デザインの世界観2(ワークフロー)です。
以下の内容は、僕自身がデザインの作業所で見習いとして学び経験したことに基づきます。書いている当時がとても未熟であったため、誤解や勘違いが多くあります。
作業所の同僚やスタッフにも多くのことを教えていただきました。
芸術の世界観とPhotoshopやIllustratorも参照してください。
レイアウトで大切なことは、「主役を引き立てるようにデザインする」ということです。
さまざまな飾りをつける時は、主役の邪魔にならないようにし、主役を引き立てるようにデザインしましょう。そうすると、質の高いデザインに見えます。
まず、目的をはっきりさせること。方法や「どのようにすれば出来るのか」ということは、しっかりと頭に入れておくべきではあるが、デザインする上では、そういう「How」や「Why」よりも、「何を作るのか」という「What」が大切。そして、それはIllustratorやPhotoshopがただ使えるだけでは、身についてこない。自分の頭で考える必要がある。
デザインが出来ない人間は、良く考えていない。自分の作りたいものがこうであると、はっきりしないまま作っている。それで良い時もある。色んなやり方を試しながら、適当に編集をくり返していけば、ただ普通のものを作ることは出来るだろう。だが、それではデザイナーとは言えない。
本当にデザインする時に大切なのは、「何を作りたいのかをはっきりさせること」だ。そこでは、自分のキャンバスに色を塗るのをためらってはならない。色んなやり方、色んな経験、色んな工夫から、さまざまな案を比較していく。
本当は、こんなことを言っている僕が、一番出来ていない。いつも、Illustratorを使いながら、いいかげんにデザインをしている。それでは駄目だと、僕も気付いている。
案を出すことそれ自体をためらう気持ちが、自分を小さくしている。さまざまな奇抜なアイディアを出していこう。アイディアはいくら出しても良いから、無限に考えられる。イラレの使い方を覚えるのであれば、そのアイディアをただ現実のデザインにすれば、それで良いだろう。文章と違うのは、文章は良くても悪くてもそれを書いたことで満足して完了にすれば良いが、デザインには永遠に完了というものがない。変えられるところを考えると、無限に変えられる。だからといって、改良を恐れてはならない。さまざまな改良を試し、もう一度「自分は何を作りたかったのか」を考えて、また違うことを試せば良い。
自分も出来ていないことを強制して申し訳ない。だが、必要なのは、「How」ではなく「What」を考えること(何を作りたいのかを考えること)、そしてアイディアをたくさん出すことだ。
ある意味、「どうでも良い」とか「何でも良い」と考えるのは良くない。それは悪魔の考え方だ。細部にこだわり、全体を向上させていく、それをいつまでも永遠に続けていくことで、良いデザインは生まれる。
デザインをする上で重要なのは「余白」です。
余白をきちんととることで、綺麗なデザインとそうでないデザインは分かれます。
特に、枠からの距離をきちんととることで綺麗なデザインとなります。
また、デザインは「足し算」よりも「引き算」が重要です。たくさんのものを付け足しすぎるのではなく、引くことで綺麗なデザインとなります。
また、単にイラストを配置するのではなく、ストーリー性を重視しましょう。なんらかの「やっていること」を表現することで、ストーリー性のあるデザインとなります。
まず、新しい仕事であれば、紙面と仕事の内容を確認します。どのような紙面をデザインし、何のために、誰に対して、何を伝えるのかを確認しておきます。
たとえば、事業所施設の通信であれば、イベントの写真を大きく見せ、タイトルやテキストの紙面がどのようになっているかを確認します。
そして、今回の仕事の、先方からの要求と指示を確認し、どのように仕事をすべきかの伝達を受けます。
また、二回目以降の仕事や新人へ教える場合など、いつも守るべき決まったやり方があるなら、それを確認し、守ります。
たとえば、タイトルは必ずこのようにしてほしいとか、写真はこのようにレイアウトしてほしい、などといった要求や決まりを守ります。
自由度がある程度あり、複数で行う仕事であれば、会議とミーティングを行い、テーマを決めます。
テーマは、たとえば7月のカレンダーであれば、「七夕と天の川」をテーマにする、といった具合です。
一人で仕事をする場合は、ミーティングはありませんが、自分の責任と判断でテーマを決めて、イラストやロゴのデザインに反映させます。
テーマが決まったら、それぞれのパートの役割分担を決めます。そして、それぞれが考えた構成を「ラフ」にして各自で共有し、全体のデザインが調和して被らないようにします。
