望の目を向けました。
人物 | 説明 |
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ヒトラー | ナチス・ドイツの独裁者。 ドイツ国民を騙してユダヤ人を虐殺し、自分たちに権力を集中させて戦争へと向かわせた。 だが、国民の支持率はとても高かった。 |
ゲッベルス | ヒトラーの協力者であり、ナチス・ドイツのプロパガンダ政策を行った。 |
ヒムラー | ナチスのヒトラー側近。 |
ムッソリーニ | イタリアのファシズムの指導者。 |
後日注記:戦争に負けたドイツは、賠償金を背負いながら左派民主主義国家となりますが、「賠償金を払うためにどんどん紙幣を刷る」ということがハイパーインフレを引き起こし、インフレが「ユダヤ人が悪い」という陰謀論に繋がって、反ユダヤ主義のナチス・ドイツとなり、第二次世界大戦へと突き進んでいきます。
ナチス・ドイツを参照のこと。
1920~1930年代に起きた世界恐慌。ニューヨーク株式市場の大暴落から端を発して、世界恐慌へと発展しました。
アメリカ・イギリス・フランスのような「持てる国」よりも、ドイツ・イタリア・日本のような「持たざる国」が大きな損害を被りました。
特に、第一次世界大戦で負けたドイツは、ハイパーインフレと共産主義・ロシア革命と世界恐慌の三重苦となり、ファシズムの台頭を許します。ヒトラーは「すべての元凶はユダヤである」というユダヤ陰謀論を述べ、ナチス・ドイツが政権を取ります。
(世界の歴史がわかる本<帝国主義時代~現代>篇を参考にして執筆しました。)
2024.01.18
第二次世界大戦は、民主主義・社会主義とファシズムの戦いでした。日本やドイツやイタリアは、持たざる国として、持てる国であるイギリス・フランス・アメリカ・ロシアなどと戦いました。
ナチス・ドイツはソ連に敗北し、戦勝国による分割から西ドイツと東ドイツに分断されました。アメリカは日本に核兵器を落としました。
人物 | 説明 |
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ルーズベルト | 第二次世界大戦の時代のアメリカの大統領。 |
トルーマン | 広島と長崎に原爆を落としたアメリカの大統領。 |
チャーチル | 第二次世界大戦の時代のイギリスの首相。 |
後日注記:第二次世界大戦は、社会主義とファシズムの戦いです。ロシア革命で生まれたソ連に対してナチス・ドイツは「生存圏の拡大」のために侵攻を行います。日本はドイツ・イタリアと同盟を組み、日本は主にアメリカ、ドイツは主にソ連と戦いますが、アメリカ・ソ連の勝利に終わります。この結果、ドイツは東ドイツと西ドイツに分断され、日本は戦後民主主義国家になります。
太平洋戦争も参照のこと。
第二次世界大戦が終わって、アジア・アフリカ・中南米などの諸国では民族運動が盛んとなり、多くの国がヨーロッパ列強の植民地支配から独立しました。
項目・人物 | 説明 |
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インドとパキスタン | 1947年、戦後のヒンドゥー教徒・イスラム教徒による独立運動によって、 イギリスからインドとパキスタンの二国として分離独立。 |
中華人民共和国 | 1949年、毛沢東の共産党によって成立。アジア諸国の独立に影響を与えた。 |
アフリカの年 | 1960年、アフリカで多くの国が独立。 |
アパルトヘイト | 南アフリカの人種差別政策。 |
マンデラ | 南アフリカの反人種差別主義の黒人大統領。 |
キューバ革命 | キューバにおける反アメリカ・反資本主義の社会主義革命。 |
(世界の歴史がわかる本<帝国主義時代~現代>篇を参考にして執筆しました。)
インド、中国史・モンゴル史、アフリカ、スペイン・中南米も参照のこと。
2024.01.18-19
戦後の社会は、共産主義陣営と資本主義陣営が冷たい戦争を行いました。アメリカとソ連は武器を提供し、犠牲者は現地のアジアなどの国の国民でした。
アメリカとソ連は対立し、軍拡競争を行いました。アメリカが原爆や水爆を作ると、あとを追うようにソ連が核兵器を作り、両国は世界を何度でも滅亡させるほどの出来るほどの核兵器を生み出し、また核実験を何度も繰り返しました。
日本史(戦後時代)も参照のこと。
戦後は、資本主義的な発展による、「第二次(また第三次以降)産業革命」が起きます。社会はどんどん発展し、できることが増えていきます。
ですが、人間は力を持ちすぎたため、核兵器を大量に作り、環境を破壊し、「キューバ危機」のような一歩間違えれば核兵器で人類が滅びるような危機を迎えました。
後日注記:戦後の国際社会は、アメリカとソ連という二大超大国が巨大な力を持つに至った。アメリカが広島・長崎に原爆を落としたのを皮切りに、アメリカとソ連は核兵器を大量に作り、核実験を繰り返した。
核エネルギーや宇宙ロケット・ミサイルも参照のこと。
経済発展によって、ものが増えました。
民衆は、大金持ちのような豊かな生活を享受できるようになりました。
機械の発展は目覚ましく、テレビや自動車など、さまざまな文明的機械を持つことで、奴隷は要らなくなり、人々は中世の貴族よりも豊かな生活が出来るようになりました。
