微積分の世界観です。
微分とは、変化率のこと。
関数が変化していく時、その上がり具合から「変化率」を出して、この変化率から、たとえば一定時間後の関数の値を予測する。
たとえば、今、どれだけ速度が増減しているか(加速しているか)ということから、一定時間後の速度がどれだけの値になるかを予測する。
距離を時間で微分すると速度になる。速度を時間で微分すると加速度になる。
積分は、図形の面積を求めるための方法。
図形があったとして、面積を求めるために、図形の形に収まるように小さな四角形を敷き詰めていき、その四角形が図形の面積にぴったり収まるように、四角形を無限に小さくしてさらに敷き詰めていくことで、その図形の面積を出す。
微分と積分は互いに逆演算の関係にある。関数の微分(導関数)を積分すれば元の関数(原始関数)になる。逆も同じ。
後日注記:要するに、原始関数をそもそも\(x^2\)というxに対しての関数として与えていることが重要で、導関数はそこから\(2x\)のようにxから求めることができる。あまり難しい発想ではない。
微分は、瞬間の時間の速さの変化率が分かる。時速30kmが時速40km、時速50kmになっていくような、速度が増えようとしていく増え方が分かる。
積分は、関数をグラフにした時に面積を求めることで、合計の移動距離が分かる。とても短い時間とその時の速さをかけることで、その時の面積(小さな棒グラフ)すなわちその時の距離が求められる。この面積の総和(全体のグラフの面積)が全体の移動距離になる。
微積分は、加速度計の情報から自動車の移動距離を出すような計算に使える。
積分はそもそも複雑な図形の面積を求めるための方式で、古くから存在する。
微分は関数とその関数の導関数が含まれている式を微分方程式と言うが、力学や熱や波動などの物理的な数式でも多用される。
(自分の書いたFacebookより。修正済み)
微分とは、すなわち、ひとつの単位で値がどれだけ増えるか、ということを示す値のことです。
たとえば、\(f(x)\)があった時、局所的にこの関数の増減を見ます。xが1の時であれば、たとえばhを今10であるとして、xが1から11までの\(f(x)\)の増分を取ります。この増分をhすなわち10で割り算します。そうすると、1から2、2から3、3から4、...と来て10から11までのひとつひとつの変化率がでます。
ここで、hがどのような値であるかは重要ではありません。hが「0へと無限に近づけた時に一定の値に収束するかどうか」が重要です。なぜなら、xが1から100であろうと、1から1000であろうと、その増分だけ割り算してしまえば、結果は同じことです。もし、限りなくhが0へと近づいた時に、この値が一定の値に収束するのであれば、「同じだけの単位ずつ値が増えている」ということの証明になります。そして、これこそが微分した時に得られる「接線」の意味です。
では、微分の逆演算である積分とはなんでしょうか。これは、微小な単位で増えていく増分が一定であるということが最初から分かっています。これはすなわち、1から2になる時の増分がどうなるか、2から3になる時の増分がどうなるかということを、すべて一定の値で計算することができるということを意味しています。これを積分するということは、すなわち1から2になる時の増分、2から3になる時の増分、3から4になる時の増分、...ときて10から11になるまでのすべての増分が計算できるということを意味します。これをhが限りなく0に近くなる状況で関数にすれば、まさに面積の総和を出すことができるのです。
割り算の常識として、「0で割ってはならない」というのがあります。
しかしながら、極限を使うことで、0のような数でも割り算、すなわち分数の分母に使うことができます。
そもそも、極限で「限りなく0に近づく数」というのは、極限を使わなくても0を代入すればいいだけの話であり、意味がありません。
しかしながら、極限値を分数の分母などに使う場合、すなわち「限りなく0に近い数で割る場合」に、極限値は有用になります。
(詳しくは図解入門よくわかる高校数学の基本と仕組みが参考になります。)
微分と積分の基本定理として、関数\(x^2\)を微分すると関数\(2x\)が得られ、この\(2x\)を積分すると関数\(x^2+C\)が得られます。
定数Cを無視すれば、微分した結果を積分すれば元に戻ります。これが微分と積分の関係です。
(数学の思想 (NHKブックス 42)を参考に執筆しました。)
数学的に見ると、微分は「瞬間の速さ」を表し、積分は「面積」を表す。
