Assyの美術入門です。
自分の書いた「エリカの技術・芸術日記」2021/08/15より。
イラストなど、透視図法を分かってしまえば、どんな風景画でも正確に描けるようになる。人間を描くためのコツは、常に輪郭線を意識して、いわば24時間対象を絵に直すことだけを頭の中で行うことである。女性を描くにはまつげをつける。線を引くだけの作業なら、工夫やアレンジのしがいがあるだろう。
自分の書いた「エリカの技術・芸術日記」2021/08/22より。
僕は、絵を描く力とは、アタリを正しくとる力ではないかと思う。アタリの位置や大きさを正確にとれば、あとは鉛筆と消しゴムで細部を描けばよい。
人間をイラスト化したいなら、3Dの人形を描くしかない。それだけを練習すれば正しいアタリが描ける。
アタリを単純化すると、むしろ点でいい。点に向かって手足を体から伸ばせばよいのである。
風景を描くなら、レイヤーが重要だ。さまざまな重ね合わせを考えて描けば、違和感なく全体が調和する。
そもそも人間の体は、手足の関節が2・3あるだけだ。描くのは難しくない。
僕は、絵を描く上で重要なのは、全体のバランス、細部のディティール、質感、光と陰、だと思います。
まず、全体のバランスです。これは大きさや位置、形のことです。大きさや位置、形をきちんと全体と個別の部分をよく見た上で、正しい寸法で描きます。3Dを2Dに直すためには、骨格と関節を持った3Dの人形がどのような姿でそこに現れているのかを考えて想像します。
次に、細部のディティールです。細部の詳細を、綺麗になるように作りこみます。人間の顔であれば、髪の毛、目、鼻、口、耳、顔の表情、輪郭線などを、細かくなりすぎであると言えるぐらい細かく綺麗に描きます。
次に、質感です。人間は有機物の筋肉と皮膚の塊ですが、服などはそれぞれの服の素材によって質感が違います。細部のディティールを描きながら質感を出すことで、絵がより綺麗に、またリアルになります。質感を出すために、後述する光と陰を利用することもできます。
最後に、光と陰です。どこから光が当たっていて、どこが陰になっているか、ということを作りこみます。光がもっとも当たっている部分はもっとも明るく、もっとも当たっていない部分はもっとも暗くします。
このようにすることで、絵は描くことができます。ですが、何度も何度も繰り返し描き直すことは大切です。ひとつひとつの「その時発見したこと」が、次に繋がっていきます。何度も描き直すうちに、絵が自分の絵になっていき、個性も生まれると言われています。
また、遠近法を上手く使って、単なる四面体であっても数学の図のように描くのではなく、どこかを人間の視点とした上でそこから消失点へと伸びていくように描くことで、絵がより正確かつリアルになります。
複雑なものに角度をつけて描くためには、直線や四角形、四面体などに置き換えて、それに沿った形で複雑なディティールを描くこともできます。
最初のうちは、写真や別のイラストを模写するといいかもしれません。
このようなデッサンを行うための基本的な技能は、風景デッサンの基本 (ナツメ社Artマスター)に詳しく記述されており、参考になります。
絵を描くコツは、比率を考えることかもしれません。
たとえば、1対1の比率だけではなく、1対2、2対3、1対5など、それぞれの比率を正確に描くことができたら、ものを描く時に全体のバランスを取りやすくなります。
絵を描くためには、色んなことを考えることです。
たとえば、そのものの描き方を考える上でも、「ものの形や形状」「大きさ」「位置」「向き」などが考えられます。
最初は、「形や形状」を考えるところから始めます。形を考える上でも、「大きさ」や「位置」や「向き」を正確に描けるように、デッサンで考えます。
また、もの空間に配置するためには、「拡大率」「角度」「前後関係」「空間における並行と垂直の表現」が考えられます。
たとえば、都市の中に人間を配置する場合、どれくらいの大きさで人間を拡大・縮小しなければならないかを考えなければなりません。二階建てのビルよりも大きく人間を描いてはいけません。
