科学者・科学史の世界観です。
子供たちが、理系の科学や数学をつまらないと思うのは、教えていることが、知性しか使わない数学の上に、知性をまったく使わない科学が立脚しているからです。
子供たちは、中学校に入ることで、はじめて科学の世界に足を踏み入れます。中学の数学は、知性を使った「考える数学」です。小学校で算術と幾何学を習った子供たちが、はじめて代数や方程式、解析幾何学を学び、「数学とは考えること、知性を使うことだ」と信じます。
ですが、子供たちが高校に入ると、その世界は一変します。高校の数学や物理学は、知性ではなく、計算に根ざしています。知性を使うものだったはずの数学が、逆に原理原則に従って計算するだけのものになり、「知性はまったく不必要」になってしまいます。
このような中で、子供たちは考えることをやめ、逆に科学者や教師の教える「知識」を単に覚えて暗記するようになります。つまらない化学や生物や地学の知識だけではなく、数学や物理においても、自分の頭で考えようとせず、単に押し付けられたものをそのまま受け入れるだけになってしまいます。
ですが、このような、「知性を使うように見えてまったく知性を使わない科学」という先入観は、歴史という視点に立って、科学史を知ると、真の科学の面白さを知ることができます。
科学史という言葉が意味するところは、「科学者や数学者が、かつてどのようなことを考え、提唱してきたか」ということです。
たとえば、コペルニクスが地動説を唱え、ガリレオやケプラーが地動説を支持し、またデカルトがそれまでは別々だった算術と幾何学を解析幾何学として統合し、同時にデカルト座標や慣性の法則などを原理化しました。
そして、ニュートンは万有引力を唱え、古典力学や微分積分学を創始して、宇宙の秩序を完璧に説明しました。
それ以後も、ファラデーとマクスウェルの電磁気学から、電磁波は光であるということ、そして電磁場や磁力線の存在があることが発見され、そこから生まれた疑問をアインシュタインが統合的に解決して継承し、特殊相対性理論と一般相対性理論によって、ニュートン力学で説明されてきた多くのことを覆し、宇宙の多くのことを解明しました。
同時に、現代物理学のもうひとつの軸である量子力学がプランクやシュレーディンガーによって生まれ、統計力学の方法を活用して熱力学やエントロピーの世界が広がっていきます。
このような「科学革命以後」の科学史には、ほかにもたくさんの科学者の知恵と努力の結晶がつまっています。このような「科学史」を知ることで、数学や物理学の「真の面白さ」が分かります。高校の科学がつまらなくて物足りない高校生には、ぜひ、科学史を学んでみてほしいと思います。
力学、電磁気学、熱力学、ニュートンとアインシュタイン、相対性理論、量子力学、地動説、デカルトも参照のこと。
科学者になるために必要なのは、疑問に思うことと、好奇心です。
特に、科学者は、「当たり前であること」をそのまま受け入れず、疑うことから発見が生まれます。
たとえば、「星空のそれぞれの星が動くとしたら、なぜ星空はいっぺんに動くのだろう」というところから、「回っているのは地球の方なのだ」というコペルニクスの地動説は生まれました。
また、「地球にものが落ちるとしたら、なぜ太陽や月は地球に落ちないのだろう」ということから、ニュートンの万有引力は発見されました。
このように、自らの力で仮説を立て、真実を知るために実証することが科学者にとっての才能です。
また、同時に、好奇心を持つことです。科学者の多くのモチベーションは好奇心、すなわち「新しいものや真実の世界を知りたい」という好奇心です。これが、自分なりの哲学体系を打ち立てたデカルトやカントのような哲学者に繋がるのです。
決して、科学者は疑問に思うだけで信じないわけではありません。自分で実験してみて、分からないところはもっとやり方を試しながら、それでも「それはそうではないか」ということを信じて、「その結果が明らかになったとしたら、この仮説は本当はそういうことなのだ」ということを「自分の力で発見する力」、それが科学者の力です。
