Adobe Illustratorをはじめようです。
以下の内容は、僕自身がデザインの作業所で見習いとして学び経験したことに基づきます。書いている当時がとても未熟であったため、誤解や勘違いが多くあります。
作業所の同僚やスタッフにも多くのことを教えていただきました。
実際に僕が制作したデザイン作品はイラスト・作品ギャラリーにあります。
まずは、イラストACなどの無料素材サイトから素材をダウンロードして、それを配置してみましょう。
素材の配置だけでも、たくさんの素材を綺麗に配置することで、「はじめてのデザイン」を行うことができます。
たとえば誕生日のお祝いであれば、プレゼントや虹や鳥のような素材を配置することで、デザインの基本が身に付きます。
それができたら、今度はペンツールを使って素材の輪郭をなぞって同じものを作る(トレース)を行いましょう。
以下にIllustratorの基本操作を記述します。
まず、スペースキーとドラッグで手のひらツールでアートボードを動かすことができます。
また、Ctrl+スペース+クリックで拡大、Ctrl+Alt+スペース+クリックで縮小できます。
選択ツール(黒矢印)でクリックすることで、オブジェクトを選択できます。ダイレクト選択ツール(白矢印)でクリックすることで、パスのアンカーポイントやハンドルだけを選択できます。Shift+クリックで複数のオブジェクトやアンカーポイントを選択できます。
ペンツールでベジェを描いている時は、最後のアンカーポイントをクリックすることで、ハンドルをキャンセルできます(パスを曲線ではなく直線として描画できる)。また、ベジェの描画中にCtrl+クリックをすることで、パスの描画を終了することができます。
四角形ツールや楕円形ツールは、Shiftを押しながらドラッグすることで正方形や正円を作成できます。
また、Altを押しながらドラッグすることで、中心から四角形や楕円形を描くことができます。
拡大縮小を行う時は、Shiftを押しながら拡大縮小することで縦横比を維持したままで拡大縮小ができます。また、Shiftを押しながら移動することで、縦横の延長線を維持したまま移動できます。
Altを押しながら移動することで、オブジェクトをその位置に複製することができます。
後日注記:Altを使ったコピーはとても多用します。また、間隔を揃えるために5mm間隔でコピーする時は、移動を良く使います。移動は5mmという距離を設定できるだけでなく、コピーボタンでコピーできます。一度行ったコピーはCtrl+Dで簡単に繰り返せます。
パスは、線と塗りで色を付けることが出来ます。線は一つだけではなく、アピアランスを追加することで、無限に線を引けます。
また、パスのアウトラインをとったり、分割・拡張を行うことで、線を塗りに変換することも出来ます。
アピアランスには、それぞれに項目に効果を設定できます。そのため、外枠の線だけにぼかしをつける、などという使い方も可能です。
デザイン業務の習熟には、既にあるイラストや広告などを、自分で真似て作る「トレース」と言う作業が有効です。
まず、JPGなどのファイルをepsにしてIllustratorのアートボードに配置します。そして、1つ1つの線と塗りをパスにしていきます。
ペンツールで、なぞるように綺麗にパスを引いてあげましょう。
輪郭は、パスとパスの重なり合いによって、例えば服の袖から腕が出るように、重なり合いを上手く利用して、「1つのイラスト」を描くことが出来ます。
レイヤーと重なり合いを上手く使って、整理整頓された環境で作業しましょう。
また、「同じ位置にコピーする」ことを上手く使うことで、クリッピングマスクをかけることが楽に出来ます。前面コピーや背面コピーのような機能もあります。
レイヤーを非表示にすることやロックをかけることも出来ます。他人のデータをコピーする時は、相手のレイヤー分けをそのままコピーするか、のような設定を指定することも出来ます。
レイヤーはAltを押しながら展開することで全展開でき、展開した状態でAltを押しながら閉じることで全て閉じることができます。
どこにどんなオブジェクトがあるか分からない時は、Ctrl+yでアウトライン表示にできます。アウトライン表示では、全てのオブジェクトの輪郭が細い白黒で表示されます。また、Alt+目玉をクリックで未選択のレイヤーを全て非表示に、Alt+Ctrl+目玉をクリックで、その他をアウトライン表示にすることができます。
パスとパスの関係から、新しいパスを作ってくれる機能です。
パスファインダーは、パスとパスを切り抜いたり合体させたりしてくれます。
