ユング心理学の世界観です。心理学2(心の病気)も参照のこと。
ユングはフロイトと並ぶ心理学の巨人。ユング心理学にはさまざまな用語がある。
集合的無意識とは、個人の経験を超越した、先天的な無意識の構造領域。
ユングは、タイプ論、ペルソナ(外的な仮面)、アニマ・アニムス(夢の中に現れる逆の性別)、そしてシャドウ(自分が生きられなかった側面であり、殺人のような悪に近いものとして現れる)とコンプレックス(抑圧から現実の自分の行動に作用する複合的無意識)という用語を用いて、人間の人格や意識を分析する。
用語 | 意味 |
---|---|
集合的無意識 | 人類において共通する普遍的な無意識の構造のこと。 |
元型 | 集合的無意識の中の共通パターン。 |
タイプ論 | 「内向的」・「外向的」の二つの観点と、 「感覚型」「直観型」「思考型」「感情型」の四つの型に人間の性格を分類する。 |
ペルソナ | 心理的な「仮面」のこと。 |
アニマ・アニムス | 夢において現れる体とは逆の性別。 男性の女性的側面をアニマ、女性の男性的側面をアニムスと呼ぶ。 |
影(シャドウ) | 自分が「生きられなかった側面」であり、殺人のような悪に近いものとして現れる。 |
コンプレックス | 普段は無意識の中に抑圧されている意識の複合体であり、時に現実の行動に作用する。 |
(「ユング心理学」と名言を紹介!無意識やフロイトとの違いも解説 | TRANS.Bizを参考に執筆しました。)
(以下はユング心理学入門を参考に執筆しました。)
臨床心理学において、患者の治療を行う際、「なぜ彼は死んだのか」というような「答えられない質問」を与えられることが多い。このような場合、物理学的な回答を与えることは簡単だが、患者はそれに満足せず、「死とは何か」という問いへと問いが変わってくる。しかしながら、子供であれば、「なぜ葉が揺れるのか」という質問に対して「風が吹くからよ」という母親の質問に満足し、質問をしなくなることも考えられる。あるいは、「なぜ風が吹くの」というさらなる質問が生まれ、これに対して母親は「もう聞かないで」とそこで質問を終える。
このようなHowの質問は、結局のところ、物理学的な「説明」になっており、哲学的なWhatすなわち「答え」にはなっていない。しかしながら、ここで「答え」そのものを考えたところで、満足する「回答」は与えられない。注目すべきは、「満足をして質問をやめた」という事実である。質問の回答らしきものを与えられて、子供は心の平衡を取り戻した。心理学とは、このように、「答えそのものは得られないにしても、患者と治療者がともに考え、ともに経験することで、心の平衡を取り戻すのではないか」という試みである。
すなわち、結局のところ「彼がなぜ死んだのか」に対する答えは与えられないが、そうであったとしても、ともに考え、ともに経験することで、患者が満足のいく「心の平衡」を取り戻す試みが、心理学であると言える。
また、患者に触れていると、「本当に起きるわけのない突飛な出来事」にたびたび出くわす。それは、予知夢などに見られる、「物理学的な客観科学の立場からは、科学的な説明から排除しなければならない」としたことが、心理学的に「起きている」という事実があるからである。このような非現実的な現象に対して、それを「無視」するのでも、あるいは「科学的に考えられる物理的理論に直して考える」ことも、適切ではない。
ユングが言うのは、「わたしたちが分からない問題に対して、矛盾することを恐れてはならない」という態度である。すなわち、科学的に矛盾があるまま、その現象そのものを「そうした考えがある」という「考えそのものがあることを受け入れる」という態度をとる。これは、「心的現象」と呼ばれる。そのように考えることで、物理学的に「予知夢」がありえない現象であっても、それを排除せず、また科学的に解明しようとするのでもなく、「矛盾を抱えたまま、それがあることを、患者の主観として、そしてともに考える治療者の主観としても、心的現象としてともに捉えていく」ということが、心理学者に求められる態度なのである。
ユング心理学では、集合的無意識を考えますが、これは「裏の心はみんな繋がっている」という、少しオカルトチックな心理学です。
しかしながら、この事実は、「心を探っていくことで、ほかの人間と繋がる」ということを意味します。
また、ペルソナやシャドウなどの考え方は、「仮面の自分」とか「裏の自分」という発想に繋がり、「本当の自分とは何なのか」を人格的に把握する試みであると言えるかもしれません。
すなわち、ユングは「心の裏側に隠された、本当の自分の姿とは何か」あるいは「心の裏にある自分自身を写し出す鏡の法則や抑圧的な裏の働きは何か」を考える試みと言えるかもしれません。
以下は、ユング心理学を知らない自分が書いているため、間違いかもしれません。
僕は、「今までの自分の生きられなかった側面」、すなわちシャドウが、「新しい自分のコンプレックスになる」のではないかと思います。
たとえば、優等生の体験をした人間は、いじめや不良的な側面を生きることができませんでした。
そのため、優等生の経験が終わると、今度は自ら不良となり、インターネットなどでいじめをするようになります。
しかしながら、彼は左翼の側面を体験したものの、右翼や戦争の側面を生きることができませんでした。
そのため、不良の左翼が終わると、彼は右翼の戦争を経験します。
しかしながら、彼は戦争を経験はしたものの、世界を滅ぼすだけであり、世界を維持するために生きることができず、また今までの人生で勉強や修練をすることができませんでした。
これが最終的な人生における最終的なコンプレックスとなり、彼は大学や仕事で、勉強と修練のために、生涯を捧げるようになります。
このように、「生きられない側面が新しいシャドウとなり、新しいコンプレックスになって新しい人生になり、それが永遠に続いていく」ということが、僕はユング心理学の教えの「裏にある原理」ではないかと、少しの知識を持って考えただけです。
ユング心理学のタイプ論では、人間を2つの態度(内向・外交)と4つのタイプ(思考型、感情型、感覚型、直感型)に分けられるとします。
タイプ | 説明 |
---|---|
外交的思考型 | 世界すべてを思うがままに支配しようとする。 |
内向的思考型 | 事実よりも解釈や見解が得意。 |
外交的感情型 | 心に嘘をつかずスムーズに生きていく。 |
内向的感情型 | 物静かに見えて本当は心に情熱を抱いている。 |
外交的感覚型 | 客観的な事実を積み重ねていく。 |
内向的感覚型 | 見ているものと感じているものが異なる。 |
外交的直観型 | 可能性やチャンスに基づいて行動する。 |
内向的直観型 | 現実の単純なものには興味を示さないが、表現をする術を得ると独創的になる。 |
(ユング心理学入門を参考に書きました。)
ユング心理学のタイプ論以外にも、さまざまな類型論がある。
現代の定番は「ビッグファイブ理論」で、誠実性、情緒安定性、外交性、開放性、そして協調性に対して、それぞれの強さと弱さで捉えるモデルが一般的である。
詳しくは以下の書籍が参考になります。
以下は最近話題の性格診断のサイト。
ちなみに自分がやってみたところ、仲介者のINFPでした。内向的で詩人・芸術家肌であり、みんなを大切にしながらひとりで直観や探究にはげむのが好きだとか。
診断は無料でできるので、みなさんもやってみてはいかがでしょうか。
2023-08-14も参照のこと。
2023.08.14
ユング心理学については以下のページ・書籍が参考になります。
アドラーを参照のこと。
フロイトと並ぶ巨人、ユングの心理学です。
Wikipedia
書籍