海と川についてのいろいろの世界観です。海洋も参照のこと。
理科に詳しい父親の話を参考にしています。
なぜ、川の水は塩辛くない真水なのに、海の水は塩辛い海水なのか。
それは、川にはミネラルとしてナトリウムイオンと塩素イオンが含まれており、海へと流れて溜まっていくからです。
川や湧き水には、岩石などから溶けて流れ出たミネラルが含まれています。これはたとえばナトリウム、塩素、マグネシウム、カリウム、亜鉛、鉄分など多くの種類があり、川や湧き水によって違います。
このようなミネラルは、体にとっていい影響を及ぼすことがあります。たとえば、ポカリスウェットやアクエリアスのようなスポーツ飲料には、ミネラルとしてナトリウムやマグネシウムなどが含まれています。また、温泉にはさまざまなミネラルが含まれており、温泉につかるだけで病気などを治すことに繋がります。
さて、川の水には、こうしたミネラルとして、ナトリウムイオンと塩素イオンが微量ながら含まれています。ナトリウムイオンはNa+であり、+の電荷(電気)を帯びています。塩素イオンはCl-であり、マイナスの電荷を帯びています。
Na+とCl-は、それぞれ+と-の電荷を帯びているため、互いに引きつけ合う力を生み出して化学結合し、食塩、すなわち塩化ナトリウムになります。ですが、水、すなわちH2Oの中では、両者はバラバラになっています。これはH+が+の電荷を帯びており、O-が-の電荷を帯びているため、水の中にあるとナトリウムイオンと塩素イオンの両者を結合させない作用が働くためです。
川の中に、ナトリウムイオンと塩素イオンは含まれていますが、あくまで微量であるため、川の水は塩辛くありません。しかしながら、川の水が海へと溜まっていくと、どこにも行き場のなくなったナトリウムイオンと塩素イオンは海水の中に溜まっていき、水が蒸発してもこれらは残り続けます。また、気象現象として水が蒸発することで、ナトリウムイオンと塩素イオンは化学結合して食塩へと変わります。このため、水の中の塩分濃度は高くなり、海水は塩辛くなるのです。
生物は、海から誕生し、人類へと進化していったと、今の科学では考えられています。
まず、海で原始生物が生まれ、これが骨を持たないクラゲ、イカ、タコのような軟体動物に進化します。これが、外骨格、すなわち硬い殻を持つカニやエビなどの甲殻類に進化します。昆虫なども外骨格の生物です。
外骨格の生物は、硬い殻の中に筋肉を持っています。体の外に硬い殻を持っているため、身を守ることができますが、鎧のようにそれを身にまとっているため、素早く動くことができません。
そのため、体の内側に骨を持つ内骨格の生物、すなわち脊椎動物が誕生します。脊椎動物は、真ん中に背骨を持ち、骨を筋肉によって動かします。このため、俊敏に動くことができます。
そのようにして、生物は海から誕生し、進化したと考えられています。
生物が海から誕生したことを証明する事実として、人間の体液や血液の中に含まれる塩分の濃度は、海水と同じぐらいである、ということが分かっています。
人間の体の中に注射をする場合、塩分の含まれていないまったくの真水だと、血液に含まれている塩分の濃度と異なるため、血管にダメージを与えます。このため、注射する際には塩分濃度を調節した生理食塩水を使います。
淡水魚と海水魚の特徴として、淡水魚は基本的に淡水でしか生きられず、海水魚は基本的に海水でしか生きられません。一部の例外として、体の調節機能を持った鮭やウナギなどは海水と淡水を行き来することができます。
また、魚を飼う時には、塩分のまったくない真水では基本的に飼えません。塩分濃度を調節する必要があります。ただし、アマゾンの熱帯魚などは例外で、塩分がまったくなくても飼うことができます。
海水から水を蒸発させることで、塩を取り出すことができます。これを「自然塩」と呼びます。自然と呼ぶのは、この中にはマグネシウムなどの別のミネラルが含まれており、色が完全に白ではなく、完全に色を白くした人工的に作られた塩と区別するためです。塩を産出するための畑のような場所を塩田と呼びます。
古代の人類の歴史において、塩は貴重品でした。このように、塩がなければ、人間は生きることができなかったためです。
塩は単なる調味料として味付けに使うだけではなく、人間にとってとても重要な栄養素です。
古代の戦争において、逃げ場を失った兵隊は城に閉じこもり、何週間も城の中で暮らしながら、備蓄した米を食べて生き延びて、敵はその兵隊に対して水や食料などを絶つことで戦い続ける、「兵糧攻め」を行うことがあります。
しかしながら、備蓄した米や水だけではなく、生き延びるためには塩が必要となります。
昔の武士は、このような場合に、せめて塩だけは相手に渡してやろう、と考えました。
昔から「武士の情け」として言われることわざとして、「敵に塩を送る」という言葉があるのは、「最低限生き延びるために塩だけは送ってやり、正々堂々と勝負しよう」という発想があったからです。
ミネラルを多く含んだ水は、そうでない水に比べて、飲んだ時に硬い感じがしたり、あるいはミネラルの影響で少し苦みがあったりします。
このような「不純物」ができるだけない、飲みやすくて味のすっきりした水は、酒を作るのに向いています。