テーマは、春夏秋冬の季節から取ってくることもできますし、イベントの様子から取ってくることもできます。また、「エレガントなデザイン」とか「新聞風のデザイン」といった決め方も出来るでしょう。
ポップな色使いをする時は、たくさんの色数を使って、原色に近い色をたくさん彩ることが効果的なこともあります。ですが、色の使い過ぎには注意しましょう。
エレガントな色使いをする時は、色数を少なくし、メインテーマとサブカラー、そしてアクセントカラーを、ある程度全ての紙面で統一させましょう。
写真は、先方からの指示を守りながら、拡大・縮小やトリミングをします。どの画像のどの部分を入れるべきか、フレーミングやサイズ感に注意しましょう。
また、写真をたくさん並べる時は、全ての写真が綺麗に配置されなければなりません。大きさを調整しながら、少しずつ合わせていきます。パズルと同じ要領です。
テキストは、両端を均等に綺麗にレイアウトします。
また、文字数と文字サイズを考えなければなりません。長すぎても、短すぎてもいけません。行間や字間を調節することで、バランスを取ることが出来ます。
図形と色のレイアウトはとても重要です。背景に四角形を作るだけではなく、四角形や円形、あるいは切り抜きのようなパスや、「ラフ」のような効果と分割で作ったパスで、写真を切り抜いて配置することもできます。
間隔と余白は重要です。特に、枠からの距離は十分にとりましょう。
文字を綺麗に加工します。自由変形のような効果と機能を上手く使いながら、そのロゴで何を表現したいのか、良く考えて行いましょう。
文字の縁取りは、シャドウやぼかしとともに使うことで、綺麗なデザインにすることができます。また、背景をどのような色にするかも考えましょう。
ロゴの雰囲気を調整し、アクセントとなる小さな図を入れたりすることで、綺麗なロゴを作ることが出来ます。
どんな雰囲気にしたら良いか分からない時は、Google検索や企業などのロゴの実例に頼りましょう。
レイアウトした文字やロゴの背景を良く考えて決めましょう。
背景色には、主張しすぎない色を使いましょう。前面にあるオブジェクトと調和する綺麗な背景にすることが大切です。
グラデーションを綺麗に使うことで、綺麗な背景を作ることもできます。Illustratorにはさまざまなグラデーション機能があります。特に、円形グラデーションや透明グラデーション、あるいはグラデーションメッシュのような機能を覚えることで、とてもきれいな背景を作ることができます。
綺麗なパターンは、自分で作ることもできますし、素材としてイラストACのような素材サイトから取ってくることもできます。
Photoshop効果を使うことで、綺麗なテクスチャを実現出来ます。パラメータを変えて、二重・三重にかけることもできます。
全体をポップな(可愛い)雰囲気で作る時は、イラストもポップなものを選びましょう。
リアルなイラストは、使い方を間違えると紙面の雰囲気に合わないものになってしまいます。
エレガントなフレーム(枠・背景)素材を使うことで、全体の雰囲気を調和させてデザインを作ることができます。
たとえば「海」のようなテーマで作る時は、かき氷や海の生き物といった季節の素材を使うことも考えられます。
素材は、ダイレクト選択ツールを使って加工することが出来ます。拡大・縮小や回転が基本ですが、横長にしてサイズを伸ばしたり、色を変えたり、不要な部分を消したりすることができます。
特に使える機能は、Illustratorのライブカラー機能です。全体の色をバランスを保ったままで再配色したり、明度を明るくしたりといったことができます。
暗い室内で撮られた写真などは、全体的に極度に暗くなっていたりします。それを、Photoshopのレベル補正やトーンカーブのような機能を使うことで、明るくすることができます。
特に、たくさんの写真を配置する場合、ひとつだけ極端に明るいものや暗いものがあってはいけません。全体のレイアウトを確認しながら、やり直すことを恐れずに補正を頑張りましょう。
PhotoshopやIllustratorのパスとクリッピング機能を上手く使うことで、写真を思いのままに切り抜くことができます。
また、トリミングした上で、拡大・縮小し、枠やシャドウをつけて回転させることで、写真に動きやズームアップ的な感じを出すことができます。
不透明マスクなどをかけることで、シェードアウトのような少しずつ消えていく写真などを実現出来ます。
写真を一列(一面)に並べる場合は、フレーミングが重要です。できるだけ、人物の写真なら人物を大きく、中央に配置し、頭や肩や腕や脚が切れることがないようにしましょう。