ある意味、社会や宇宙の「矛盾」を疑問に思う人の方が、科学者には向いています。ですから、学校で素直に全てのことを信じて受け入れる人よりも、学校の環境を拒絶し、自分の力で考えようとする人間の方が科学者には向いているのです。学校の問題はそこにあります。学校を受け入れすぎると、数学の計算はできるようになりますが、「自分の力で考える力が失われてしまう」のです。
ニュートンとコペルニクスについて、詳しくは以下の書籍が参考になります。
科学者になりたいのであれば、仮説を立てて実験してみましょう。
たとえば、心についての仮説を立ててみます。「人々が不幸になっているのは自由が足りないからではないか」ということを考え、その仮説に従って実証しようとするのです。
さまざまな場所で人々に関わり、自分の考えたことについて話したり、自分の考え方がもし正しければどうなるかを考えて、人々とふれあい、時に利用し、時に参加することで、その心理学についての仮説が正しいかどうか分かります。
必要なのは、宇宙と人々をよく観察し、さまざまな必要な行為を積極的に行う力です。また、自分の経験から新しい方向性を見出して、自分のすべきことに応じて積極的に行動していく力が科学者には求められます。
心理学について言えば、たとえば「不安があるから人は悪いことをする」のであれば、「不安のない環境では、不安のある環境に比べて、人々はどんなことをするか」のような実験心理学を行うことで、人々の心の振る舞いと成り立ちを知ることができます。「集団に置かれた時に人々は間違った行為をする」とか、「自分ひとりでは気付くべきことに気付けない」といったことも同様に証明できます。
コペルニクスは、地動説を提唱し、宇宙が回っているのではなく、地球が回っているのだと発見した。
ニュートンは、万有引力を発見して、物体が「どのように動くか」だけではなく、「何故そのように動くのか」を解明し、宇宙の秩序を力学的に説明した。
(ソフィーの世界を参考に執筆しました。)
ルネサンスから17世紀の時代、ヨーロッパでは「実験や観察といった経験的な手法から宇宙のことを分かる」という新しい時代の科学者たちによる科学の発展を生み出した。
これは、デカルトなどに端を発する「科学革命」の時代であり、ヨーロッパではコペルニクス、ケプラー、ガリレオ、ニュートンなど、さまざまな科学者が、ルネサンスの美術や彫刻などの「新しい人間中心主義」とともに(あるいはその後に)、科学の大発展を生み出した。
イギリスでは、市民革命や産業革命になぞらえて、この時代の科学者のことを「17世紀の科学革命」と呼ぶ。
また、「第二次科学革命」として、蒸気機関などの発明が社会に与えた影響から、18世紀の科学者たちの科学的進歩を「18世紀の科学革命」と呼ぶこともある。
(理科に詳しい父親の話を参考にしています。)
エジソンは発明家として知られているが、子供のごろから変わり者で、「先生、1+1=2はおかしいじゃないですか」などと算数の先生に行ったり、列車の仕事では「何も仕事が無い間好きなことをしてもいいんですか」などと許可を得て列車の中に実験室を作ったりと、とても風変りだが科学への情熱の溢れた人間だった。
彼の発明は蓄音機から始まり、電球(実際にはジョゼフ・スワンが発明したらしい)、映画、電話、発電機などどんどん発明し、そのたびに会社を作って、巨大なエジソン・ゼネラル・エレクトリック会社(現ゼネラル・エレクトリック社)を作り上げた。
蓄音機や電話は、音を「波」であるとし、「波を再現すれば音を現実に残せないか」と考えたもの。蓄音機はレコードの中に波を保存し、電話は波を受け取って遠隔で再現する。また映画は写真のフィルムを一秒間に何十枚も撮影・投影させるというとても機械的な発明。また発電機については「ひとつの巨大な発電施設から人々の家庭に電気を送る」というもので、エジソンが白熱電球を電灯照明とともに考えていたことの表れである。
