ベクトルの世界観です。
ベクトルについては、二つの説明がされます。ひとつが、「大きさだけではなく方向を持った数」ということ、もうひとつは「連続する複数の要素を持つ数」です。
このうち、前者については、「空間を定量的に計算する方法」であると言えます。
ベクトルを使うことで、空間における「線分の足し算」を行うことができます。ベクトルの足し算を行うには、ベクトル同士の終点と始点を重ね合わせます。
また、物理量については、大きさだけではなく方向を持った物理量というのがよく出てきます。たとえば位置や速度や加速度などがベクトルです。このような時にもベクトルを使います。
また、後者について言えば、プログラミングにおける「配列」のように、複数の要素が連続して並べられた数列の配列のことをベクトルと呼ぶことがあります。これは縦横の次元を持つ数の集合である行列の考え方と融和します。
ベクトルには、このようにさまざまな意味があります。
もしかしたら、古代ギリシャの幾何学の考え方と、近代数学、特に微積分のようなニュートン力学などの考え方の交わるところに、ベクトルという考え方はあるのかもしれません。
ベクトル解析は、数学におけるひとつの分野であり、ベクトル解析だけでひとつの本が書けるほどです。物理学の入門書にはベクトル場などの用語が出てきます。また、ニュートン力学や微積分では、ベクトルの考え方を知っておかなければ微分方程式の意味を理解することができません。このように、ベクトルは現代の数学・物理学において、欠かすことのできないものとなっています。
ベクトルとは、ひとつの数ではなく、複数の数の組によって成り立つような数のことです。
ベクトルの値を構成する要素(それぞれの数)のことを「成分」と呼びます。
別の言い方をすると、ベクトルは大きさの値だけではなく方向を持つ「長さと向きのある矢印」あるいは「方向線」であると言えます。成分として大きさだけではなく、その向きを持つものをベクトルと呼びます。
(以上は「現代数学への入門 電磁場とベクトル解析 (深谷賢治 岩波書店)」を参考に執筆しました。)
物理においては、ベクトルには作用点としての位置が重要だが、数学的なベクトルでは位置は重要ではない。
単に、大きさと向きだけを持って、平行移動できる有向線分としての概念が、数学におけるベクトルである。
そのように、位置の概念が重要でない、大きさと向きだけをもった有向線分のことを、幾何ベクトルあるいは単にベクトルという。
(以上は放送大学「数学再入門 ('07)」と「現代数学への入門 幾何入門 (砂田利一 岩波書店)」を参考に執筆しました。)
2024.07.16編集
ベクトルの計算は、言ってしまえば力の合成です。
速度や力などの量は、その大きさだけではなく方向を表す必要があります。
ベクトルにおいて、数は三次元ユークリッド座標空間上の向きを持った直線として、「方向と大きさ」の2つの数値を持ちます。
始点Aから終点Bへと向かうベクトルの線分のことを\(\overrightarrow{AB}\)と表します。単に\(\vec{a}\)とも表します。あるいは\(\boldsymbol{ A }\)のように太字で表すこともあります。
ベクトルの計算において、方向と方向は力となり、「ある一定の方向に合成された力を持つ」という「力の合成」となります。
\(\vec{a}=\overrightarrow{AB}\)と\(\vec{b}=\overrightarrow{CD}\)の足し算を行う時は、\(\vec{a}\)の終点Bと\(\vec{b}\)の始点Cが重なるように、\(\vec{b}\)を平行移動します。
この結果、A->B (C)->DすなわちA->Dへと移動します(AからBに進んだのち、CからDに進むのと同じ方向と距離だけ進む)。
(詳しくは図解入門よくわかる高校数学の基本と仕組みが参考になります。)
ベクトルの内積は、\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)の始点を重ねてできた角を\(\theta\)として、
\[\vec{a} \cdot \vec{b} = |\vec{a}|\cdot|\vec{b}| \cos \theta\]
となる。
三角比は直角三角形の辺の比であるため、\(\cos \theta\)は単に\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)の比ではないことに注意しよう。