また、一列に並べる時は、写真と写真の隙間が出来ないように、綺麗に写真を並べます。この時に、トリミングをクリッピングマスクで行ったり、段組設定などで同じ大きさの四角形のパスを引いてクリッピングをかけることで、写真を綺麗に敷き詰めることができます。
それから、写真を複数並べる時は、サイズ感の調整が重要です。人物がひとつだけ大きすぎたり小さすぎたりすることがないように、サイズ感の調整を行いましょう。印刷してみなければ分からないこともあります。
まず、スタイライズ系の効果をつけることで、写真にシャドウやぼかしをつけて浮き出させることで、綺麗にすることができます。
また、透明やグラデーションをつけてアピアランスを重ねることで、美しい効果を際立たせることが出来ます。
自分の部分のデザインが完成したら、定期的に仮組みのミーティングを行い、それぞれの部分を合わせたデータを作って、みんなで合わせて見た上で、合わせた上で出てきた問題やみんなが見て出てきた意見を聞きながら、デザインを推敲していきます。
良く出てくる問題として、色やデザインの雰囲気が合わない、テキストや文章は本当にこれで良いのか、デザインが被った、などがあります。
文字が間違っていないかをみんなで考える文字校正や、写真が間違っていないかを確認する写真校正を行います。
文字校正のやり方は、全員分の白黒データを印刷して、それぞれ、蛍光ペンで間違っていない個所にラインを引いて、間違っている個所を探します。
最終的な部分まで終わったら、入稿データを作ります。この時、枠外の不要なデータを削除し、写真や画像などのリンク切れがないかを確認して、使っているフォントを確認してフォントがない環境でも表示できるようにアウトライン化データを作ります。アウトラインを取っていないデータも残しておきましょう。
まず、誰に対してのデザインかを考えましょう。さまざまな対象に向けて、どのようなデザインを行うべきかが分かります。
また、その誰かに対して、何を伝えたいのか、何を伝えるべきなのかを考えましょう。
たとえば、正式な詳細が必要な場合もあれば、必要でない場合もあります。必ずそのデザインにしなければならないわけではないなら、何を伝えるべきなのかを頭の片隅に置いておきましょう。
迷った時にどうするか。それは、出来るだけ当たり障りのない、普通のデザイン、普通のテキスト、普通の表現にすることです。こればっかりは仕方ないです。
また、みんなでミーティングをして色んな提案が出てきたものの、修正して結果最初の版が良かった、ということは結構あります。それは、最初の版は一人の力できちんと考えているからです。
みんなで考えても出てこない時は、一人の意見に任せることも、同時に大切なのです。その場所に本当のカリスマが居れば、それが一番良いのかもしれません。
デザイン作業をする前に、まず対象について良く調べましょう。
たとえば、旅をデザインするのであれば、風景や街並みがあるでしょう。
料理(たとえばカレー)をデザインするのであれば、材料とレシピと調理器具があります。
あるいは、マスコットキャラクターなどが居るものもデザインできるでしょう。
つまらないことと思われるかもしれませんが、何も知らずやみくもにデザインするだけではなく、対象のことを一度じっくりと調べましょう。
デザイナーには、デザインしかしない、才能があるだけの人も居ますが、きちんと下準備をして、事前調査を深く広く行い、その上で、コンピュータや紙での作業など、さまざまな必要なことを全て執り行う、そんなデザイナーも居ます。どちらが良い、というわけではありませんが、下準備はきちんとするように心がけましょう。
また、イラスト的なものをデザインに配置する時は、Illustratorでいきなり図形ツールで描きはじめることも出来ますが、出来るだけ紙にラフを描き、それをトレースするようにしましょう。
また、チームで作業をする時は、ミーティングやオリエンテーションを大切にしましょう。
さまざまな人の見た意見を聞いて、自分で気付かなかったところを気付くだけではなく、自分よりもデザインが上手い人々と意見を交わすことで、自分の知らなかったことが発見できます。
デザインではありませんが、プログラミングなどの考え方についても、さまざまな意見を聞いて透明性を高めて考えることは、とても大切です。
チームで作業する時、特にそれぞれが違う部位のデザインを組み合わせる仕事の時は、たまにデザインの仮組みをしましょう。みんなで考えることで、自分だけが考えるよりも何倍も効率的に作業することができます。
そして、何より、ミーティングは楽しいです。楽しいことを大切に、自分の仕事を大切にしていきましょう。
デザインに正解はありません。ですが、デザインとは、さまざまな要素をその場合に考えられる「伝えたいこと」に従って、適切に表現していく作業です。