特に、物理空間は3次元を2次元に直す作業であり、数学の図のように並行な直線でも、透視図法のように消失点に対する角度として描かなければいけません。「部屋の中にまっすぐに境界線を引く」だけでも、高さ、幅、奥行きの「直線の方向」を揃える必要があります。透視図法では、目線の位置と「最終的に消失する場所=消失点」がどこにあるかから考えます。
また、たとえばものを持つようなものを書く場合には、「作用点(掴んでいる手)とものの間でどのような形状の変化が起きるか」を考えないといけません。掴むのか、投げるのか、吊るすのか、などによっても変わります。これは手で首根っこをつかんで吊るした猫のような柔らかいものに対してなどが考えられます。
人間を描くのであれば、人間の「見た目」と「行動」があります。走っている人間を描くためには、走る時はどのように走るのかを知り、考えなければなりません。その人間がその行動をしている際、どのように「骨格」や「筋肉」が曲がるかを考える必要があります。骨格には「曲がることのできる限界点」があり、その限界点以上に曲がってはいけません。曲がる範囲がどこからどこまでであるかを考えながら、3D人形を動かして、「自然で正しい人間(あるいは動物)の形」を平面上に作り出します。
また、体を描くのであれば、投身を考えます。七等身の体をベースに考えると良いでしょう。一番上の一等身が頭、その下の三等身が体(胸から腹)、その下の三等身が脚になります。また、両腕を伸ばした長さが身長と同じになります。男の体は逆三角形に、女の体はひし形に描きます。女性の場合はウエストと腰に注意が必要で、ウエストを細くし、腰は子供(胎児)が入ってもおかしくないぐらい大きく描きます。(詳しくはなぞって上達! マンガキャラ描き方・デッサン-基本とコツがよくわかる! (池田書店のマンガ上達シリーズ)が参考になります。)
この時、胸に胸部を抽象化した逆三角形のハートを入れて、腰に骨盤を抽象化した半分の高さの逆でないハートを入れると、綺麗にデザインできます。(詳しくは全身の描き方その一 - 人を描くのって楽しいねが参考になります。)
また、顔を描くのであれば「顔のパーツの位置や大きさ」を知っておく必要がありますし、「目や口の表情」もデフォルメしながら考えて作る必要があります。特に目については、「どのように描けば可愛く描けるか」が重要であり、リアリティとデフォルメをバランスよくとりながら、「まつ毛や瞳などをどう描くか」が重要です。特に女性であれば、本当の目よりも大きくまつ毛などを描かなければ可愛さは出ません。まつ毛を太く、中の瞳を綺麗に描き込むことで、プロの漫画家が描くようなデフォルメした目が描けます。
綺麗な人間の絵を描くためには、「人間をどのように美しく書くか」を知っておかなければなりません。たとえば鼻をどのように描くか、頭と顔の中にどのような形状でどの位置にどの大きさでパーツが配置されるか、顔の向きや表情によってどのようにそのパーツが変わるのか、ということを考えます。基本的に、頭を丸で描いたら、それを半分、その半分、その半分の位置に線を引いて、そこに目(真ん中)、鼻(目とあごの真ん中)、口(鼻とあごの真ん中)を配置すると綺麗に配置できます。また、顔の正中線に両目と耳が、垂直線に鼻と口とあごが配置されます。(詳しくはDVDビデオ付き! アニメ私塾流 最速でなんでも描けるようになるキャラ作画の技術が参考になります。)
また、複雑な図形を描く時は、「同じ大きさの丸や四角に置き換えて描く」という手法が使えます。たとえば家屋や建物や自動車や木などを描く時に、同じ大きさの四角形に直して、その上で「その平面に配置するのであれば(数学的に)どう描けばいいか」を考えます。
また、単純に輪郭線だけではなく、テクスチャも考えなければいけません。陰(シェード)を描く時は、「光がどの方向からどのように当たっているのか」を考え、表面が100%明るくて裏面が100%暗い場合、それぞれの面がどれくらいの明るさになるかを、等間隔で変わっていく100%~0%の間で考えます。また影(シャドウ)を描く時も、どの方向から光が当たっているかを考え、その「光の向きがまっすぐに影を作り出すとしたら」という光の延長方向を考えて、四角形を棒に直して長さを考えます。(詳しくは風景デッサンの基本 (ナツメ社Artマスター)が参考になります。)
