Sun Microsystemsに関する世界観です。
Sunは、商用UNIXワークステーションの会社だった。
JavaやNFSを開発したことで有名。また、OpenOffice.orgの創始のためにStarOfficeを買収してオープンソース化したことでも知られる。
だが、晩年は業績が振るわず、Oracle(データベース会社)に買収されてしまった。
日本との関係では、富士通との提携で知られている。
SunはUNIXワークステーションの考え方で、「ネットワークこそがコンピュータ」(スコット・マクネリ)という考え方を提起したことで有名である。
その通り、SunのUNIXはネットワーク技術が強く、NFSやNISなどネットワーク関係の技術を多く開発した。Javaなどもネットワークで使われるブラウザの「アプレット」やリモートコードを安全に実行する「サンドボックス」などの機能を開発し、UNIXとネットワーク技術のまさに先駆者であった。
vi開発者のスーパープログラマであるビル・ジョイがかつて居たことでも知られる。このことからBSDに強い会社になった。
viも参照のこと。
サンという会社は、かつてから、たくさんの革新的発明を実現しながら、そうした技術を公開し、コンピュータ業界全員のために惜しみなく無償で公開して提供する、というところがありました。
たとえば、Javaのような技術は無償で提供し、SolarisはOpenSolaris、JavaはOpenJDKのように公開してきました。OpenOffice.orgの公開もありました。
一時期は商用UNIXワークステーションで独り勝ちのような状況だったものの、晩年は逆にオープンソースなLinuxの登場に悩まされたところもあります。
結局オラクルに吸収合併されましたが、オラクルはサンとは異なりクローズドな会社であり、オープンソースだったサンの技術がいろいろと有償になったり(Oracle JDKなど)、別の組織に譲渡したり(Apache OpenOfficeなど)した製品があります。
ですが、時代はGNUのストールマンが言うような、のほほんとしたオープンソースの時代ではありません。今は戦国時代のようなもので、GAFAのような突出した革新的企業と競争する必要があります。サンやネットスケープのような「オープンソースに舵をとる会社」は少しずつなくなってきています。Red HatはIBMに買収されました。
しかしながら、これはあくまでビジネスの話です。コミュニティは違います。GitHubなどが生まれたこともあり、オープンソースはかつてよりもはるかに巨大な土壌となってきています。MicrosoftもGitHubを買収したり.NET CoreやVS-CodeやTypeScriptをオープンソースで公開するなど、かつてのMSのやっていたことから転換してきています。
これからオープンソースはどうなるかは分かりません。サンの技術も古くなっていくかもしれません。ですが、コンピュータ業界において、サンが行った功績は大きかったということは変わらないでしょう。
Solarisを参照のこと。
SunによるRICSベースのCPUプロセッサ。ワークステーションやスーパーコンピュータ向けのプロセッサである。
Sunはプログラミング言語Javaの開発元として良く知られている。
良く勘違いされるが、JavaScriptはSunの技術ではない。JavaScriptはSunと業務提携していたNetscapeの技術であり、Javaアプレットに対するスクリプトのようなものだからJavaScriptという名前が付けられたようなもので、Javaとは全く別の技術であり、言語的にも全く違う言語である。
Javaも参照のこと。
Sunによって開発されたネットワークファイルシステム。
NFSも参照のこと。
Sunによる、ネットワークでOSのアカウント情報を共有するシステム。
NISも参照のこと。
現在のLibreOffice。オープンソースなオフィスイートだったが、SunがStarOfficeを買収してオープンソースとして公開したものだった。
LibreOfficeも参照のこと。
Javaという名前を冠してはいるものの、実際はGNOMEベースのシステム。Sunは「なんにでもJavaという名前をつける」といったところがあり、全くJavaでないにも関わらずこんな名前がついている。
次世代ファイルシステムZFSはSunの技術である。ZFSのオープンソースライセンスのCDDLがGPLと矛盾するためにLinuxでは使うことができず、たくさんの特許で守られているため代替技術も作ることができない。FreeBSDなどではZFSを利用できる。LinuxではOracleなどによる新しいファイルシステムBtrFSの開発が行なわれており、これはZFSと機能的に良く似ている。
Linux カーネル開発(Btrfs/ZFS)も参照のこと。
OS仮想化ソフトウェアのVirtualBoxもSunの技術。今ではOracleから提供されている。
VirtualBox/Vagrantも参照のこと。
Sunは富士通との業務提携で、日本では良く知られている。SunのSPARCなどの技術は富士通関係のシステムで良く使われている。
Windowsの開発で知られるMicrosoftとSunは特に競い合っていた。MicrosoftはSunの長年の宿敵だった。またLinuxなどに対しても色んな争いがあった。「正統派UNIXワークステーション」と「オープンシステムの旗手」として、最後まで戦った。
ただし、Javaをオープンソースにすると言って長い間しなかったり、Linuxも敵なのか味方なのか良く分からない存在であり、晩年は苦しんだ。そのうち、Oracleに買収された。
OracleによるSunの買収の余波は、色んなところで出ている。たとえば、OpenOffice.orgやMySQLのfork。それから、Javaの有料化。
Red HatがIBMに買収されて言われているのが、「IBMで良かった」あるいは、「Oracleでなくて良かった」である。Oracleはオープンソースに懐疑的なことでも知られる。Sunのオープンソース製品は悲惨の極みである。
Oracleも参照のこと。