後日注記:戦後の国際社会は、経済や技術という意味で大発展をした。ドイツの発明である自動車やコンピュータ、あるいはその他の工業製品などの科学技術の進歩により、人々の生活水準は大きく高まる。だが、そうした経済的進歩を享受していたのは主に資本主義の西側諸国であり、ソ連や東ドイツなど社会主義の東側諸国は経済的・文化的な遅れがはっきりと明確になる。
ソ連がなくなったことによって、冷戦はアメリカが勝つ形で終わりました。
後日注記:ソ連崩壊によってソ連はなくなり、ロシアになった上で旧ソ連の構成国はそれぞれの主権国家(CISの構成国家)に独立した。また、同時期にドイツ再統一が起きている。冷戦の象徴だったベルリンの壁は壊され、東ドイツと西ドイツは再統一された。
平成も参照のこと。
冷戦とはなんだったのか。それは「アメリカとソ連の代理戦争」ということです。
冷戦において、アメリカとソ連は、自らの国で犠牲者を出しません。犠牲者を出すのは、アメリカやソ連から武器を買い、親アメリカ派と親ロシア派に分かれて戦う、アジアなどの後進国の住人です。
アメリカとソ連が勢力争いをしているにもかかわらず、アメリカやソ連の国民は犠牲者を出さず、アジアなどの後進国で内戦に巻き込まれた人々が多大な犠牲者を出す、これが冷戦の特徴です。
ソ連崩壊により、冷戦は終結しましたが、今でも、アメリカとロシアの代理戦争は各地で見られます。
たとえば、シリア内戦は、アサド大統領と反政府勢力が戦っていますが、実際はアメリカとロシアの代理戦争です。犠牲となるのはシリア国民です。
今起きようとしている、ロシアとウクライナの戦争も同じです。犠牲となるのはウクライナ国民です。
ですが、悪いのはすべてロシアです。第二次世界大戦の戦勝国が、アメリカ・イギリス・フランスのような、自由民主主義の国家だけであれば、世界は平和になっていたかもしれません。ですが、第二次世界大戦の戦勝国として、共産主義国家の悪の帝国であるソ連が存在したために、こうなることは歴史の必然だったと言えます。
ロシアがなぜ冷戦をするのか、そしてなぜ核兵器を何千発も持っているのか、それは世界革命がしたいからです。かつてのロシア革命やソビエト連邦が目指した理想を実現するために、ロシア以外のすべての国に核兵器を落とし、地球すべての王国を滅ぼし、「世界革命」を実現して、世界すべてを共産主義の支配下に置くために、地球を滅亡させるよりもはるかに多くの核兵器を保有し、西側諸国がロシアの支配下にあって滅亡していくように導いているのです。
新しい社会基盤として、コンピュータとIT(情報技術)が出現しました。
人間は、コンピュータのようなIT技術による「超先進文明」を作りました。
これ以降は未来の話になるため、IT社会を参照してください。
戦争について、国と国の軍事力のぶつかり合いとか、勢力争いであると、わたしたちは学んでいます。
ですが、戦争については、その裏側にある「経済」について考えなければいけません。
経済とは、要するに「お金」のことであり、ある意味では「資源や領土争い」も含まれます。
たとえば、なぜ、イギリスやフランスは、世界各地に植民地を作ったのに、ドイツはそれをしなかったのか。
これは、イギリスやフランスが「持てる国」、すなわち経済力のある国だから、必ずしも割に合うとは言えない、植民地経営に乗り出すことができたのです。
ドイツやイタリアは、ヨーロッパの大国とは言え、経済的には小国、すなわち「持たざる国」だったのです。
また、政治体制や国家の統一状況にも左右されます。
イギリスやフランスは、キリスト教の信仰を中心とした「帝国」を元にしており、多くの国土が統一されていました。
それに比べて、ドイツやイタリアは当時は「分裂国家」であり、「王侯貴族の小国の自由な同盟」のようなものでした。
なので、イギリスやフランスは、早い時期から、大西洋を越えて海外領土の獲得に乗り出しました。
そして、ドイツやイタリアは、統一がなされた時点でイギリスやフランスと戦争するに至ります。
ここまでが、第一次世界大戦です。
ですが、第一次世界大戦でドイツが負けて、ドイツは多額の賠償金を支払わなければならなくなり、ハイパーインフレに突入し、ユダヤの陰謀論が巻き起こって、ファシズムによる第二次世界大戦に突入します。
ここでも、ドイツの経済が困窮したという意味で、「経済」が戦争の動機になっています。
世界大戦が終わっても、戦争と経済が切り離されたわけではありません。新しい社会主義の連邦国家であるソ連と、アメリカは冷戦の時代を迎え、核兵器を大量に作り出します。
ここでも、戦争の動機付けとなるのは経済です。経済的に遅れているソ連は、なんとしてでもアメリカに「経済的に勝つため」に、核兵器を作りまくって、アメリカに「こちらは地球を滅ぼせるほどの軍事力があるのだから言うことを聞け」と、脅しのようなことをしてアメリカを揺さぶったのです。
戦争の歴史は常に経済の歴史です。背後にある経済的な関係を見なければ、真の意味で戦争の原因を考えることはできないのです。
2023.08.31
2015-06-23に関連する内容があります。
現代については以下の書籍が参考になります。