イギリス経験論の創始者。
ベーコン。
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自分の書いたブログ「わたしの名はフレイ」2020/09/07より。
ベーコンは、イギリス経験論の哲学者。
近代の哲学では、「経験論と合理論の対立」ということが起きており、主にイギリスを主とする「イギリス経験論」と、フランス、オランダ、ドイツなどの大陸を主とする「大陸合理論」がどちらが正しいかで争いをしていた。
合理論では、「人間の数学的知性からものごとは経験がなくても考えられる」とするが、経験論では、「人間は経験から分かったことしか考えられない」とする。
ベーコンは経験論の創始者と言える人物で、人間が持っている経験的な思い込み(イドラ)を4つのイドラとし、
「人間であることによる思い込み」
「経験に由来する思い込み」
「伝聞による思い込み」
「権威による思い込み」とした。
ベーコンは、数学的な理性で考える「演繹法」に対して、経験的にそれが何なのかを知っていく、と言う「帰納法」を唱えました。
数学的な理性から真理を分かるのではなく、自らの経験から経験的に分かっていく、とした考え方です。また、さまざまな原理や法則を経験的に分かっていくことで、人間社会は進歩していきます。
ベーコンは、人間の持っている思い込みを4つのイドラに分け、
イドラ | 説明 |
---|---|
種族のイドラ | 生物種としての人間(人間であること)に由来する思い込み。 |
洞窟のイドラ | 自分自身の経験に由来する思い込み。 |
市場のイドラ | 誰かから聞いた伝聞に由来する思い込み。 |
劇場のイドラ | 思想家や学者のような権威に由来する思い込み。 |
としました。
近代哲学では、認識論を巡って経験論と呼ばれる「理性は経験から得られるものしか得られない」という立場と、合理論と呼ばれる「理性は経験からではなく推論的に、純粋な数学的理性として得られる」という立場に分裂し、哲学上の争いがあった。
経験論哲学は「イギリス経験論」として知られ、イギリスの哲学として発展した。イギリス経験論はベーコンによって創始され、ロック、ヒューム、バークリなどが続いた。
これに対し、合理論は「大陸合理論」として知られ、近代哲学の父とされるデカルト(フランス人)や、スピノザ(オランダ人)やライプニッツ(ドイツ人)などが中心となって発展した。
また、カントは経験論と合理論を統合し、ドイツ観念論哲学を批判哲学として創始した。ヘーゲルはこのドイツ観念論を体系的にまとめ、近代哲学の完成者とされている。
また、ヘーゲル批判者としてキルケゴールが実存主義を創始した。
区分け | 人物 |
---|---|
イギリス経験論 | ベーコン、ロック、ヒューム、バークリ |
大陸合理論 | デカルト、スピノザ、ライプニッツ、マルブランシュ |
ドイツ観念論 | カント、フィヒテ、シェリング、ヘーゲル |
実存主義 | キルケゴール、サルトル、ハイデガー、ヤスパース |
後日注記:イギリスを中心とする経験論は、個別的で感性的なものでした。これに対して、フランスなどの大陸を中心とする合理論は、普遍的で理性的なものでした。この二つの両者を統合するものとして、ドイツの古典哲学が生まれます。ライプニッツやカントにより、経験主義と理性主義は統合されます。当時はまだドイツという統一国家はなかったため、この「調停的で融和した新しい哲学」だけが、ドイツにおける「文化的ナショナリズム」に成り得ました。すなわち、イギリス経験論と大陸合理論の融和こそが、ドイツ哲学の始まりとなったのです。詳しくは「ドイツ古典哲学 (文庫クセジュ)」が参考になります。
デカルト、スピノザ、ライプニッツ、ロック、ヒューム、ルソー、カント、フィヒテ・シェリング、ヘーゲル、キルケゴール、ヤスパース、ハイデガー、サルトルも参照のこと。
2025.10.18編集
“知は力だ。”―ベーコン
ベーコンは、イギリス経験論を創始し、帰納的考え方(経験からその事実と法則に収束していくこと)を提唱しました。
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