これが、物理学においては、加速度によって変化するその時点での速度と、距離の総和になる。
微分で出した瞬間の速度における移動距離がひとつの棒グラフになり、その総和が面積となる。
つまり、瞬間の速さと面積が、逆演算になる。
分からない人は、「接線と面積を出すもの」だと思っていればいいかも。
時間と速さのグラフを積分すると、移動距離になる。時間と移動距離のグラフを微分すると、速さになる。
後日注記:分かりもしないのに分かったふりをしているので、間違っているかもしれません。
関数\(f(x)\)があった時、以下のようにいう。
用語 | 説明 |
---|---|
差分(difference) あるいは増分(increment) | hを0でない絶対値の小さい数とした時、以下を差分という。 \[f(x + h)-f(x)\] |
差分商 | 差分商とは、差分に対するhとの比のこと。 \[\frac{f(x + h)-f(x)}{h}\] |
微分商 または微分係数 | hが限りなく0に近づく時、差分商がAに収束するならば、 Aをxにおける\(f(x)\)の微分商または微分係数と呼ぶ。 \[\lim_{h \to 0}\frac{f(x + h)-f(x)}{h}=A\] |
導関数 | 関数\(f(x)\)があった時、導関数\(f'(x)\)は以下のように定義される。 \[f'(x)=\lim_{h \to 0}\frac{f(x + h)-f(x)}{h}\] |
微分 | \(f(x)\)から\(f'(x)\)を求めることを\(f(x)\)を微分するという。 |
落下する物体の速度と落下距離の比は、速度は落下距離の時間による微分商、加速度は速度の時間による微分商で求められる。
後日注記:微分は何度も繰り返し行うことができる。距離を時間で微分すれば速度になり、速度を時間で微分すれば加速度になる。
(以上は「現代数学への入門 微分と積分1 (青本和彦 岩波書店)」と「基礎からのシグマベスト 高校 これでわかる数学II+B(文英堂, 2008年発行版)」を参考に執筆しました。)
2023.02.23編集
与えられた関数を導関数として持つような未知の関数を求めることを、不定積分を求めるという。
式 | 説明 |
---|---|
\(F(x)\) | \(f(x)\)の不定積分の1つを\(F(x)\)とする。 |
\(F(x)+C\) | \(f(x)\)の任意の不定積分は、Cを任意の定数として、\(F(x)+C\)と表せる。 |
\(\int f(x)\mathrm{d}x\) | \(f(x)\)の不定積分を\(\int f(x)\mathrm{d}x\)と表す。 |
\(F(b) - F(a)\) | \(\int f(x)\mathrm{d}x=F(x)+C\)の時、\(F(b) - F(a)\)の値がよく必要になる。 これを以下のように表して、\(f(x)\)のaからbまでの定積分という。 \[\int_a^b f(x)\mathrm{d}x=\Bigl[ F(x) \Bigr]_a^b\] |
(以上は「現代数学への入門 微分と積分1 (青本和彦 岩波書店)」と「基礎からのシグマベスト 高校 これでわかる数学II+B(文英堂, 2008年発行版)」を参考に執筆しました。)
以下は参考文献。この内容は以下の書籍を参考に執筆・引用しました。
関数における分析をする際に、「最大値と最小値」の問題と、「関数が上に凸なのか下に凸なのか」という問題がある。
この際に、関数の一点に接して「傾き」の通りに傾いた直線である「接線」により、接線の傾きが0になる場合に、最大値と最小値を求められる。
また、関数の二点を結ぶ直線である「割線」で、割線よりも曲線が上に出るか下に出るかを考えることで、上あるいは下に凸凹な関数の形状を求めることができる。この時、関数の凸凹は、接線の傾きがどのように変化するかによって決まる。
ニュートン・ラフソン法は、接線と傾きを使って、「手続き」を繰り返すことで、平方根やそれ以外の値を求める方法(反復法)。
ただし、これらの方法は判別のために判別式を用いるため、扱える関数の範囲は限られたものになる。これを一般化したものが微分である。
(オイラーの贈物を参考に執筆しました。)
2024.02.20
関数が「滑らか」であるとは、「関数が微分可能で、その導関数が連続的であること」と定義できる。
そして、導関数も関数であることから、導関数が滑らかであるならば、それをさらに微分して、さらに導関数の導関数を求められる。
