ニュートンとアインシュタインの世界観です。
物理に詳しい父親の話を参考にしています。
この宇宙において、物体がある場所から別の場所へと移動することを「運動」と呼びます。
ニュートンの古典力学では、この「運動」を考えます。
ある位置Aから別の位置Bに物体が移動した際、AとBの間の三次元座標的な長さを「距離」と呼びます。
また、AからBまでの移動の際にかかった経過時間のことを「時間」と呼びます。
そして、距離を時間で割った値、すなわち、(単位が秒であれば)一秒にどれくらいの距離進んだか、という時間ごとの距離の変化率のことを「速度」と呼びます。
距離l、時間s、速度vにおいて、
\[v=\frac{l}{s}\]
が成り立ちます。
速度が常に一定である場合、この単純な式だけで構いません。時速80kmで走る自動車が、常に時速80kmのまま速度が変わらないのであれば、10時間進んだとしたら800km進むだろうと、即座に計算できます。
これを「等速度」あるいは「定速度」などと言います。
ですが、途中で加速する場合は、加速度\(\alpha\)を考える必要があります。
加速度とは、速度を時間で割ったものです。すなわち、時間ごとの速度の変化率のことです。要するに、速度が上がったり下がったりした場合に、その速度がどのように上がったのか、下がったのかという、上がり方のことです。
加速度\(\alpha\)は、力Fに比例し、質量mに反比例します。すなわち、
\[\alpha=\frac{F}{m}\]
が成り立ちます。
たとえば、F1のスポーツカーなどは、車体を軽くしてエンジンを大きく強くすることで、エネルギーが少なくても、できるだけ高速の車体を作ろうとします。質量が少ないほうが、加速度が大きくなるからです。
ただし、重量級の車のように、大きな質量をもった物体は、同じ80km/hで走っていても、物体の持つエネルギーは大きくなります。これは、エネルギー保存の法則があるからです。多くのエネルギーを加えた物体は、それだけ多くのエネルギーを内部に保持しているので、同じ80km/hで走っていても、重量級の車のほうが、ぶつかった時にかかるエネルギーは大きくなります。
加速度の例として、たとえば、10秒間運動した物体が、最初は秒速5メートルだったが、最後は秒速10メートルだったとします。
この場合、まず、10-5=5m/sを出し、この5を10sで割り、\(0.5m/s^2\)が加速度となります。
このような計算を行う場合、単位を揃えることが重要です。たとえば、先の自動車の例で、時速80km、すなわち80km/hを使いましたが、今の物体では秒速10メートル、すなわち10m/sを使いました。
このように単位を複数使うと、計算する時に計算しなおさなくてはならないですし、表記にも複雑性が伴います。
そのため、物理学では、質量を表すのにグラム(g)、距離を表すのにメートル(m)、時間を表すのに秒(s)という単位を使うことが一般的です。
このようにすることで、加速度は\(m/s^2\)という単位で表現できます。
なので、単位を表す時には、最初から秒とメートルを使って、「秒速何メートル」と表すようにしましょう。
運動を考える際において、物理学では、静止している状態(止まっている)と、等速度で運動している状態(加速度が0の状態)を同じであると考えます。
これは、たとえば、自動車が同じ速度で動いている時に、窓を見えなくすると、人間には速度を感知する知覚がないため、動いているのか止まっているのか分からない状態になります。
エレベーターに乗っている時なども同じで、等速で運動していると、人間は、動いているのか止まっているのか分かりません。
アインシュタインの相対性理論などでも、静止している状態と等速で動いている状態は同じものとして扱われます。その理由は、「本当に静止しているのか知ることができない」からです。
今の物理学では、絶対座標というものはありません。座標は、それぞれの慣性座標系の中に存在します。すなわち、飛行機の座標は飛行機の慣性座標系として扱われます。
なので、地球における運動は、地球の中での慣性座標系として扱われます。