クリッピングマスクは、写真のようなデータをパスで切り抜くことが出来ます。
アウトラインは、文字や線などを塗りを設定するパスにすることが出来ます。
オフセットは、そのパスよりも一回り大きい・小さいパスを作ってくれます。
いっぺんに移動や拡大などの操作をしたいオブジェクトは、グループに設定することが出来ます。
オブジェクトは、ダブルクリックでグループ編集モードの中に入ったり、Ctrlキーを使うことでグループ内のオブジェクトを選択したり、Shiftキーを使うことで複数のオブジェクトを選択したりすることも出来ます。また、Altキーを押しながらオブジェクトをドラックすると、そのオブジェクトをその位置にコピーしてくれます。Ctrl+Dを使うことで、一度やった動作をもう一度繰り返すことが出来ます。
グループの中のオブジェクトを選択する方法はいくつかあります。
まず、グループをダブルクリックして、グループ編集モードになって編集することです。ひとつのオブジェクトだけを選択するのであればこれがもっとも簡単です。
次に、Ctrlを押しながら選択することです。Ctrlを押さずに選択するとグループが選択されますが、Ctrlを押して選択するとそのオブジェクトだけを選択できます。たくさんのグループの中のオブジェクトを選択する場合、ひとつひとつダブルクリックするよりも効率的に複数のオブジェクトを選択できます。
最後に、ダイレクト選択ツール(白矢印)で選択しても、そのオブジェクトだけを選択できます。これはオブジェクトというよりも、ハンドルやアンカーポイントやパスの一部だけを選択したい時に活用できます。たとえば少しだけ隙間が空いてしまった時に、隙間を埋めるためにそのままオブジェクトを拡大したくない場合があります。オブジェクトを拡大すると、全体の大きさが変わってしまい、縦と横の比率も変わってしまいます。このような時にはダイレクト選択ツールを使うことで、一部分だけを延長させることができます。
ちなみに、グループ化を一度解除してから選択するという方法もあります。高度で複雑なことをやりたい時、そもそもグループ化そのものをやめて、ひとつひとつのオブジェクトを柔軟に編集したい場合はこれが効果的です。編集した後にもう一度グループ化をし、解除されたアピアランスや効果を再び付け直すなどのことに注意しましょう。
2024.03.27
整列機能を使うことで、オブジェクトの端を合わせたり、等間隔で並ばせたりすることも出来ます。
オブジェクト同士を整列するだけではなく、アンカーポイント同士を整列させることで、整理された綺麗なパスオブジェクトを作ることも出来ます。
後日注記:特に、整列はもっともよく使う機能のひとつです。特に等間隔での整列は、5mm間隔で写真を配置させたい時に必ず使用します。
パスを回転したり、拡大縮小することが出来ます。そして、変形の繰り返しと言う機能を使うことで、たとえばハートを回転させながら4つコピーする、などが出来ます。
パターンを移動し、拡大縮小したり回転したりすることによって、単純なパターンから多様なテクスチャを作ることが出来ます。
回転や拡大縮小をする時は、基準点を設定することで、その基準点を中心に回転や拡大縮小をかけることができます。九つの点から選ぶ方法や、回転ツールや拡大縮小ツールでAltを押しながらクリックして設定する方法があります。
テキストを配置し、それをデザインします。パスを描くよりも、こちらの方が使用頻度として多いかもしれません。
ワードでは出来ないような、高度なデザインが可能です。
カーニングを設定することで、文字と文字の間を自動で字詰することが出来ます。Alt+→やAlt+←で、手動で文字ごとに字詰を行うことも出来ます。また、両脇揃えにする(文字の両端を綺麗にしてくれる)ことや、一段階文字を下げたりすることも設定から出来ます。
縦書きも可能です。縦書きをする時は、欧文を横書きではなく縦書きにしたり、縦中横(12月といった数字などを含む文章で、12だけを横書きとして縦書きの中に入れる)といったことをすることも出来ます。
配置したテキストは、アピアランスから新しい線を設定し、文字や塗りよりも下に置くことで、縁取りをすることも出来ます。
テキストボックスには二種類あって、ロゴや吹き出しに使う文字のようなテキストとワープロのような文章のテキストは別のツールを使います。これはダブルクリックで切り替えます。
テキストは回り込みをしたり、複数のテキストボックスに対して一つの文章を流し込むように設定したりすることも出来ます。また、アーチのような効果をかけることで、ロゴのようなテキストを綺麗に作ることが出来ます。
