ラッセル
かくして、何事も無かったかのように、一同はラッセルへとたどり着いた。
仁は、「本当に長かった。皆おめでとう。」と言った。
涼子は、「なんだか、実感が湧かないわ。」と言った。
ガブリエルは、「もうそろそろお別れをする時だ。本当に長い間良く頑張った。」と言った。
ラッセルは、大都会で、いたるところに魔法の技術が光り輝く町だった。また、アカデミックな雰囲気もあった。空を飛ぶ自動車やタクシーのようなものも走っていた。
ラッセルの町並みを見ていると、仁の目に急に涙があふれてきた。本当に、長かった。色んなことが沢山あった。皆との絆も高まったし、この世界に対する、本当の愛のようなものを知った。神の愛とは、こういうことを言うのだろう。仁の涙に連鎖する形で、他の4人も泣き出した。太一は、「本当に楽しかった。悲しいのではなく、嬉しい。」と言った。
ラッセルにある、ラファエルの工房を訪れた。そこには、水晶玉や指輪のようなものが沢山あった。ガブリエルが、「この水晶玉を一つ頂きたい。」と言って、女神のような天使であるラファエルは、「良いですよ。いくらでもありますから。」と言った。
見ると、沢山の水晶玉の中で、一つだけ恰好の違うものがあった。
一同は、それを頂いた。あまり、そういうところの違いは、関係ないものらしい。
人工知能
ラファエルの工房では、職人たちが集まって、ロボットのようなものを作っていた。
職人たちは、仁たちに「これは、人工知能だ。今から世界を変えるような、本当に人間の頭脳のような人工知能を作っている。全部ラファエル先生が考えて作ったのさ。でも、今から僕たちがブラッシュアップして、良い人工知能にしたいと思っているんだ。」と言った。
コンピュータのスクリーンには、以下のような、人工知能のプログラムが映っていた。
#!/usr/bin/python # -*- coding: utf-8 -*- # 初版作成 Assy, 在導万創 import sys class Robot: def __init__(self): self.ego = 0 def msg_loop(self): while True: e = self.view() self.action(e) def action(self, msg): self.do(msg) self.think(msg) self.make_ego(msg) def do(self, msg): if msg == 0: print('晴れだ') elif msg == 1: print('雨だ') def think(self, msg): if msg == 0: print('散歩に出かけよう') elif msg == 1: print('家の中に居よう') if self.ego > 20: print('僕もそろそろ大人になったなあ') def make_ego(self, msg): #自我を作る self.ego += 1 if self.ego > 100: print('死にました') sys.exit() def view(self): #外を見て、晴れ(0)か雨(1)かを判断する #ここでは常に0 return 0 if __name__ == "__main__": rb = Robot() rb.msg_loop()
職人たちは、「このロボットは、改善点として、普通の人工知能を乗せる、思考を覚えて思い出す、マルチスレッドにして複数にする、などが考えられる。」と言った。
(作者注記:これは、僕が作った人工知能のプログラムである。技術的に馬鹿には見えるが、何かの意味で賢いかもしれないので、ここに載せる。)
別れ
一同は、別れの時を迎えた。
ガブリエルは、「また、いつでも会える。」と言ったが、一同は泣きじゃくって、悲しい思いをした。太一は、「この世界は本当に、第二の故郷です。」と言った。
そして、一同は、時間移動と水晶玉の機能を同時に使った。皆は、「タイム・スリップ・アンド、ゴートゥシルミヤ!」と言った。
そして、この物語は終わりである。
エピローグとして、ガブリエルは、ラッセルで結婚指輪のようなものを手に入れた。それは、ラファエルへと渡すためだった。ラファエルは、ガブリエルの恋人だったのだ。全ての謎が解ける宝石も、同時に作ってもらった。