ですが、宇宙においては、地球の中で停止している物体がたとえあったとしても、その物体は地球の中で停止しているのであり、宇宙から見ると、まったく停止しているとは言えません。
物体は、地球と一緒に等速運動しているのであり、停止しているわけではないのです。
また、無重力は、人工的に作り出すことができます。加速度が0の状態を作ればいいからです。
たとえば、飛行機を高い高度から落としたとします。この場合、外から見て飛行機は落ちていますが、内部の人は飛行機と同じ速度で落ちているため、無重力状態となります。
エレベーターを真下に落とした場合にも、同じことが起きます。
このため、宇宙飛行士になるための訓練などで、無重力状態を体験するためには、このような状況を人工的に作り出して訓練を行います。
このようなニュートン力学を踏まえた上で、アインシュタインの相対性理論において触れておきましょう。
アインシュタインの相対性理論は、特殊相対性理論と一般相対性理論に分かれており、特殊相対性理論は「等速運動の場合」、一般相対性理論は「加速運動の場合」を記述します。
まず、光の速度に近い速度で物体が運動した場合、時間の流れ方が遅くなります。
これは、外側から見れば通常の時間で流れているにもかかわらず、光の速度に近づくと、内部の時間は遅くなるということです。
もし、光の速度よりも遅かった場合、その中で運動する物体の速度は、単に外側の物体の速度に内部の速度を加えればいいのですが、光の速度に近い場合、光の速度よりも移動することはできない(宇宙において光の速度は不変であり、それ以上速く移動することはできない)ため、内部の時間の経過の仕方が遅くなるのです。
また、空間は重力場によってねじまがります。ニュートン力学やユークリッド幾何学では、空間は絶対であり、平行が交わることはないとされていました。ですが、アインシュタインの理論では、空間は重力場によってねじまがります。地球という重力場の影響を太陽と地球ぐらいしか受けない世界では、あまりこのことが意味を成すことはないかもしれませんが、宇宙においては、大きな質量を持つ物体の周りの空間は、その物体の重力場によってねじまがるのです。
このことは、太陽の周りの光の進み方などを観測することで、太陽の周りの空間で光がまっすぐに進まないこと、すなわち重力場によって空間が曲がっていることを観測することができます。
相対性理論を参照のこと。
重力加速度とは、重力において物体が受ける加速度のことです。
実際、アインシュタインの理論により、ニュートン力学が間違っていることは分かりましたが、それでも、ニュートン力学が使えないわけではありません。
多くの場合、アインシュタインの理論を持ち出さなくても、ニュートン力学だけで、地球の周辺のほとんどの現象は説明することができます。
重力加速度は、物体が運動する際に、どれくらいの運動や力のエネルギー量がその物体にかかるのかを計算するために使います。
たとえば、水力発電所などで、多くの位置エネルギーを持つ高い場所から水を落とした際にどれくらいの力がタービンにかかるか、あるいは宇宙ロケットを飛ばす際にどれくらいのエネルギーが必要か、と言った場合に、地球の重力加速度を使って計算することができます。
僕個人の感想として、時間と速さは四次元的な単位だと思います。
時間の存在しない静止した宇宙がもしあるとしたら、座標は三次元のx, y, zだけで構いません。
ですが、運動を考えるという際には、その座標が別の座標に「移動する」ということを考えなければなりません。
この移動こそが、時間であると考えることができます。
また、座標の移動距離と、その経過時間を考える際に、速度を使います。これは「三次元と四次元の世界を変換する」という単位であると考えられます。
上で説明したように、宇宙の法則を考える上では、ニュートンにおいてもアインシュタインにおいても、「速度」と「加速度」がキーポイントとなります。
これは、「宇宙の法則は速度と加速度を使って書く」と言えるでしょう。
この宇宙の諸現象は、速度と加速度の言葉を使って書くことで、正しく書き表すことができるのです。