フォントによっては、太さの異なるファミリーが用意されていることがあります。ロゴやタイトルに使うフォントの場合は、ボールドやヘビーのような太いフォントファミリーを使いましょう。
パス上文字を使うことで、アーチだけではなく、パスの輪郭になぞらえるようなテキストを表現することも出来ます。特に、円オブジェクトを背景にパス上文字を使うことで、メダルのような円形に対する文字をなぞらえることもできます。
オブジェクトはCtrl+2でロックすることができます。ロックしたオブジェクトは編集できなくなり、選択もされなくなります。
オブジェクトの上で作業したい場合や、ある特定のオブジェクトだけ作業対象から除外したい場合に、Ctrl+2を使うと便利です。
オブジェクトのロックを解除するためには、全てのロックを解除を使います。
レイヤーパネルから、レイヤーごと全てロックすることもできます。これは、上のCtrl+2とは別扱いです。全てのロックを解除をしても、レイヤーのロックは解除されません。注意してください。
レイヤーロックは、たとえば背景レイヤーを作って、背景のオブジェクトを背景レイヤーに配置し、その背景レイヤーをロックしてその上で作業を行う、といった使い方をします。
Illustratorなどで良いデザインを使うために、一つの要素は「効果を使うこと」です。
特に、ドロップシャドウ、光彩、ぼかしを使うことが多いです。
その名の通り、効果的に使うことで、とても綺麗なデザインになります。
ドロップシャドウは、オブジェクトの後ろ側に影をつけます。ぼかしを加えることで綺麗なデザインになります。光彩は、オブジェクトのパス(枠)の周りの、内側と外側にぼかしや影や光をつけます。パスの編集と組み合わせて上手く使えば、それだけで綺麗なデザインになります。
もう一つの要素は、色使いです。色を綺麗にまとめることで、一体感のある完成されたデザインになります。
文字に縁を付けるためには、線と塗りを設定して重ね順を変えます。
飾り文字を作る時のフォントは、平成丸ゴシックのような可愛らしいフォントにしましょう。
素材は効果的に使いましょう。色を変えたり、カレンダーのような場合は一つの素材をたくさん配置しても良いでしょう。
素材は、組み合わせて加工して使うと良いデザインになります。たとえば、富士山の中に謹賀新年を入れたり、カレンダーの枠の色を日曜日と土曜日と平日で変えたりすることが考えられます。
素材は、素材サイトからダウンロードして使うことになりますが、ただ使うだけではなく、aiデータがある時はその内部の作り方を良く見て確認しましょう。
パスの引き方や色の付け方を学ぶことで、自分でも素材が作れるようになります。僕はまだそこまでの実力はありませんが、頑張ります。
素材は使う対象だけではなく、学習の対象にもなります。
素材と同じものを自分で真似して作ってみましょう。
自分の方が、もっと上手いデザインをする可能性もあるかもしれません。
素材にあるようなイラストと同じものを作りたい場合は、写真をトレースすることが有効なことがあります。
特に、人の似顔絵を描きたい場合などで、その人物の写真がある場合は、写真の上からペンツールでトレースしてイラストを作ります。
また、既にあるイラストを自分で真似して描きたい場合は、ノートのような紙に写真やイラストを見ながら真似した絵を描いて、それをスキャナーでスキャンし、そこからトレースする、という方法を使います。
イラストだけではなく、デザインの全体の構図を考える場合などに、ノートのような紙の媒体に鉛筆でラフを描くことは有用です。
画家の先生ではありませんが、シャーペンではなく、削って太さを調整できる鉛筆を使うようにしましょう。消す時は消しゴムだけではなく練り消しも使うのも有用だそうです。
何にも思いつかない時は、ぼかし、グラデーション、シャドウ、白縁をつけましょう。これらを多用することで、下手なイラストでも綺麗に見せられます。
特に、グラデーションは効果的です。下手なイラストでも、それぞれの色をグラデーションで塗り分けることで、見違えるほど綺麗なイラストになります。
また、透明を効果的に使いましょう。
意外と知っておくべきなのは、用紙サイズだ。Illustratorではサイズをmmなどで指定して移動や拡大、オフセットを取ることが出来るが、用紙サイズが分かっていると作業がしやすい。
A4は210×297mm、A3は297×420mm。名刺は55mm×91mm。
オフセットを取る場合は、四角形ツールで用紙いっぱいに四角形を描いてオフセットを-3mmから-5mmの間で取り、ガイドを引こう。
