パソコン・GUI操作入門に関する世界観(3.アプリケーション・ファイル)です。
WindowsやUNIXなどのファイルシステムを使うOSは、基本的に「ファイルを開く」とか「ファイルを閉じる」という動作を行う。
アプリケーションでデータを操作する時は、まずファイルを「開く」ことで、そのファイルに読み書きすることができるようになる。これは、OSであるWindowsにアプリケーションが「依頼する」形で、そのファイルを読み書きできるようにしてくれる、ということを意味している。また、ファイルを閉じることで読み書きは終了し、読み書きできなくなる。
同時に、Windowsではエクスプローラ(Explorer)という名前のファイルを操作するアプリケーション(ファイラー)が存在し、Windowsのデスクトップ画面はExplorerによって表示されている。Explorerを操作することで、ファイルをコピーしたり、名前を変更したり、移動したり、削除したり、アプリケーションでファイルを開いたりできる。
Windowsにおけるアプリケーションの操作は、「ウィンドウ」あるいは「フォーム」などと呼ばれる専用の四角領域(最大化している時は画面のほぼ全体)で操作する。
特に、Windowsによって表示される「タイトルバー」には、「最小化」「最大化・元のサイズに戻す」「閉じる」のボタンがあり、これによってウィンドウを拡大したり、表示を一時的に隠したり、ウィンドウを閉じる(終了あるいは画面を消す)ことができる。
専用アプリケーションの中には、多くの場合「メニューバー」「ツールバー」「ビュー画面」があり、場合によってはビュー画面に別のデータやフォームに切り替えるための「タブ」がついていたり、「ステータスバー」と呼ばれる情報の表示欄がウィンドウの下部にあることもある。
メニューバーには、ほとんどのアプリケーションで、良く使われる機能からあまり使われない機能まで、たくさんの機能をメニュー形式で選んで実行することができる。たとえば「ファイル」メニューをクリックすると、ファイルに関するさまざまな機能のメニューがその下に表示される。このメニューが表示された状態で、「上書き保存」をクリックすると、データを適切に上書き保存することができる。
多くの場合、編集や表示などといったメニューがあり、「コピー」や「貼り付け」はテキストなどを選択して右クリックしてコンテキストメニュー(右クリックによって表示される、状況と場合に応じた良く使われる機能をメニュー表示させる小さなメニュー)を表示させて実行する以外に、メニューバーの「編集」メニューからも実行できる。また、Ctrl+CやCtrl+Vでも実行できる。
また、ツールバーには何度も使うような機能がボタンで表示されており、テキストエディタなどではこのツールバーからもワンクリックでコピー・貼り付けができたり、他にも良く使われる機能がある。
そして、ビューはアプリケーションによって違うが、大きな画面領域でデータを操作したりできる。ワープロアプリケーションでは文書、表計算アプリケーションではスプレッドシート、WebブラウザではWebサイトなどがビューに表示される。
また、プログラムで何らかの機能を実行したい場合、実行して即座に処理が行われることもあれば、対話的な「どのように実行しますか?」といった新しい小さなウィンドウが表示されることもある。このウィンドウを「ダイアログ」と呼ぶ。ダイアログを使うことで、名前を指定してファイルを保存したり、ファイルを開く場所を検索したり、検索・置換のパターンを入力したり、アプリケーションや文書の属性や操作形態を設定したりすることができる。特に設定に使うダイアログは「設定画面」と呼ばれる。
ウィンドウを閉じても、ファイルを保存していればデータは残っており、そのデータをもう一度ウィンドウから開けばその時点からのデータから作業を再開できる。
また、Webブラウザやメディアプレイヤーなどでは、処理を行うためではなく閲覧そのものが目的になるアプリケーションもある。また、Windowsのコントロールパネルなどは、データを操作するのではなく、OSやシステムの設定そのものが目的になることもある。
新しいアプリケーションをOSに導入することを「インストール」、削除することを「アンインストール」という。OSに最初から入っているアプリケーションでなくても、自分でインストールすることで新しいアプリケーションを利用することができる。インターネットからフリーソフトをダウンロードして使うこともできる。特にWindowsでは最初から入っているテキストエディタが貧弱であるため、テキストエディタをフリーソフトで導入することは半ば必須である。
またWebブラウザでWebサービスを使い、インターネット上でつながったサービスに個人のアカウントなどを自分で作成し、IDとパスワードを設定して利用することで、自宅のパソコンだけで実行される「スタンドアロン」と呼ばれるアプリケーションではなく、ネットワークで繋がった「サービス」としてのアプリケーションを使うこともできる。だが、こうした利用はセキュリティなどの問題があり、不正なファイルを実行してウイルスに感染したり、間違えてパスワードを他人に漏らしたりしないように気を付けなければならない。
ファイルは、ファイルの語尾に「拡張子」と呼ばれる3~4程度の文字が付加されることがあり、これによってファイル形式を区別する。Windowsで使われる主なファイル形式には以下のようなものがある。
拡張子 | ファイル形式の説明 |
---|---|
.exe | Windowsの実行ファイル(プログラムのバイナリ) |
.dll | Windowsの動的リンクライブラリファイル(別のプログラムから呼び出されるプログラム) |
.bat | バッチファイル(DOSコマンドを羅列し、いっぺんに自動で実行できる) |
.txt | テキストファイル。何も特殊な装飾や専用プログラムのない、プレーンなテキストファイル |
.ini | プログラムの設定に良く使われるiniファイル |
.doc/.docx | MS-Word形式のワープロ用データファイル |
.xls/.xlsx | MS-Excel形式の表計算用データファイル |
.ppt/.pptx | MS-PowerPoint形式のプレゼンテーション用データファイル |
