古いコンピュータの世界観2(パソコン)です。古いコンピュータ1(メインフレーム・ミニコン)も参照のこと。
IBMがメインフレームで巨額の資金を儲けていたのとは、もうひとつ別のコンピュータの集団が居ます。それは、パソコン革命と呼ばれる「庶民的なコンピュータの革命」です。そして、これが今のWindows PCへと繋がります。
詳しくはパーソナルコンピュータ史 - Wikipediaを参照のこと。
Altair 8800によって、パソコン革命(PC革命)が始まった。
Altair 8800は小型化されたマイクロコンピュータで、1975年1月にPopular Electronics誌で紹介された。
当時、個人が自由に持つことができて、使用料を払わなくても自由にプログラミングができるコンピュータというのは画期的(あるいは革命的)でした。どれだけ革命的だったのかは、The Linux Kernel: ハードウェアの基本を読めば分かります。
このようなコンピュータを、個人の持つことができるコンピュータという意味で、パーソナルコンピュータ(パソコン)、あるいは、ミニコンやワークステーションよりも小さなコンピュータという意味で、マイクロコンピュータ(マイコン)と呼びます。
アップルコンピュータのワンボードマイコン。
ROMでBASICインタプリタを搭載し、「誰でも簡単にBASICプログラムを入力して実行できる」と大成功した。1977年。
BASICも参照のこと。
IBMによるIntelの16bit CPUを採用したパソコン仕様。仕様をオープン化し、さまざまな互換製品を売り出せるようにして、市場を破壊した。
マイクロソフトはIBM PC向けにMS-DOSを開発。DOS(ディスクオペレーティングシステム)の名前の通り、ディスクの管理が主な機能だった。
ハードウェアを搭載したPC/XT、CPUをさらに高速な80286にしたPC/ATを発売し、他社もPC/AT互換機を発売した。1981年。
アップルによる、GUIとマルチタスクによる先進的な操作環境を備えた製品。1983-1984年。
Macを参照のこと。
1980年代より高性能なコンピュータであるワークステーションが大学や研究所などで使われていた。
1990年代にパソコンのネットワーク機能が進歩したことで、UNIXがパソコンでも動作するようになった。
1990年代末には、PC/AT互換機とWintel(Windows + Intel)の組み合わせがパソコン市場で事実上の標準となった。
Windowsを参照のこと。
ある意味、プログラミング中心のIT業界をもしかしたら作ったと言えるかもしれない人物として、電卓のマイクロプロセッサを開発した日本人の嶋正利という人が挙げられるかもしれません。
それまでのコンピュータというのは、大型で、たとえ「電子卓上計算機」と呼ばれているものであっても、石油ストーブを横にしたくらいの大きさがあり、何枚も論理回路の刻まれた基板を積み重ねて、四則演算が可能になっていました。
これに対して、嶋正利は、マイクロコンピュータという発想をします。CPUを小さくし、CPUはごく基本的な演算だけ(たとえば4ビットの十進一桁のみの計算を行う)を論理回路に書き込み、計算の手順を記述したプログラムをプログラミングしてCPUに与えることで、さまざまな機能を電卓で使えるようにしたのです。
嶋正利は、Intelと協力し、「Intel 4004」という4ビットのプロセッサを開発します。
Intelのこのマイクロコンピュータの流れは、IBM-PCやMS-DOSに直接繋がっていく「庶民のコンピュータ」の流れであり、かつては「マイコン」と呼ばれました。マイコンはメインフレームやUNIXを中心とするワークステーションの流れではありませんが、今のパソコン業界、特にプログラミングによって成り立つプログラマの仕事の、基本的な源流であると言えるでしょう。
後日注記:ただし、CPUとメモリによる計算機のアーキテクチャは既に生まれています。メモリから、CPUに送り出す計算命令であるプログラムを読み出す「プログラム内蔵方式」は1945年に生まれたものです。
当時のパソコン革命の起業家は、一種の「パソコン革命ムーブメント」を作り出しました。
プログラミングができる人間が、数人で集まってガレージで創業し、BASICインタプリタを搭載した小さなパソコン(マイコンとも呼ばれる)を作って売り出すことで、大儲けして一夜にして大金持ちになれる、という様相だったのです。
僕が子供であった時代は、すでにファミコンやスーパーファミコンがあり、当時のApple IIなどがどれだけ大成功したのか、ということはまったく知りません。
ですが、当時には、「勇気を出して起業してパソコンを作れば大金持ちになれる」という、「気運」が確かに存在したのです。
アップルのスティーブ・ジョブズを生み出したのも、マイクロソフトのビル・ゲイツを生み出したのも、そのようなパソコン革命の気運だったのだと思います。
そして、このパソコン革命の気運が、そのままLinuxのようなオープンソースなPC-UNIXへと繋がっていくのです。
(一夜にして大金持ちになる大学生の逸話については、The Linux Kernel: ハードウェアの基本が参考になります。)
ホビーパソコンを参照のこと。
DOSを参照のこと。
BASICを参照のこと。
ダイナブック構想も参照のこと。