これを「高階導関数」と呼び、一階導関数、二階導関数、…のように何度も微分をかけることができる。
後日注記:関数が滑らかであるとは、関数の軌道において特異点を作らずに連続していることを意味する言葉。特異点とは、軌道において、途中で滑らかな連続性から外れてしまうような、尖った点のこと。
(オイラーの贈物を参考に執筆しました。)
2024.02.20
2024.10.16-17編集
微分の式を表す際に、
\[f'(x)=\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}\]
のように「\(\mathrm{d}\)」という記号を多用する。
この\(\mathrm{d}\)の意味とは何か。
これは、「微小な差分」あるいは「とても小さな変化量」という意味である。
微分の式では、
\[f'(x)=\lim_{h \to 0}\frac{f(x + h)-f(x)}{h}\]
を多用するが、物理でよく使われるラグランジュ記法では、\(h\)が限りなく0に近づく場合、\(h\)の代わりに\(\mathrm{d}x\)、\(f(x + h)-f(x)\)の代わりに\(\mathrm{d}y\)と表記する。
また、2回微分をすると、
\[f^{(2)}(x)=\frac{\mathrm{d}^2y}{\mathrm{d}x^2}\]
のように、分子は\(\mathrm{d}\)の上に2をつけるが、分母は\(x\)の上に2をつけることに注意しよう。
ちなみに、\(f'(x)\)のように'を付けるのは、ライプニッツ記法と呼ばれる。このほかに\(y\)の上にドット(・)を付けるニュートン記法がある。
詳しくは以下を参照のこと。(この内容は以下のページを参考に執筆しました。)
また、時間\(t\)を使う関数の場合、
\[\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}t}\]
もよく使用する。
たとえば、ニュートンの運動方程式は、
\[\boldsymbol{v} = \frac{\mathrm{d}\boldsymbol{r}}{\mathrm{d}t}\]
\[\boldsymbol{a} = \frac{\mathrm{d}\boldsymbol{v}}{\mathrm{d}t} = \frac{\mathrm{d}^2\boldsymbol{r}}{\mathrm{d}t^2}\]
\[\boldsymbol{F} = m\frac{\mathrm{d}^2\boldsymbol{r}}{\mathrm{d}t^2}\]
と書ける。
速度\(\boldsymbol{v}\)は位置ベクトル\(\boldsymbol{r}\)の時間微分として表せる。また、加速度\(\boldsymbol{a}\)は速度\(\boldsymbol{v}\)の時間微分として表せる。
詳しくは以下を参照のこと。(この内容は以下のページを参考に執筆しました。)
微分方程式は、たとえば\(y = f(x)\)である時、
\[y' + 3y + \cos x = 0\]
のように、関数の導関数が含まれる方程式を微分方程式と呼ぶ。
そして、ニュートンの運動方程式である、
\[\boldsymbol{F} = m\frac{\mathrm{d}^2\boldsymbol{r}}{\mathrm{d}t^2}\]
は、2階の微分方程式である。
後日注記:ガリレオは「宇宙という書物は数学という言葉で書かれている」と言ったが、微分方程式を学ぶことで、「宇宙を記述する言語」としての数学を学ぶことができる。
(放送大学「数学再入門 ('07)」を参考に執筆しました。)
2023.02.03
2024.07.16編集
多変数による多項式\(f(x_1, x_2, \cdots, x_n)\)の微分を考える際に、ひとつの\(x_j\)にのみ注目し、ほかをすべて定数と見なすことで、その\(x_j\)だけの導関数を微分することができる。
これを「偏微分」と呼ぶ。また、このようにして得られた導関数を「偏導関数」と呼ぶ。
偏導関数は、
\[f_{x_j}(x_1, x_2, \cdots, x_n)\]
あるいは
\[\frac{{\partial f}}{{\partial x_j}} (x_1, x_2, \cdots, x_n)\]
などと表す。
(以上は「現代数学への入門 代数入門 (上野健爾 岩波書店)」を参考に執筆しました。)