「酒が旨い」と言われるのは、酒に使う水が酒にした時に飲みやすいということです。
酒を造るためには、麹(こうじ)が必要になります。麹とは、酒を発酵させ、炭水化物をアルコールに変えるための微生物のことです。
旨い酒を造るためには、水が飲みやすいこと、麹を用いるために適切な気候と材料があることが条件となります。
酒を造るためには、このような高度な生化学の知識が必要です。昔の酒職人は、これを経験的に知っていました。しかしながら、特に炭水化物を発酵させてアルコールにするという知識は、薬学と重なるところがあるため、たとえばビール会社や醤油の製造会社は、一見関係なく見える薬を作っていたりします。
発酵も参照のこと。
そこらへんの田舎で、仕事をしている人は、みんながみんな農業をしているわけではなく、川で魚を獲る漁業をしている人もいます。
そのような、漁業をしている人々の入っている組合のことを、「漁業協同組合」と言います。
護岸工事がされているそこらへんの普通の川で、自然に生まれて育って生きている魚というのは、そう多くはなく、多くが稚魚の状態で放流したアユのような魚が住んでいます。
漁業協同組合は、稚魚の状態でアユのような魚を放流し、その稚魚が大きくなって食べられるぐらいになってから漁獲することで、漁業を行っています。
ですが、そのような漁業だけでは、生計を立ててやっていけないので、漁業協同組合は「漁業権」を販売しています。
漁業権とは、要するに「この川で釣りをしてもいいですよ」という許可証のことです。
漁業権を購入した証として、「鑑札」と呼ばれる許可証を得ることができます。この鑑札がなければ、漁業協同組合が管理する川で、釣りをすることはできません。
なぜ、自然の川なのに自由に釣りができないのか、不思議がられる方もいるかもしれませんが、実際には川に住んでいるのは漁業協同組合が稚魚の状態で放流したアユなどであり、このアユは漁業協同組合のものです。なので、釣りが禁止されている場所では勝手に釣りをしてはいけないのです。
2024.06.19
魚の中にも、面白い魚がいます。それは川の魚とも海の魚とも言うことのできない、サケのような魚です。
サケは川で生まれますが、川を下って海へと出て、海で育ちます。そして、産卵の時期になると元の川に戻ってきて、川を上っていき、生まれた場所で卵を産みます。海と川の行き来を「回遊」と呼びます。
単に、川から海へ行った後で川に戻ってくるだけではなく、「生まれた場所に戻ってくる」というのが重要です。サケは生まれた川をしっかりと覚えていて、産卵の際にその場所へと戻っていきます。
なぜ、このようなことをするのか、それは「海のほうが餌が多く育ちやすいから」「川のほうが外敵が少なく卵が安全にいられるから」というのが大きな理由だとされています。
ですが、大きな謎は、「なぜ元の場所に戻ってこられるのか」ということです。これには多くの説がありますが、有力な説は「地球の磁力を感じ取る部分が脳にあり、コンパスのように方角を知ることができる」という説のようです。
このようなサケを捕らえて食べるのは熊などです。熊はいつごろになればサケが川に戻ってくるのかを知っており、鋭く大きな爪ですくうようにしてサケをひっかけて岸へとはじき飛ばし、冬眠に備えて多くのサケを食べます。
サケのように、「元の場所に戻ってくる生き物」の本能のことを「帰巣本能」と呼びます。そして、帰巣本能があるのは魚のサケだけではなく、ツルのような渡り鳥も、同じように帰巣本能があります。
渡り鳥は、冬の寒い季節になると、暖かい場所と餌を求めて緯度の低い場所にやってきます。たとえば、シベリアのような極寒の場所から、北海道のような寒いとはいえ多少は暖かい場所に南下してきます。その際、海の上の空を渡ってとてつもない長距離を旅しますが、方角を間違えることなく、正しく旅をし、そして時期が来るとまたシベリアのような元いた場所に戻ります。
「暖かい場所で過ごしたいなら、最初から暖かい場所で生きればいいじゃないか」と思うかもしれませんが、寒い地域の生き物は寒い場所に適応した体をしています。渡り鳥だけではなく、ペンギンや熊やアザラシなども、長い毛皮と分厚い脂肪で体を低温から守っています。ペンギンなどはでっぷりとした体をしているように見えますが、羽毛の部分を除くとスリムな体をしています。犬や猫も同じで、ふさふさでモフモフの体に見えて、水で濡らしてやると哀れな姿になります。なので、寒冷地域に適応した動物は南国のような場所では暮らせません。それでも鳥は恒温動物であるため、低温を好まず、少しでも暖かい場所と豊富な餌を求めて南へとやってくるのです。
このように、生物はそれぞれの生き方と環境に適応して生きていますが、人間の場合、人種間の違いというのはそう多くありません。黒人と白人は紫外線への対応以外では大きく変わりません。ですが、文化や民俗を見ると、衣服や住居などの点で多くの違いがあります。すなわち、人間は生物のように体そのものが適応しているわけではなく、生きるための「知恵」という点でそれぞれがそれぞれの地域に適応した生物なのです。
2024.06.19
地球も参照のこと。
生き物の生態系も参照のこと。
土木建築も参照のこと。
水泳も参照のこと。