Officeソフトウェアの世界観。
MicrosoftのOfficeスイート。事実上の一強であり、アメリカや日本から世界中に至るまで、ほとんど全世界で標準。
文書形式が独自のものになることから、別のオープンソースのOfficeなどは全く太刀打ちできていない。
MS-Officeについての詳細は、MS-Officeを参照のこと。
それでも、LibreOfficeやGNOME Office/Calligra Suiteなど、さまざまなオープンソースのOfficeが「打倒MS」を目指して頑張っている。
だが、なかなかうまくは行っていない。その理由として、WindowsにはOfficeがプリインストールされており、「MS-Officeというお金を出して買ったOfficeを、無料の粗悪なOfficeと取り換えたくない」という発想がある。Windowsに最初から入っているOfficeは、Linux+LibreOfficeの環境になると使えなくなる。これは、「無料のものを与えましょう」と言って、すでにある有料のMS-Officeを奪っていく行為に等しい。MS-Officeよりも優れた製品でなければ、導入するメリットがない。そして、MS-Office標準の今のビジネス社会では、それを実現するのは難しい。
良くオープンソースのOfficeとしてMS-Officeと引き合いに出されるLibreOfficeですが、使い方やインターフェース、機能の在りかが全く違います。
LinuxにはEmacsやプレーンテキストを操作するコマンドがあるので、LibreOfficeを使おうとする頻度は少ないかもしれませんが、LibreOfficeを使おうと思った時に、きっとMS-Officeにあった機能がどこにあるのかを探すことになると思います。
一応、ヘルプ的なものは以下にあります。日本語にも訳されているようです。
LibreOfficeも参照のこと。
GNOMEのOfficeソフトウェア。LibreOfficeより軽快指向なところがある。
アプリケーション | 説明 |
---|---|
AbiWord | ワープロ |
Evince | 文書ビューア |
Evolution | グループウェア・メールクライアント |
Gnumeric | 表計算 |
Inkscape | ベクター系ドローソフト |
Ease | プレゼンテーション |
GNOME-DB | データベース |
GNOMEアプリケーションも参照のこと。
KDEのOfficeソフトウェア。
アプリケーション | 説明 |
---|---|
Words (KWord) | ワープロ |
Tables (KSpread) | 表計算 |
Stage (KPresenter) | プレゼンテーション |
Flow (Kivio) | フローチャート編集 |
Karbon14 | 画像編集(ベクター) |
Krita | 画像編集(ラスター) |
Kugar & KChart | グラフ描画 |
KFormula | 数式の編集 |
Kexi | データベース |
Plan (KPlato) | プロジェクト管理 |
KDEアプリケーションも参照のこと。
一太郎・Lotus 1-2-3を参照のこと。
中国のキングソフトが開発するOfficeソフトウェア。
GoogleによるOfficeソフトウェア。Webアプリケーションとして動作するのが特徴。Googleを参照のこと。
TeXはマークアップによる文書整形システムですが、MS-Officeと負けず劣らず優秀です。数式を表示するのにも使えますが、レポートや出版物の作成にも使えます。
最近はMS-Officeでも数式が編集できるようになりましたが、MathJaxでも見られるように、TeXのマークアップ記法は数式の表現としては事実上の標準です。Wikipediaで数式を書く際などにも、TeXの記法を用います。
TeXを参照のこと。
PDFを参照のこと。
LinuxでもLibreOfficeを使うことで、ワードのようなワードプロセッサーを使うことができる。MS-Office互換であるため、Word形式の文章も読み書きできる。LibreOfficeはPDFによる書き出しにも対応しているほか、LibreOfficeが採用している標準規格のOpenDocument Formatは、他のオープンソースソフトウェア(GNOMEやKDEのオフィススイートなど)からも読み書きできる。