2024.07.21
自分の書いたブログ「わたしの名はフレイ」2020/09/18より。
微積分について言うと、まず、定速度の時を考える。
たとえば、常に秒速10メートルで走るとする。
この場合、速度は最初の時間が10、次の1秒後も10、その後も10である。
速度と時間のグラフはまっすぐで高さの同じ平行線になり、面積は長方形になる。
この時、速度10×時間6で、6秒間の移動距離が出る。
これは簡単である。
次に、定加速度の時を考える。
たとえば、1秒ごとに秒速5メートル加速して走る。
この場合、速度は10, 15, 20, 25, 30, 35と増えていく。
速度と時間のグラフは、同じ加速度ずつ上がっていく、右肩上がりのまっすぐな直線になる。
この場合、微分で求められるのは瞬間の速さの変化率であり、この場合は秒速5メートルである。
そして、移動距離の総和は、このような定加速度でまっすぐに足していく場合、それぞれの時間の移動距離を足して、6秒間の総移動距離であれば10 + 15 + 20 + 25 + 30 + 35となる。
これは、1秒ごとに「その時の速度×その時の時間」をかけることで、「その時の面積」を出すことができ、これが「その時の距離」になり、これを全ての瞬間で求めて総和する、すなわち「総面積を出す」ことで、「総移動距離」になるからである。
しかしながら、微積分を行う上で、このようにまっすぐ増えていくことは普通ではない。
たとえば、0秒後は10、1秒後は30、2秒後は20、加速していくこともある。
この時、速度と時間のグラフは、ぐにゃぐにゃした自由曲線になる。
このような時に、瞬間の速さの変化率を出すことが微分であり、面積を出して総移動距離を出すのが積分なのである。
しかしながら、定速度や定加速度の場合と違い、こうしたでこぼこの関数の瞬間の変化率や面積を出すことは簡単な話ではなく、定加速度の時のように全ての速度を足すことでは計算できない。
このために、微分や積分の専用の記号を使うのである。
(数学に詳しい父親の話を参考にしています。)
しかしながら、なぜ定積分をすると面積になるのだろうか。
これは以下の書籍に詳細な証明と説明が掲載されているので、一読することをおすすめする。
微分とは、「瞬間の変化」を出す数学だ。
まず、ある区間からある区間での平均変化率を出して、その区間を「無限に小さく」することで、「瞬間の変化」を知ることが出来る。
また、積分は微分の逆演算であると同時に、「面積」を出す学問だ。
後日注記:微分により、関数の変動の仕方、すなわち「増え方」を解析することができる。
数学は難しい、と言われる大きな要因が、「微積分の概念の難しさ」である。
たとえば、指数・対数のような関数は、式は難しいと言えども、概念的には簡単で、2乗、3乗と数が増えていくだけである。三角比と三角関数も、測量の技術に直角三角形の辺の比を使って、関数の描くサインカーブが波になる、というだけである。幾何学についても、ユークリッド幾何学は分かりやすい定理と証明の練習になるし、式の計算もそんなに理解が難しくは無い。ベクトルや行列も、概念は簡単である。
だが、高校以上の高等数学を人々から隔てている大きな原因が「微積分の分かりにくさ」ではないかと思う。
そもそも、導関数や原始関数というものが、何を意味しているのか、良く分からない。その上で、微分するために式を変形し、分数にする意味が分からないし、接線として平均変化率を出す、ということが何を意味しているのか、良く分からない。積分について言えば、インテグラルと呼ばれるS字記号の意味が、まず分からない。そして、面積を求める、ということがなぜ関数に必要なのかが分からない。そんな面積という概念が、微分の逆演算であり、さまざまな解析学の式にどうして出てくるのか、理解は混迷に至るのである。
だが、微積分を理解するのであれば、まず、面積と変化率ということを「概念的なもの」として、理解せずに分かったつもりになってしまうこと。そして、その上で、「関数に対するさまざまな応用的操作なのだな」と思うこと。これで、数学と呼ばれるものの理解が楽になる。
微積分は、関数への操作、関数への応用なのである。その「関数」と呼ばれるものをいかに操作するか、「関数」と呼ばれるものの特性をどのように利用するか、というだけに過ぎない。よって、微積分は、関数だと思えば分かる人間が多い。