PDFファイル。MS-Officeの入っていないパソコンや別のOSでも見ることができるようなポータブルなドキュメント形式 | |
.csv | データの値を「,」(カンマ)によって区切る、データベースや表計算で使われるデータ形式 |
.html/.htm | ホームページを書くのに使うHTMLファイル |
.css | 複数のHTMLファイルのスタイルをデザインするのに使うCSSファイル |
.jpg | 画像ファイルの形式の1つ。非可逆圧縮で、デジタルカメラに良く使われる |
.gif | 画像ファイルの形式の1つ。イラストやWeb向けに良く使われる |
.png | 画像ファイルの形式の1つ。可逆圧縮で、gifよりも新しく、Web向けに良く使われる |
.tiff | 画像ファイルの形式の1つ。スキャナに良く使われる |
.bmp | 画像ファイルの形式の1つ。無圧縮なためサイズが大きくなる |
.lzh | 圧縮ファイル形式の1つ。日本で良く使われる。 複数のファイルをまとめてアーカイブした上で、サイズを小さくするために圧縮する。 展開には専用の圧縮・解凍ソフトが必要。 |
.zip | 圧縮ファイル形式の1つ。Windowsで良く使われ、Windows標準で対応しているため専用のソフトがなくても解凍できる |
ほかにも音声(.mp3など)や映像(.avi/.mpeg/.mpgなど)など、さまざまなファイル形式がある。
多くのプログラムで共通に利用できるファイル形式もあれば、専用のプログラムで操作する必要のあるファイル形式もある。ファイルをダブルクリックすると、ファイル形式に応じて特定の専用プログラムを起動して、そのファイルを開くことができる。
また、Windowsでは.zipが使われるがLinuxでは.tar.gzや.tar.bz2が使われるように、OSやプラットフォームによっても異なる場合がある。
音声や動画であれば、専用のコーデックと呼ばれるプログラムが必要になる場合もある。
また、ファイル以外の仕組みとして、フォルダとショートカットがある。フォルダは、複数のファイルをまとめて中につめこむことができる。フォルダの中にフォルダを階層的に作ることもできる。また、ショートカットは別のファイルを参照するために作る特殊なファイルで、ダブルクリックするとショートカットが参照しているファイルが開く。Linuxではフォルダのことをディレクトリと呼ぶ。またLinuxなどのUNIXには、ショートカットと同様の技術としてシンボリックリンクがある。
デジタル情報も参照のこと。
Windowsには、2種類のアプリケーションがある。まず、プロセスとして動く「アプリケーション」と、バックグラウンドで動く「サービス」。
アプリケーションは、WordやExcelなど、必要な時に必要な状況に応じて起動したり終了したりする。多くのデスクトップアプリケーションはこうした「プロセス」と呼ばれるアプリケーションである。
サービスは、パソコンを起動して終了するまで、最初から最後まで動いているプログラムのこと。IISのようにWebサーバーをWindowsで構築するような場合、IISはサービスと呼ばれるプログラムであり、Windowsを起動して終了するまで常にIISは実行され続ける。
アプリケーションが正常に動作せずフリーズした時(全く反応すらきかなくなった場合)や、プロセスやサービスの実行状況を見たい時は、タスクマネージャを実行する。最近のWindowsの場合、Ctrl+Alt+Deleteを実行すると、ロックやシャットダウンをしたりする画面と別にタスクマネージャの起動を行うメニューが現れる。プロセスを強制終了したい場合は、タスクマネージャの画面からそのプロセスを選んで、右クリックで強制終了あるいはサービスの停止を行うことができる。
また、サービスとアプリケーションの中間として、システムトレイに常駐する「常駐アプリ」というものがあり、Google Driveの同期システムなどは、タスクトレイに常駐し、今同期しているファイルなどをタスクトレイの小さなアイコンから確認することができる。常駐アプリはWindowsの起動時に実行されるものもあれば、そのアプリケーションを一度起動した時に現れるものもある。
Windowsを設定するためには、コントロールパネルと呼ばれるウィンドウを表示する。ここで、ネットワークやアカウント、あるいはサスペンドの処理やデバイスマネージャのような、さまざまなWindowsの処理の設定がいっぺんに行える。
どこで設定すれば良いか、どのように設定すれば良いかが分からない時は、インターネットで問題を検索すると、その解決方法が調べられることが多い。
また、Windowsの調子がどうもおかしいとか、不具合が直らないといった時は、Windowsを再起動すると直ることがある。
アプリケーションの実行だけではなく、こうしたWindowsの設定や管理を行う時も、スタートメニューを開いてその中のメニューから行う。
コントロールパネルはとても複雑なため、初心者には扱いづらいが、本当はタブで選びながらボタンやチェックボックスやテキストエリアで設定することができ、表示されるウィンドウやダイアログも分かりやすいため、コマンドライン操作やテキストの設定ファイルの記法を覚えなければならないUNIXよりは分かりやすい。ただし、そもそも表示される内容が専門用語や技術的概念の多用で分かりづらいことも多く、書籍やインターネットの検索に頼るか、一度設定したことのある経験者に頼むことが必要になってくる。
コントロールパネルで設定する内容は多岐にわたるが、多くはシステムやネットワーク、そしてOSやシステムアプリケーションの挙動の設定などである。また、コントロールパネル以外にも、はじめて繋いだハードウェア機器については、Windowsは自動でドライバをインストールして使えるようにする。こうしたドライバやシステムなどの情報は、経験者は「どこでどのように設定すれば良いか」ということをすでに知っている。初心者はどうすれば良いか分からないことも、経験者は良く知っているため、まわりに居るパソコンの詳しい人は、たとえ実際に経験した知識や技術がなくても、ウィンドウを見て説明文とオプションを見れば臨機応変に対応できる。初心者は自分がそのようになることを目指そう。