ベクトルには「掛け算」は存在しないが、ベクトルの内積を掛け算的なものであると捉えることができる。
(詳しくは図解入門よくわかる高校数学の基本と仕組みが参考になります。)
2023.05.20
スカラーは、ベクトルからベクトル成分(方向の性質)を取り除いて、大きさだけにした物理量のこと。
ベクトルはスカラーに方向の成分を加えて、線形性(三次元座標上に直線として表現することのできる特性)を持たせたものである。
たとえば、エネルギー、質量、時間、長さ、面積、体積、熱量、電荷などは、方向を持たない物理量であるためスカラーとされる。
これに対し、位置(変位)、力、速度、加速度、場(磁場、電場)などは、方向を持つ物理量であるためベクトルとされる。
ニュートン力学では、速度を位置ベクトルの時間微分、加速度を速度の時間微分として表します。
ここで、位置、速度、加速度は、どれもベクトルとして表されます(ベクトル量:方向を持った量)。なので「位置ベクトル」などと呼びます。
微積分を参照のこと。
空間のすべての各一点に各ベクトルがひとつずつ定義されるような場のことを「ベクトル場」と呼ぶ。
これに対して、各一点に各スカラーが決められるような場のことを「スカラー場」と呼ぶ。あるいは各一点に各テンソルが決まる場は「テンソル場」と呼ぶ。
ベクトル場について、微積分で解析する数学や電磁気学の分野のことを「ベクトル解析」と呼ぶ。
電磁気学も参照のこと。
2024.07.16
ベクトル空間とは、加法の定義されたベクトル(ベクトル加法)とスカラー数との乗法(スカラー乗法)、そしてベクトルの8つの公理が成り立つようなベクトル集合のこと。
スカラー積やスカラー乗法については以下を参照のこと。
複素ベクトル空間は、ベクトル空間を複素数まで拡大したもの。ベクトル空間の定義域を実数から複素数に拡張する。
複素数も参照のこと。
2024.07.16
行列は、縦と横の二つの次元を持った数値の構造(二次元配列)のこと。
数学以外にも、PythonやR言語を用いたデータサイエンスなどの分野では、二次元の主に数値などのデータ構造としてデータフレームというデータ構造を多用する。
この時、ベクトルや行列の計算は非常によく出てくるため、IT技術者を目指す学生は必ずベクトルや行列について学ばなければならない。
AI・人工知能やPythonでAI入門も参照のこと。
行列の例として、行列\(\begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix}\)と列ベクトル\(\begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix}\)がある時、新しい列ベクトル\(\begin{pmatrix} u \\ v \end{pmatrix}\)の成分u, vを
\[ u = ax + by\\ v = cx + dy \]
として定義し、次のように書く。
\[ \begin{pmatrix} u \\ v \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} \]
(以上は「現代数学への入門 行列と行列式 (砂田利一 岩波書店)」を参考に執筆・引用しました。)
行列を使った計算の例として、連立方程式の解法を求める場合などがよく挙げられる。
行列の用語として、横の並びのことを「行」あるいは「行ベクトル」、縦の並びのことを「列」あるいは「列ベクトル」と呼ぶ。また、行と列を入れ替えた行列のことを「転置行列」と呼ぶ。
また、数0に相当する行列のことを「ゼロ行列」、数1に相当する行列のことを「単位行列」、掛け合わせて単位行列の結果を生み出す行列のことを「逆行列」と呼ぶ。
(オイラーの贈物を参考に執筆しました。)
2024.02.10
テンソルは、縦と横あるいはそれ以上(それ以下)の次元を持った数の集まりのこと。
行列とよく似ており、「行列と何が違うのか」と言われることが多いが、行列が単なる数値の配列であるのに対して、テンソルはスカラーやベクトルと同じ物理量であり、いくらかの物理量はテンソルとして表現できる。
N次元のテンソルのことを「N階のテンソル」と表現する。スカラーは0階のテンソル、ベクトルは1階のテンソルである。
