林業の世界観です。
理科に詳しい父親の話を参考にしています。
地球は、太陽の周りを回っている。
地球における地域の中で、太陽のもっとも当たる緯度にある場所を赤道と呼び、赤道よりも北にある地域を北半球、赤道よりも南にある地域を南半球と呼ぶ。
北半球の中でも、赤道付近に近い緯度にある地域を「低緯度」と呼び、赤道よりも遠く北極や近い緯度にある地域のことを「高緯度」と呼び、その中間にある地域のことを「中緯度」と呼ぶ。
地球は、太陽の周りを傾きのある状態で回っているため、中緯度や高緯度の地域では、春夏秋冬という季節がある。これを四季と呼び、夏がもっとも太陽の光が当たり、冬がもっとも太陽の光が当たらない。
さて、植物は、地球のさまざまな場所に生えているが、これは低緯度・中緯度・高緯度によって違いがある。
まず、中緯度の地域では、夏にできるだけ多くの光を受けて、それによって光合成をする。冬は高緯度の地域よりも短いため、冬には頑張ってエネルギーを作成しようとせず、できるだけ夏にエネルギーを蓄える。
このため、日本のような中緯度の地域では、落葉樹が多い。落葉樹とは、夏にだけ葉を茂らして、冬になれば葉が落ち葉になって枯れるような木のことである。
これに対して、高緯度の地域では、夏が短く冬が長いため、夏も冬もエネルギーを蓄え続けようとする。
このため、日本よりも北の外国などの高緯度の地域では、常緑樹が多い。常緑樹とは、夏でも冬でも落ち葉にならず、一年中葉を茂らせているような木のことである。
そして、高緯度のこうした地域の植物は、たとえば杉のように、上にまっすぐに高く伸びる。これは、エネルギーが少ないため、それぞれ競争することなく、全員が協力して争わずまっすぐに伸びるためである。
また、赤道付近の低緯度の地域では、一年中夏であり、いわば「植物にとっての天国」であり、ジャングルの中でたくさんの葉を茂らせる。
そして、杉や松といった常緑樹は、高緯度の地域の植物である。そして、杉はまっすぐに高く伸びるため、木材として使いやすい。そのため、日本政府は杉を日本の各地に植林して、日本の山は「杉だらけ」のようになった。
後日注記:上記の内容には間違いがある。一般的に、温暖な地域では常緑樹(常緑広葉樹)が、やや寒冷な地域(夏と冬のある地域)では落葉樹(落葉広葉樹)が、さらに寒冷な地域では針葉樹(常緑針葉樹)が広く見られる。上記の内容における「常緑樹」は針葉樹(常緑針葉樹)のことを意味している。詳しくは放送大学「初歩からの生物学 ('24)」を参照のこと。
2024.03.21編集
杉や松といった高緯度の植物は、あまり立派な花は咲かせないが、それでも花と呼べるものを咲かせる。
松の花としてみんなが知っているのは、松ぼっくりである。松ぼっくりは松の花であり実である。天気のいい日には、松ぼっくりは開いて、中から羽の生えた種が飛んでいく。これが受粉して、新しい松の子供を作り出す。
松と似ているのが杉であり、杉は小さい杉の実(実と呼ばれるが実際は花)から、松と同じように花粉を出す。
この花粉、杉が一本や二本であれば問題ないのだが、日本政府が日本の山にたくさん杉を植林しすぎたため、日本では冬が終わって春になるにかけて、花粉が各地で大量に出てしまう。
この大量の杉花粉が引き起こすのが、花粉によるアレルギー症状である花粉症である。
また、杉はまっすぐに伸びるため、木材に使いやすい。
そもそも、日本には、杉を植林するまでは自然の山には杉などはなかった。
杉以外の日本の木は、まっすぐに高く伸びない。だから、まっすぐな木材を作るためには、木と木を繋げて長くする必要があった。これも、昔の職人技だった。
だが、杉やヒノキといった高緯度の地域の木材は、とてもまっすぐに高く伸びる。これが、木材加工としてとても使いやすい。
このため、日本政府は、国の政策として杉をとてもたくさん植林した。
同時に、春夏秋冬のある日本では、単に植えた杉であっても、夏には冬よりもよく育つため、年輪ができる。この年輪がとても味があって美しいため、日本の木材には杉をよく使う。
だが、今のグローバル化した地球においては、南洋からたくさんの輸入木材が入ってくる。南洋の木材は、大きく太いため、まっすぐに高く伸びる杉ではなくても、木材には使いやすい。
しかしながら、南洋の木材は、年がら年中夏であるため、年輪のような美しさがない。また、南洋の木材が多く入ってくることで、日本国内の林業は打撃を受けており、これが日本で林業が衰退し、日本の山で杉が伐採されずにほったらかしになっている理由でもある。
このような杉は、日本において林業に使われている木材として主要なものである。
だが、日本の林業は、そもそも過酷な仕事である。狭く傾斜の高い坂のような場所で、上手く自分が倒されないように木を伐採する必要がある。
また、林業は、祖父が植えた木を孫が伐採し、伐採した後にまた木を植え、それをさらにその孫の孫が伐採するという、極めて気の長い仕事である。
このような林業は、過酷でありながら気の遠くなるような仕事であるため、日本ではどんどん林業を廃業する人が出てきている。
また、日本の林業は南洋の木材に勝てない。南洋の木材はとても安くて大量に入ってくる。それに日本の林業は太刀打ちできない。
結局、山に植林された杉は伐採されずにほったらかしになっており、その杉から出てくる花粉に日本人は悩まされている。どうにかして、それらの杉の後始末をしなければならないのである。
このような木だが、実際には木材としての利用だけではなく、ほかの利用もある。
それは、燃料や炭としての利用である。
木は、それ自体燃やすことで燃料となり、あるいは炭として利用できる。
炭と石炭の違いは、炭は、木を蒸し焼きにすることで、炭素だけにした状態。これに対して石炭は、過去の木がなんらかの理由で土の中に埋まってしまい、化石になった状態である。
日本人は昔から木をよく家などの素材に使うが、その中でも水に強いことで知られているのがヒノキ。
ヒノキは非常に水に強く、腐りにくいため、水回りのたとえば水車や浴室などのような木材によく使われる。ただし水分を含んだり乾燥したりを繰り返すと変形の恐れがある。水気のある場所で使うなら、適度に水気のある状態を保ち続けなければならない。
ヒノキ以外には杉なども水気に強いことで知られる。
2024.09.28
建築も参照のこと。
エネルギーも参照のこと。