西ドイツの世界観です。ドイツ史の世界観も参照のこと。
東ドイツがとても悪い国に見えるのは、逆に「西ドイツが良すぎたから」だと思います。
第二次世界大戦後、西ドイツは、奇跡のような大復活を遂げました。
これは、日本が戦後、「みんなで頑張って奇跡のような復興を遂げた」のとよく似ています。ドイツと日本がともに戦前の「持たざる国」であり、そして「日独伊三国同盟」でありながら「敗戦国」であることも似ていますが、日本とドイツという国はそれ以上に大復活の奇跡を遂げました。
この鍵となるのは、当時の「外貨を稼ぐための輸出産業」、すなわち自動車です。ドイツはヒトラーがポルシェ博士に作らせたフォルクスワーゲンのビートル(カブトムシのこと)と呼ばれる自動車を、経済発展のための重要な産業と位置付けて、アメリカのフォードが始めた「大量生産」のモデルのもとに、作りまくって売りまくったのです。
また、ヒトラーはホロコーストで、あまりに多くの人を殺しすぎました。明らかに間違った国であったということを自覚したドイツは、「ひとりの独裁者に支配されない分権主義の国」、すなわちドイツ連邦共和国を形成しました。これは西ドイツの基本法とともに、西ドイツのそれ以後の信念となりました。「もう絶対にひとりの独裁者には騙されない」とするドイツは、ナチの敬礼を禁止し、学校でもハイルに見える手のあげ方をせず、人差し指を指して手をあげます。ドイツの学校では、第二次世界大戦の時のドイツの過ちを教えることをとても重要視しており、「みんなでナチの克服をする」という大きな反省点があるとしているのでしょう。
そのように、西ドイツは「もう絶対にナチには騙されない」と強く決心したのです。どんなに世界で極右のポピュリストが台頭したとしても、ドイツ人だけはもう一度騙されることはないでしょう。
西ドイツと東ドイツは、1989-1990年、ちょうど僕の生まれてすぐの頃に、ベルリンの壁を壊して再統一しました。ソ連のペレストロイカの時期も同時期です。
僕はドイツの常識についてよく知らないため、ここから先の記述は間違いかもしれません。
僕は、西ドイツが成功した理由は、「みんなでヒトラーと同じことを自由にやったから」だと思います。
ナチス・ドイツが、独裁者によるたったひとりの政治をしたことを、西ドイツは反省しました。
西ドイツの反省とは、「絶対にひとりだけに権限が集中しないようにすること」です。
そのために、西ドイツでは、帝国を否定し、徹底した分権主義と連邦制度が取られるようになりました。
そのように、政治的には、西ドイツはファシズムから民主主義へと転換したと言えます。
ですが、経済的にはどうでしょうか。
事実、ドイツにはマイスター制度があり、必ずしもそうとは言えないかもしれませんが、僕は資本主義の金儲けの会社という単位で、「ヒトラーと同じことをみんなでやった」ということが、西ドイツの奇跡のような経済復活に言えると思います。
そう、ナチス・ドイツで「ヒトラーだけが絶大な権力を持つ」という制度を反省して、「今度はひとりではなくたくさんの人間がヒトラーをやる」ということを推し進めたのではないでしょうか。
そう、ドイツの復活は、ナチス・ドイツが失敗で西ドイツが成功であると簡単には言えません。西ドイツの前身にはナチス・ドイツがあるのです。
2023.08.23
西ドイツの特徴がもしあるとしたら、「世界で一番自由な国」だと思います。
西ドイツは自由です。ロックンロールやヘヴィメタルのようなポピュラー音楽、ハンバーガーショップのような飲食店、フォルクスワーゲンのような自動車産業、それから性風俗・ポルノ産業まで、あらゆるすべてが自由です。
東ドイツのほうが悪い国だと言われることが多い東西ドイツですが、東ドイツの市民がその自由さに面食らってしまうほど、西ドイツはすべてが自由すぎます。
東ドイツを「社会主義に洗脳されている」と言うのであれば、西ドイツは「自由に開放されすぎている」と言えるのです。
今のドイツは、社会民主党とキリスト教民主同盟が二大政党となっていますが、このどちらも「自由な解放」を信じる政党であり、ドイツはまさに「解放主義の国」であると言えるでしょう。
2023.08.23
ドイツ史についてはドイツ史を参照のこと。
東ドイツを参照のこと。