ある意味、関数の上がり下がりや変化を見るのが微分で、関数の全体の総和や統合を見るのが積分である。そのために、分かり辛いさまざまな説明をするよりも、「関数の応用」だと考えて、実際の式を知った方が良い。その方が楽しいし、計算していることで、帰納的に見えてくることもある。
平方根や複素数や数列なども難しいが、概念的に理解するのは簡単である。そして、高校以後の数学は考えるよりも覚えることの方を重視する。高校数学をやると、考えなくなる人間が多い。高校数学なんか、そんなものだと思えば良い。
そもそも、みんな、微積分が何なのかなんて、分かっちゃいない。関数の面積と変動率だと教えるのは、なぜそうなのか分からないからである。面積と変動率という説明をするしかないのである。変化と統合であると理解するしかない。たくさんのそうした公式が多いのは、「関数を変形させる」ということが、解析学という学問において、とても面白く興味深いからであり、それだけに過ぎない。
なぜ、微積分がこれほど重要なのか。
それは、図形の形状の変化、という意味において、関数の変化率と面積が、その背後にあると同時に、考えるべき重要なことだからです。
たとえば、日本人はやけに円が好きです。太陽神であるアマテラスを信じ、お札や硬貨にも「円」という名前の単位を付けた日本人は、円が大好きです。
円について言えることは、独特の「丸っこくて美しい形状」をしているということです。
まだ算数や幾何学を習っていなかった子供の頃、円の美しい形状が好きだった人は多いはずです。
そして、この円の美しい形状を考える上で必要なのは、このような「形状」を関数であると捉えることです。
美しい形状をしているのは、円だけではありません。比例・反比例の一次関数、放物線の二次関数、サイン・コサイン・タンジェントの三角関数、あるいは指数関数・対数関数などで、どれも美しい形状のグラフが関数によって記述されます。
そして、このような関数を考える上で、「変化率」と「面積」がもっとも重要な考え方となります。
変化率は、関数における「形状のひとつひとつの値の変化」がどのようになっているかを捉えられます。
また、面積は、関数における「すべての値を包括した形状全体の大きさ」を求めることができます。
そして、微分は変化率、積分は面積を出すための特別な式です。そして、両者は互いに逆演算の関係にあります。
そう、小学校の算数で、なんとなくわたしたちは「公式によって面積が出せる」ということだけを学んできましたが、より一般的に関数の形状の特徴を探っていく上では、微分と積分は重要になるのです。
微分において、「速度」という概念が重要です。
速度とは、距離を時間で割った値のことです。
ですが、この「速度」とは、どのような値のことを指すでしょうか。
距離を時間で割る中で、メートルやキロメートルといった単位は重要ではありません。単位は、計算した後で合わせればいいからです。
重要なのは、「距離」という量を「時間」という量で割る、ということです。
この速度という概念は、そもそも、「単位量ごとに変化する」という関係性に基づく値のことを指します。
「距離」や「時間」は、計測された実際の物理量を表していますが、「速度」は単位量ごとの変化を表しており、実際に計測された値というよりも、値と値の「関係性」を表しています。
そして、速度のような、関係性に基づいて単位量ごとに変化する値というのは、現実世界の中にたくさんあります。
速度とは、「単位量ごとの変化」を表します。
そして、そのような「単位量ごとの変化」を表す量に対して、「瞬間の速さ」すなわち「瞬間の変化率」を求めることのできる計算を、微分と言います。
このように、宇宙には単位量ごとの変化を表す量がたくさんあります。そのような変化の変化率を求めること、それが微分なのです。
後日注記:単位ごとに変化する量が関数(原始関数)だとしたら、その変化する量の変化率を求める「関数についてくる関数」が導関数だと言えるでしょう。
2023.03.18-19
微分の接線とは、要するに勾配(こうばい)のことです。
すなわち、傾斜の具合のことです。
僕はデザインの仕事をしているから言えることですが、ベジェ曲線で曲線を描く際に、カーブを描くために同様の勾配を使います(微分における接線とベジェ曲線とが同じものなのか、それとも異なるものなのかは僕には分かりません)。
微分において、導関数は傾斜の具合を示すための関数であると言えます。微分はカーブを描く際にそのカーブがどれだけの曲がり方をしているか、ということを示すものです。
2023.05.17
数学史の本である「カッツ 数学の歴史」では、微分の教科書として、ロピタルの「曲線理解のための無限小解析」という最初の頃の教科書の内容に触れています。