これらに加えて、ものや風景を描くために、「質感」や「形状の変化」を考えます。雪が積もるとはどのように積もるのか、波が立つとはどのような立つのか、雲はどのようにできるのか、森や林は人間から見てどのように見えるのか、などを考えなければいけません。「どのように描けば綺麗に見えるのか」を、頭と手の両方を使って考えます。
絵を描くのは簡単に見えて、多くのことを考えなければなりません。最初のうちは、「形状・大きさ・向き+位置・拡大率・角度」のように考えることが良いと思います。
また、必要なのは「考えていろいろと変えてみる」ことです。「手を使う」ということが自由の基本です。
また、イラスト制作のコツは、対象の特徴を捉えることです。
たとえば、ウサギを描くのであれば、長い耳と赤い目が特徴的です。カエルを描くのであれば、目が顔よりも飛び出ているところやビョーンと伸びる脚などが特徴的だと思います。
動物だけではなく、仕事をしている職業の人やものを描くのであっても、特徴を大きく描くようにすることで、可愛いイラストが描けます。
人間を描く時のコツは、人間を「回転する手足のついた胴体」だと考えることです。
人間を、手足のついた胴体すなわち丸だと考え、それを回転させることで、輪郭線をとりやすくなります。
イラストを描く、ということは、まず、輪郭線を描くことから始まります。
輪郭線は、3Dのモデリングを想像力でやる、ということです。
そして、それは平面に奥行きをつける作業に他なりません。
まず、その対象となる物体を、正面から見た図を描きましょう。そして、それに奥行きをつけていきます。
この時、最初は、ただ四角形のような図形を描いて、そこに奥行きをつけます。奥行きは、適当で構いません。それで、きちんと最初のイラストが描けています。
そして、正面から見た図形を少し、角度や向きを変えて描いていきます。
この時、角度や向きが多少実際の物体と違っていても、いいかげんで構いません。なぜなら、それらは「見る人間の向きによって変わる」からです。
そこまで言えば分かるかもしれませんが、角度や向きが多少違っていても、「人間の向きごと変えてしまえば良い」のです。
これを練習することで、家屋や自動車のような単純な形のものは描けると思います。
ただし、ここで問題なのが、人間の体のように、丸みを帯びた体です。これをどのように輪郭線にするかが問題となります。
ここで、言えるのは、一番突き出ている部分をベースに輪郭を描くということです。そして、隠れている部分は描かなくて構いません。
ただし、そこで言えるのが、「どこが突き出ていてどこが隠れるのかは、その対象の向きと視点の向きによって変わる」ということです。
つまり、先ほどと同じで、多少実際のものと比べて突き出ている部分が違っていても、それはその最初のデッサンした向きに合わせて、臨機応変に変えていけば良いのです。
これで、人間の体や手足も描けるようになるでしょう。
また、輪郭線を描くだけでは、立体的になりません。ここで、陰(シェード)や影(シャドウ)を描く必要があります。
これは、光源の場所によってどこが陰・影になるかが変わります。
ですが、これも同じで、光源の場所を適当に設定し、描いたデッサンによって臨機応変に合わせて変えていけば、綺麗なイラストになります。
ここまで、「臨機応変に変えていけ」という話をしましたが、変えることのできないものがあります。それは全体のバランスです。
全体の大きさや形は、変えることができません。よって、考えるべきことは、グリッドのように、その物体がどこにあって、どのような大きさで、どのような形をしているか、ということです。
また、ここでも言えることとして、実際のものをそのまま正確に描かなければならないこともありますが、多くの場合、キャラクターを描くのであれば、デフォルメして描けば良い、ということです。
このように考えて描けば、きっと綺麗なイラストが描けるのではないかと僕は思っています。
正確に描ける人からは怒られるかもしれませんが、イラストを描く上で、手や足の向きが多少違っていても、全体のバランスが整っていればあまり気にしなくて構いません。気楽にやりましょう。これが、世界で一番いいかげん主義の描画手法です。