また、Linuxを使うのであれば、マークアップ形式の「TeX」を使うことで、Wordとは比較にならない(と一部では言われている)ほどの高品質な、出版物クラスの出力を得られる。数式やレポートなどの作成に強い。だが、この場合TeXの記法を覚える必要がある。TeXは「\」で始まるコマンドで、マークアップ形式でドキュメントを編集する。
ただし、Linuxの欠点は、標準で搭載しているフォントが少ないこと。Windowsのように、高品質な日本語のフォントがあまり用意されていない。英語なら少しはフォントがある。この場合、インターネット上からダウンロードできるフリーフォントを使うこともできる。
LibreOffice、TeX、Linuxフォントなどを参照のこと。
Linuxは標準的ではないOSであるため、使う際にはWindowsよりも多くのコストがかかるかもしれない。だが、無料でオープンソースで開発されており、Mozillaと同様に「どこかの1つの営利企業の金儲けのためのソフトウェアではない」という強みがある。また、無料であることは、公共の役所などではコストの削減に繋がる。他のフリーソフトウェアやフリーウェアと同様に、インターネットからダウンロードして気軽に試すことができ、要らなくなったら削除できるという「手軽さ」もあるし、LinuxでもWindowsと同じことをやりたいのであれば、「OSの全てのコンポーネントがオープンソースかつ無料」というのは大きな強みである。それに、Linuxにはさまざまなコマンドや高機能なテキストエディタが揃っている。viやEmacsと併用することもできるだろう。Microsoft製品は、OSやOfficeぐらいではあまり高価という印象を受けないかもしれないが、Visual Studioやアンチウイルスソフトウェア、あるいはAdobe製品のようなものを使おうとすると途端に金がかかる。Linuxでは、そういうものはWindowsとは同様に動くわけではないものの、オープンソースな代替の製品がある(gcc, ClamAV, あるいはGIMPやInkscapeなど)。良く「使えない」とは言われるが、ApacheやPHPなどのサーバーソフトウェアの分野では、いちいち再起動が必要でGUIが統合された、ごてごてしたWindowsよりはシンプルである。それら全てが無料であることは、大きなメリットではないかと思う。
後日注記:特に大企業などでは、数十から数百まで、とても多くの単位でMS製品を購入しなければならない。同じことができるのであればLinuxとLibreOfficeを使うことも十分選択肢になり得るし、LinuxにしなくてもWindowsでLibreOfficeを使うこともできる。だが、使い方の違いには覚悟しておくこと。本当に機能も違うし操作するためのメニューの在り処なども全部違う。注意されたい。だが、導入を実験するためにはコストはかからない。単にWindowsマシンにLibreOfficeをダウンロード・インストールして、不要なら削除すれば良い。
僕の母親が小学校の教師だった時代、まだワードやエクセルはありませんでした。当時の母親が通信やプリントなどを作る際に使っていたのは、ワープロと呼ばれる準コンピュータのような専用機械と、イラストのカット集でした。
ワードやエクセルが無かった時代、人々はどうやってプリントを作っていたのか?
僕の子供時代、僕の母親は小学校の教師をしていて、学級の通信やプリントなどは、WindowsやIBM PCの前のワープロと呼ばれる機械を使っていた。
ワープロは専用の文章だけを作る機械で、キーボード配列は良く似ていたが、白黒で、内蔵のプリンターで印刷するのも遅い。そして、図やイラストを載せるために、イラストがプリントされたカット集を使って、コピー機でコピーし、それをノリとはさみでプリントした原稿用紙に張り付けてプリントを作っていた。
それが教師以外の現場でも普通だったのかは定かではないが、今の自分の家にはたくさんの季節に合わせたカット集の本がある。
また、運動会の練習などで、体操の振り付けを母親と一緒に体操しながら覚えていた。家で母親が体操の振り付けをするのと同時に僕が体操し、一緒になって振り付けを覚えていた。そこで音楽を再生するのに使っていたのは、ラジカセとテープだった。そして、それをダビングして再生していた。
そういうわけで、ワードとエクセル、そしてCDによる音楽プレイヤーがない時代、人々はワープロとカット集とラジカセとテープを使っていた。そういう世界に戻っても、きっと何とかはなるだろう。