デザインの基本として言えるのは、「細かいところを丁寧にすること」です。
たとえば、ブラシを作ったり、パターンを作ったりする時に、細かいところを丁寧に作れば、それも丁寧であれば丁寧であるほど、美しいデザインになるでしょう。
何度も繰り返し作り込めば、その分だけ綺麗なデザインになります。
僕も練習中の身ですが、僕の周りでデザインが出来る人は、みんなきちんと丁寧なところを作り込んでいます。自分だけできていないので、あまり強制はできませんが、今から頑張りましょう。
また、もう一つの基本として言えるのは、「インパクトは大きく」です。
ぱっとみて目に大きく入るように、インパクトの大きいデザインをすることで、それを見る人はひきつけられます。
ですが、あまり派手でたくさんの要素があり、文字数も多いようだと、どこを見て良いのか分かりません。
綺麗な部分は綺麗に、派手な部分は派手にして良いのですが、地味な部分は地味で良いのです。
また、さらに基本として言えるのは、「カラーリングは大切に」です。
色使いはとても重要な概念で、僕も長い間苦戦してきましたが、Illustratorにはさまざまなカラーリングを補助するツールが備わっています。
特に、アクセントとして補色を使ったり、あるいはカラーガイドやスウォッチライブラリなどを使うことで、綺麗なカラーリングを試してください。
Illustratorでイラストを制作する時の心得のようなものとして、恐れず、勇気を出してイラストの制作に取り掛かる、ということが言えます。
Illustratorでは、図やイラストをオブジェクトとして取り扱います。この時、オブジェクトはパスと呼ばれる、後からでも編集や修正がしやすい形式で保存されます。
ですから、失敗しても何度でもやり直せます。修正は簡単に行えるのです。
Illustratorでは、最初からその部分にブラシを描いていくペイントソフトとは違い、オブジェクトを移動させて重ね合わせたり、パスを編集したり移動させたりすることで、簡単にやり直しがききます。また、拡大・縮小をしても劣化しません。その上、パスを簡単に変形してくれるさまざまな効果が用意されています。
たとえば、蝶々のようなイラストであれば、楕円形ツールなど、図形ツールを使って作った図形を組み合わせ、加工することでイラストを制作できます。
選択ツールでは、オブジェクト全体の編集と操作を行います。円の大きさを変えたり、回転したりするために使います。
また、ダイレクト選択ツールに持ち帰ることで、パスの細かな編集ができます。ハンドルやアンカーポイントをダイレクトに選択して、マウスのドラッグやカーソルキー(矢印キー)でアンカーポイントを移動し、何度でも修正・加工できます。
また、たとえばリボンのようなイラストを作る時は、四角形のパスにアンカーポイントを追加して、内側に三角形の形をした部分を作ることができます。角丸四角形と三角形(スターツールや多角形ツールで作る)をパスファインダーで合体させて、キャンディーのイラストを作ることもできます。整列ツールはオブジェクト全体だけではなく、アンカーポイントにかけることもできるため、線のちょうど半分のところにアンカーポイントを整列させたい時は、整列パネルの分布を使って行うことができます。
また、リボンを作りたい場合は、ワープ効果の円弧を使うことで、四角形をリボンのように曲線の四角形に加工することができます。
四角形ツールや楕円形ツールで描けない、複雑な図形はペンツールで描きます。
この時、ペンツールで使う曲線を「ベジェ曲線」と言います。ベジェ曲線は慣れないと難しいですが、慣れると紙には絶対に描けないような滑らかな曲線を描くことができます。
ペンツールでベジェ曲線を描く時、下絵となる画像を元にして、上からなぞってイラストを描く方法が、学習者に有効です。これを「トレース」と言います。
トレースは初心者に与えられる最初の課題です。間違えた時は、Ctrl+Zでひとつ前の状態に戻すことができます。また、要らないアンカーポイントはDeleteキーで削除できます。
ちなみに、図形ツールでイラストを描く際に使うと便利なのが消しゴムツールです。任意の範囲のパスを削除できるため、キャンディーの画像を少し加工したり(たとえば少しやぶれた感じにできる)、同じオブジェクトを2つ重ねて、下のオブジェクトの色を出したい時などに有効です。
消しゴムツールは、Shiftキーを押しながらドラッグすると直線的に領域を消せます。また、Altキーを押しながらドラッグすると四角形で領域を消せます。とても便利です。