テンソルは、ベクトルと同様、基底によって座標軸を表現することができる。基底とはたとえばXY空間であればX軸を表すベクトルとY軸を表すベクトルの組のことで、基底を使うことで線形空間におけるそれぞれの要素を特定し記述できる。
数学などでは、スカラー・ベクトル・行列・テンソルなどは次元の数によって使い分ける。
用語 | 説明 |
---|---|
スカラー | ひとつの数値 |
ベクトル | 複数の数値から成る一次元の配列 |
行列 | 縦と横から成る二次元の値の構造 |
テンソル | それ以上の次元から成る値の構造 |
機械学習の分野ではベクトル・行列・テンソルを非常に多用するので、名前と意味だけでも知っておこう。
テンソルについて有名な話として、最近の宇宙論では、なんと11次元のテンソルを考える。
アインシュタインの相対性理論の関連でも、11次元のテンソルが登場する。
いくらかのオカルト支持者からは、「宇宙は四次元どころではなく11次元もの次元がある」などと言われることもある。
量子力学も参照のこと。
僕は、三次元の空間にもうひとつ時間を加えて、四次元時空とすることがありますが、これに対して、「360°に回転する方向と向き」という新しい軸を考えられると思います。
この五次元座標では、座標はそれが持っている「位置」だけではなく、その座標が360°のどの「方向」を向いているか、どのように「回転」しているか、ということを表します。
僕は、これはベクトルと良く似ていると思います。実際のところ、五次元時空では、ベクトルの計算や演算がそのまま利用できます。そして同時に、地球が太陽を回っているように、「円周上を移動する」ということができると思います。
また、もう一つの回転軸として、「座標そのものが回転する」ということも言えます。これは、地球が内部の空間を持ちながら、全体が回転していることにも言えます。3Dモデリングで、立方体をさまざまな角度で回転させる形に近いです。
惑星の自転と公転を考えることで、「五次元ベクトル・回転座標」を考えられると、僕は思っています。
僕が思うに、六次元というものがもしあるとしたら、それは「この世界そのものが違う」という「別世界」、すなわち眠る時に見える夢の世界ではないかと思う。
三次元空間に対して、人間は「四次元時空」という新しい「時間軸」を考えた。
僕はそれに対して、360度回転や円周、あるいは方向・ベクトル、あるいは3Dモデリングや地球の自転・公転という「五次元」を考えた。
僕は、さらに高い次元として、「この世界そのものが別の世界になる」という次元を考える。
僕が思うに、この世界における「夢」というのは、この世界と全く同じ世界である。それは、僕の見た夢から明らかであり、この宇宙と夢の宇宙はまったく同じように存在している。
また、天国や地獄も同じである。全ては、三千世界というこの宇宙の「本当の宇宙の存在」がある。僕が考える六次元空間とは、夢の世界を含めたこの宇宙である。
また、言っておこう。宇宙における「環境」は、この世界における「空間」よりも広い。空間よりも大きなところに、それぞれの「環境」があるのである。そして、夢の世界というのはそうした「環境」に過ぎない。環境の変化を知り、環境を変えられるようになることで、そうした宇宙における六次元の空間を悟ることができる。そうした「環境の実感」こそ、物理学に必要なものである。
自分の書いた「エリカの技術・芸術日記」2021/08/16より。
五次元の座標系がもしあるとしたら、それは360度回転であり、そしてベクトルのような「向き」である。これは数学的にも正しいだけではなく、3Dのモデリングソフトウェアにおいては360度回転は多くの機能の前提である。すなわち、地球は五次元座標によって太陽を回っている。星の回転は360度回転だ。
僕の考える数学の究極的な到達地点は、「無限次元波状ベクトル」です。
宇宙において、すべての数学を包括するのは、無限次元波状ベクトルであり、これは線形代数でも幾何学でもハイゼンベルクの行列力学やシュレーディンガーの波動力学のような量子力学でもない、「本当に宇宙のすべてを包括する理論」であると言えるでしょう。
この宇宙の裏側にあるすべて、運動と存在と空間のすべては、無限次元波状ベクトルによって成り立っているのです。
2023.05.20
R言語を参照のこと。