Adobe Illustratorの世界観F(写真)。
以下の内容は、僕自身がデザインの作業所で見習いとして学び経験したことに基づきます。書いている当時がとても未熟であったため、誤解や勘違いが多くあります。
作業所の同僚やスタッフにも多くのことを教えていただきました。
写真を拡大・縮小する時は、縦横比が変わらないようにしましょう。Shiftキーを押しながら拡大・縮小することで、縦横比を維持したまま写真の大きさを変えられます。
写真に白縁を線でつけている場合は、環境設定の「線幅・効果も拡大・縮小する」にチェックが入っているかを確認しましょう。チェックが入っていると、線幅が変わってしまいます。
写真は、出来るだけ埋め込みではなくリンクで配置するようにしましょう。埋め込みにすると、ファイルサイズが大きくなります。写真を配置する前に、Photoshopで写真をepsデータにしてください。特に、写真の解像度を大きくし、印刷媒体の時はモードをCMYKにしましょう。写真のサイズ以上に写真を拡大すると、写真が荒くなります。出来るだけ、配置して使う時よりも大きなサイズの写真を使うようにしましょう。埋め込みとリンクの設定や写真の拡大比率などは、リンクパネルから確認することが出来ます。
写真を一部だけ拡大して同じ大きさにするなど、拡大と同時にトリミングをしたい場合は、クリッピングマスクを使いましょう。四角形で切り抜くだけではなく、角丸四角形や円で写真を切り抜くこともできます。回転と組み合わせることで、写真に動きを付けることが出来ます。ドロップシャドウを付ける時は、クリッピングマスクと同じ大きさの四角形を背面コピーで作り、それにシャドウをつけてグループ化してください。
写真に対して「ぼかし(ガウス)」効果をつけることで、実名や顔写真など、外部には見せたくないデータにぼかしをかけることが出来ます。写真だけではなく、文字の場合も同様です。
写真にクリッピングマスクをかけながら白縁とシャドウを付けたい時は、クリッピングのパスを背面コピーし、そのパスに白縁とシャドウをつけます(クリッピングマスク自体には白縁をつけることが出来ない。)インターネットで取ってきた素材などでは、クリッピングのせいで白縁が付けられない時があります。その時は、クリッピングになっている部分のパスを背面コピーすれば付けられます。また、クリッピングにこの方式で白縁とシャドウを付けている時に、全部の写真を小さくしたい時は、まずダイレクト選択ツール(白矢印)で全ての写真を選択してロックをかけ、その後にダイレクト選択ツールで写真の下のアンカーポイントをShiftを押しながら全ての写真について選択し、その上で「個別に変形」から、基準点を「真ん中上」にして拡大・縮小します。基準点を設定することで、上の位置を変えずに下の境界だけを小さくすることが出来ます。
後日注記:環境設定の「線幅・効果も拡大・縮小する」のチェックは、白縁を変える時は外す方が望ましいですが、素材などのアートワークそのものを拡大・縮小する時はチェックした方が望ましいこともあります。注意しましょう。また、写真の大きさが元の写真よりも巨大になっていないかどうかはリンクパネルで確認できますが、サイズが200%などとなっている時は電卓などを上手く使って解像度とサイズを変更することが望ましいです。(epsを作っていた場合は、もう一度jpgから作り直して、補正も再度かける。)
プロが良く使う機能のひとつが、画像トレース(ライブトレース)である。JPGやPNGなどの写真データを、Illustratorのパスにトレースすることができる。作ったパスは、変形できるほか、効果によってたとえば油絵のようにしたり、色鉛筆で描いたような画像にしたりすることができる。
僕は画像トレースをあまり使いこなせていないが、僕の周りにいるみんなは良く使っている。タイトルや背景を作ったりする時に効果的に使うと綺麗なイラストチックなデザインができるだろう。
デザイナーとしてデザインする時に注意したいのが、フレーミングとトリミングである。
写真をどのように拡大縮小・切り取りしたり、位置やサイズをどのように決めるのか、ということが、デザイナーとして求められる。
仕事によっても違うし色んなやり方があると思うが、僕が作業所でやっている「毎月の通信」では以下のようなルールが決まっている。
1.人物のサイズを大きくする。
2.複数の写真で、人物のサイズを揃える(人物が大きすぎる写真や小さすぎる写真が出ないようにする)。
3.一人が写っている写真は小さくし、複数の人が写っている写真は大きくする。
4.レイアウトを綺麗にするために、それぞれの写真の大きさと拡大率を調整する。料理の写真などのように工程がある場合にはできないが、工程の順番が関係しない写真では、順番を入れ替えたりしても良い場合がある。
そして、毎回の仕事でたくさんの指示が出ます。その指示に従いながら紙面を作ります。
主な順番としては、まずオフセットと段組設定を行ってクリッピングマスクでトリミングします。そして、写真の配置とフレーミング、大きさと拡大率の調整、白縁とシャドウ・回転を付加します。できるだけ人物を大きくします。そして、四角形だけではなく、角丸四角形や正円の形にトリミングし、いくつかの写真は切り抜きます。そして、背景とタイトルをデコレーションし、グループごとに位置を調整し(別々のグループには境界の余白を入れる)、あとはテキスト(吹き出しを使うこともある)や装飾用のイラストなどを配置します。また、並行して写真補正も行います。
また、たとえば「こんなイラストを入れてほしい」などの指示があった場合にはそれに従います。完成したら文字校正を行います。スタッフの方にもチェックしてもらいます。
フレーミングとレイアウトは、横長の写真や縦長の写真などが必然的に生まれ、それを必要な枠の中に収めていく、まるでパズルのような作業です。通信の制作でももっとも時間のかかる作業で、フレーミングとレイアウトが終わってしまえば、あとは飾り付けるだけで何とか作成できます。
写真の配置のコツは、段組設定で等幅の四角形を作って、その四角形をクリッピングをかける前に写真に応じてサイズや縦横比を修正し、それを後で全体を見ながら調整すれば、綺麗にたくさんの写真を配置できる。これが分かると、たくさんの写真のレイアウトとデザインが素早く簡単にできるようになる。
(以上は自分の書いたFacebookより。)
後日注記:実際のところ縦幅だけが重要なので、縦幅だけを揃えて後は適当にサイズを調節すれば僕は仕事ができます。また、四角形でトリミングした後で「角を丸くする」効果を使えば簡単に角丸を実現できて便利です。
僕は写真をパスを引いて切り抜くのが得意です。作業所の指導員の方からは「切り抜き職人になれる」と言われています。
写真をパスで切り抜く時のコツは、白い境界線がでないようできるだけ内側に線を引くこと、そして作り終えた後でカーソルキーやダイレクト選択ツールを用いて修正することです。また、ペンツールのコツは「最初から綺麗になるように引く」ことです。これは、「綺麗な曲線にならない時は必ずアンカーポイントの間隔とハンドルの向きを調節して綺麗にする」ということです。
最近のPhotoshopの機能を使えば、パスで切り抜かなくてもほとんど自動で切り抜いてくれる機能もありますが、僕の作業所はあえてパスで切り抜いています。