ロピタルと言いますが、実際にはヨハン・ベルヌーイが研究したものを、ロピタルという人物がベルヌーイの講義を聞いて記述したものです。
ここでは、「無限に小さい部分だけの変量の増加・減少が連続している時、その無限小部分を微分と呼ぶ」「無限小量しか変化せず、差がないものは、同じ状態として見做すことができる」「曲線は無限なだけ多くの無限小直線であり、曲線はそれぞれが無限小の無限なだけ多くの辺による多角形であり、それらの角によって曲線の曲がり具合が決められる」という、微分についての直観的な説明が述べられています。
2024.12.23-24
微分の計算公式として、\(y=x^n\)の時、\(y'=nx^{n-1}\)(nは正の整数)が成立する。
例題として、\(y = 4x^3\)を微分すると、
\[y'=(4x^3)'=4(x^3)'=4 \cdot 3x^2=12x^2\]
(以上は「基礎からのシグマベスト 高校 これでわかる数学II+B(文英堂, 2008年発行版)」を参考に執筆しました。)
2023.05.19編集
微分の計算公式として、nが0または正の整数の時、以下が成立する。
\[\left(\frac{x^{n+1}}{n+1}\right)'=x^n\]
よって、以下の積分の公式が成立する。Cは積分定数。
\[\int x^n \mathrm{d}x=\frac{x^{n+1}}{n+1}+C\]
ここで、\(\int f(x)\mathrm{d}x=F(x)+C\)の時、\(f(x)\)のaからbまでの定積分は以下のようになる。
\[\int_a^b f(x)\mathrm{d}x = \Bigl[ F(x) \Bigr]_a^b = F(b) - F(a)\]
例題として、
\[\int_2^6 x^4 \mathrm{d}x=\left[\frac{x^5}{5}\right]_2^6=\frac{6^5}{5}-\frac{2^5}{5}=\frac{7776-32}{5}=\frac{7744}{5}=1548.8\]
(以上は「基礎からのシグマベスト 高校 これでわかる数学II+B(文英堂, 2008年発行版)」を参考に執筆しました。)
2023.05.19編集
2023.11.18編集
積分において有用な公式として、置換積分法と部分積分法がある。これらのテクニックを使うと、積分できる関数が大きく拡大する。
置換積分法は、\(x=x(t)\)として、
\[\int f(x)\mathrm{d}x=\int f(x(t))\frac{\mathrm{d}x}{\mathrm{d}t}\mathrm{d}t\]
また、部分積分法は、
\[\int f' \ g \ \mathrm{d}x=f \ g - \int f \ g' \ \mathrm{d}x\]
置換積分法は微分法における合成関数の連鎖律に、部分積分法は積の微分法に対応する。
(オイラーの贈物を参考に執筆・引用しました。)
2024.02.20
(視覚でとらえるフォトサイエンス物理図録より編集して引用。)
以下は主な関数の導関数。
\[(x^n)'=nx^{n-1}\quad(nは有理数)\]
\[(\sin x)'=\cos x\]
\[(\cos x)'=-\sin x\]
\[(\tan x)'=\frac{1}{\cos^2 x}\]
\[(a^x)'=a^x\log_e a\]
\[(e^x)'=e^x\]
\[(\log_a|x|)'=\frac{1}{x\log_e a}\]
\[(\log_e|x|)'=\frac{1}{x}\]
以下は主な不定積分(Cは積分定数)。
\[\int x^n \mathrm{d}x=\frac{x^{n+1}}{n+1}+C\quad(n\neq-1)\]
\[\int \frac{\mathrm{d}x}{x}=\log_e|x|+C\]
\[\int \sin x \mathrm{d}x=-\cos x+C\]
\[\int \cos x \mathrm{d}x=\sin x+C\]
\[\int \frac{\mathrm{d}x}{\cos^2x}=\tan x+C\]
\[\int a^x \mathrm{d}x=\frac{a^x}{\log_e a}+C\]
\[\int e^x \mathrm{d}x=e^x+C\]
以下は参考文献。
力学やニュートンとアインシュタインを参照のこと。
ベクトルを参照のこと。