金融政策の世界観です。
経済に詳しい父親の話を参考にしています。
円安や円高は為替の用語で、円安はドルなどに対して円が安くなること、円高は円が高くなることです。
円安になると、同じ円の価格で、海外向けに商品を安く提供できるため、輸出産業は儲かります。
逆に円高になると、同じ円の価格でたくさんのものを変えるため、輸入産業が儲かります。
インフレとは、物価が上がり続けること、デフレとは、物価が下がり続けることです。
インフレになると、一時的に企業の業績は上がりますが、一度インフレが起きると歯止めがかからないくらいインフレが急速に進んでしまいます。結果、紙幣は紙くず同然になり、貯蓄された財産を維持するには金(カネではなく金塊)などを買うことになります。
デフレになると、買い控えが起きます。ものの価格が下がると、企業の売り上げや業績が下がり、従業員に給与を支払うことができず、人々は消費をためらうようになり、さらにものの価格が下がるという「デフレスパイラル」に陥ります。
平成の頃の日本では、この「デフレスパイラル」が深刻でした。このデフレに対して、金融緩和をすることで物価を上げ、国民の給与を上げようとしたのが、アベノミクスと日銀の黒田総裁による金融緩和です。
アベノミクスの三本の矢により、黒田総裁は、物価を上げ、企業の売り上げや業績を上げ、給与を高くし、人々が「もっとものを購入したい」と思わせるような、デフレ脱却の正のスパイラルを実現しようとしました。
日銀はゼロ金利あるいはマイナス金利政策を行い、一万円札を刷りまくって、銀行の国債を買います。
このことで、銀行にはたくさんのお金があふれ、このお金を企業に積極的に融資して、企業がどんどんお金を借りて従業員に給与として支払うようにしたかったのです。
ですが、結果は失敗しました。なぜなら、企業の業績は良くなりましたが、企業はお金を給与として従業員に支払わず、会社の中に内部留保として蓄積してしまったのです。
この理由は、日本企業の競争力の低下です。日本企業はほかの国に比較した競争力が低下しつつあり、先を見通せないため、「お金は会社の中に留保する」という決断をさせてしまったのです。
企業がお金を内部留保するということは、すなわち、銀行に預けるということです。ですが、銀行は低金利政策をしているため、銀行にお金を預けても銀行は儲かりません。そのため、銀行は国債を買って利子で儲けるという残念なことになってしまいました。
このような状況で、ロシアとウクライナの戦争が起き、皮肉にも物価は高くなりましたが、「物価も高くなって従業員の給与も高くなる」という正のスパイラルではなく、物価だけが高くなって従業員の給与は実質的に低くなってしまいます。
このような金融緩和政策は、日本だけではなくアメリカでも行っており、アメリカのほうは景気がよくなってきたので、FRBでは金利を高くし始めます。その結果、日本で円を預金するよりも、アメリカのドルで預金したほうが、高金利で儲かるようになります。この結果、円安が起きているのです。
最近の日本については2024-07-06に関連する内容があります。
日本銀行(日銀)は日本の中央銀行。日本のすべての銀行の親分的存在であり、為替や金利など日本の金融政策を行う。
2024.07.16
FRBは「連邦準備制度理事会」のことで、アメリカにおける中央銀行のこと。
IMFは「国際通貨基金」のことで、国際的な金融と為替の政策を行い、各国の中央銀行を取りまとめる国連の機関のこと。
「円安」「ドル高」のような金融用語を使う際に、円をドルと比較した為替のレートは重要。だからFRBとIMFは日本にとっても重要な金融機関である。特にFRBによる利上げなどは効果が大きい。
2024.07.14
このように、資本主義は景気に常に左右されて経済政策をしなければなりませんが、共産主義にはそれがありません。
共産主義の計画経済では、計画経済に失敗がない限り、景気変動は起きません。
ですが、この事実は机上の空論のようなもので、実際には働いても働かなくても給与が同じ共産主義経済では、誰もきちんと働こうとしないため、結果ものが十分に生産されず、「生活に必要なものが足りない」という状況を生み出します。
なので、共産主義経済には景気変動はありませんが、いわば「いつでも常にものが手に入らない」という、別の意味で悲惨な結果になります。