有名な格言は「発明は99%の努力と1%のひらめきから生まれる」。
後日注記:エジソンは、いわば、自然界と機械の間で、物理法則を変換することが得意だったと言える。エジソンの発明は多くがなんらかの物理法則を用いながら、自然と機械の間で物理法則の変換をすることで成り立っている。
科学の偉人については以下の書籍が参考になります。
以下は上記書籍を参考に執筆しました。
名前 | 説明 |
---|---|
コペルニクス | 地動説の提唱者。 |
ガリレオ・ガリレイ | コペルニクスの地動説を実証した。 |
ニュートン | 万有引力の法則を発見し、微分積分法を作った。 |
ケプラー | 惑星運動についてのケプラーの法則を発見した。 |
ボイル | 気体の体積と圧力についてのボイルの法則を発見した。 |
リンネ | 植物分類学の基礎を作った。 |
ホイットニー | 綿織り機を発明した。 |
ワット | 蒸気機関を実用化した。 |
ダーウィン | 進化論の提唱者。 |
コッホ | 細菌学の基礎を作った。 |
エジソン | 発明王。 |
ライト兄弟 | 飛行機を発明した。 |
ランケ | ドイツの歴史家。 |
ファラデー | 電磁誘導を発見。 |
マイヤー | エネルギー保存の法則を発見。 |
ヘルムホルツ | マイヤーとともにエネルギー保存の法則を発見。 |
フーコー | 振り子の公開実験で名を知られている。 |
メンデル | 遺伝についてのメンデルの法則を発見。 |
パストゥール | 細菌学の研究に貢献。 |
ノーベル | ノーベル賞を作った。 |
レントゲン | X線を発見した。 |
モールス | モールス信号を発明した。 |
マルコーニ | 無線通信装置の開発者。 |
ニコラ・テスラ | エジソンに対して交流発電の優位性を主張した。 |
ディーゼル | ディーゼル・エンジンを開発した。 |
ダイムラー | ドイツでガソリン四輪自動車を発明した。 |
ベンツ | 実用的なガソリン三輪車を発明した。 |
ツェッペリン | 飛行船を発明した。 |
エッフェル | パリにエッフェル塔を建設。 |
アインシュタイン | 相対性理論の提唱者。 |
ハッブル | 宇宙膨張論「ハッブルの法則」を発見した。 |
フォン・ノイマン | 計算機理論の創始者。 |
シートン | 動物記の著作者。 |
ガリレオやケプラーのような物理学者は、なぜそこまで「正しさ」を重視するのでしょうか。
その理由は、キリスト教の聖書が影響しています。
ガリレオやケプラーは、有名な宗教裁判で、当時のキリスト教の考え方に反対するようなこと(コペルニクスの死後に発表した地動説)を主張しました。
ガリレオやケプラーにとって、聖書は「嘘ばかり書かれているもの」であり、「宇宙には神にも分からないような美しい秩序や法則が存在する」ということを信じていました。
彼ら、ガリレオやケプラーにとって、正しいのは「聖書ではなく物理学」だったのです。宗教裁判でも、「聖書と物理学のどちらが正しいのか」ということをめぐって、まさに命がけでガリレオやケプラーは「正しさ」のためにキリスト教の旧来の考え方と戦っていたのです。
そのような結果、現代の科学者は「正しさ」というものを重視するようになりました。経験的に一見正しく見えても、それが正しいとは言えません。数学的に証明され、実験から再現性が確認された時点で、その仮説は定理や定説となって「正しい」と言えます。物理学では、必ずそのような「正しさの証明」というプロセスを経て、自らの意見や理論を主張しなければなりません。
そのような「正しさ」を重視する理由は、キリスト教の聖書が「嘘ばかり書かれた間違った聖典」だと、ガリレオやケプラーが主張したためなのです。
2024.05.05