ある場合にそのデザインが失敗だからといって、別の場合には大正解になることもあります。
その場合に、どんなことをどのようにデザインすることが大切か、考えなければなりません。デザインは自由ですが、好き勝手にやっていいわけではありません。場合によって伝えたいことを良く考えましょう。
伝えるべきことを考える上で重要なのは、「誰に何をどのように伝えるか」です。たとえば、初心者や学習者向けならば、分かりやすく写真や手順を大きくしましょう。知識を得ようとする趣味人向けなら、詳細を増やし、概要の写真や説明は小さくして、ざっと概観できるようにタイル的に配置しても構わないでしょう。内容を楽しみたい熟練者向けならば、文字を多く組んで物語やストーリーのようにしても良いかもしれません。デザインとは、ただ綺麗にするという作業ではなく、コミュニケーションを行う方法なのです。
美しいデザインをするために必要なことはいくつかありますが、ひとつ言えることは、「そのデザインに魂を込めること」です。
それは、「常にそのデザインに、今までの自分の全人生の過程を込めて作ること」といったことであると言えます。
次に必要なのは、夢と覚悟を持つことです。
プロのデザイナーになり、デザイナーとして生きていく、という夢と覚悟がなければ、デザインに対して本気になることはできません。
さらに言えることは、「美しさ」とは何かを考えることです。
自分なりの美しさで構いません。美しさに対して何かビジョンと明確なやり方を持つことで、デザインが高まります。それを知っておくだけで違うでしょう。
Illustratorのようなイラスト系ソフトウェアを使う上で大切なのは、手動でデザインを作ることを恐れないことです。
全自動でやってくれるツールは便利ですが、それではデザインしたことになりません。全部手動で作らなければ、技術力はつかないのです。
素材を使う時も、その素材を手動で自分でも作れることが理想です。
手動でデザインをする上で出来ることは、「既存のものと同じデザインをトレースして作ること」です。カッコいいとされるデザインを自分で作る方法を考えましょう。
デザインを美しくする上で重要なのは、「光と陰の表現」です。光と陰が綺麗に表現できるようになれば、デザインは上手くなります。
また、デザインの習得やデザイナーとしての仕事のために、「自分の素材(ネタ帳)を作る」ことが有効です。
イラストACなどのフリー素材を使うこともできますが、自分の目的とぴったりと当てはまる素材を見つけるのには限界があります。たとえば、お好み焼きの素材はたくさんあっても、広島風のお好み焼きを焼いているイラストは少ないかもしれません。
自分で作った素材なので、権利関係を考えることなく使えます。自分でさまざまなネタ帳を作っておくことで、それを応用してすぐにデザインを作り始めることができます。
個人でデザインの素材を作る、ということは、会社でもあまりないかもしれません。特に、自分の行っている作業所では、みんなで空いた時間にそれぞれの素材作りをしたりすることはあります。ただ、素材がたくさんある場合は、その素材を使ってデザインをすることも多いです。
特に、名刺の作成などの仕事の場合、自分のネタ帳を作っておけば、ネタ帳からいくらでも名刺のパターンを作ることができます。案外、デザイナーは自分のネタ帳を自然に作っているもので、僕も使えなかったカレンダーの案や素材などを別の用途に使うことはありますね。
デザインでよく使うのが、ラミネートフィルム(ラミネ)です。
紙として印刷したものを、そのまま壁などに貼り出すのではなく、透明なプラスチック用紙に包み込んで接着し、ラミネをしてから貼り出すことで、長持ちします。
ラミネを使う時は、フィルムを熱で接着する専用の機械を使います。
印刷物は、ラミネした後で、両面テープを使って壁などに貼り出します。
ラミネをするコツは、ハサミで四隅を斜めにカットすることです。四隅が角ばっているとそこから痛むので、特にカッターナイフでラミネの一部を切り出した時などは、四隅が角ばっているので、必ず斜めにカットします。
2024.07.16
また、デザインの資料をアーカイブする際に、冊子に何かしらのラベルを付けたい時に使うのが、テプラです。
テプラを使うことで、文字やラベルをテープに印刷できます。そのテープを、印刷物のアーカイブを格納した冊子などの側面に貼り付けます。
テプラの操作は独特で難しいですが、パソコンのキーボードが使える人であれば、少し頑張ればなんとか使えるはずです。
2024.07.16
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