Xamarinに関する世界観です。
Xamarinは、MonoやGNOMEの開発で知られるスーパープログラマ、ミゲル・デ・イカザ氏の会社Xamarinによる、モバイル向けのクロスプラットフォームな.NET環境。
Monoと同様オープンソースだが、iOS向けにもAndroid向けにも対応できるクロスプラットフォーム性が売りで、.NET系のC#などの言語を用いて、モバイル向けのアプリケーションを開発することができる。
そもそも、GNOMEの創始者であるミゲル・デ・イカザ氏は、GNOMEの開発にCORBAを用いて、libcやxlibを除いて何のコードの再利用もされないUNIXの現状に一石を投じ、「コードをきちんと再利用しよう」と主張しながら、同時にツールキットQtがフリーでなかたっため(Motifを参照のこと)、GNOMEプロジェクトを設立したUNIX界のスーパープログラマです。
ミゲルは、GNOMEの開発をC言語でするだけでは飽き足らず(当初からGTKは言語バインディングを作りやすいことを長所としていた)、マイクロソフトの技術でありながら標準化された.NETを用いてGNOMEアプリケーションを開発するために、Linux上で動く.NET技術であるMonoを開発しました。また、オープンソースなVisual Studioの代替として使うことのできる統合開発環境であるMonoDevelopやGTKの.NETバインディングであるGTK#も開発されました。
また、(時間が前後しますが)ミゲルはGNOMEのサポートを行う企業Ximianを創業し、メールアプリケーションEvolutionや表計算ソフトウェアGnumericを開発。このXimianという企業はNovellに買収されます。Ximianを参照のこと。
しかしながら、NovellがさらにAttachmateに買収されたりなどする後に、Monoチームはプロジェクトの価値を疑問視され、その後にレイオフされてしまいます。
そこで、レイオフされたミゲルたちMonoチームはXamarinという新しい会社を創設。Xamarinでは、Linux向けだけではなく、iOSやAndroid向けにも、.NETの言語で開発されたアプリケーションをクロスプラットフォーム向けにひとつのコードで対応させられるような「モバイル向けの.NET環境」を開発しました。
このXamarinが、マイクロソフトに買収され、ミゲルはオープンソース界のLinuxハッカーでありながらマイクロソフトの傘下に入ります。
Xamarinは、.NET Coreから名称を変更した.NETの次期バージョン.NET 6で統合される予定です(2021年時点でのバージョンは5)。
.NET Coreは、そもそもMonoとよく似た立ち位置にあるオープンソースなLinux/Macなどでも動作するクロスプラットフォームな.NET環境でしたが、マイクロソフトは.NET Coreと従来のWindows向けの.NET Frameworkを統合して「.NET」という名前にしました。
.NET 6でXamarinが統合されれば、ひとつの.NETプロジェクトから、Windowsにも、Linuxにも、Macにも、そしてiOSやAndroidにも対応するアプリケーションが開発できることになり、デスクトップ・サーバ・モバイルのプラットフォームに.NETだけで対応できるため、.NET開発者にとっては嬉しいのではないでしょうか。