Wikiの世界観です。
Wikiとは、みんなで編集できるWebページのこと。みんなで寄ってたかってページを作成したり、すでにあるページを誰でも編集することができる。
Wikiを使った百科事典サイトであるWikipediaが有名になったため(何を検索しても最初にWikipediaが出る)、Wikipediaのことを「Wiki」と略す人が居るが、これは間違い。Wikipediaよりも前からPukiWikiのようなWikiエンジンとそれを使ったWikiがたくさんあり、Wikiという名前はそうしたWikiページ全般を指す。
Wikiは悪質な編集をする人も居て、ウォッチリストのような監視機能を持ったWikiでは悪質な編集やスパムを排除できる。そのように、Wikiの管理には注意が必要。Wikiは特にオープンソースプロジェクトで人々の意見の集約や目標・リリーススケジュールのようなマネジメントを行うために使われることが多く、海外の有名なオープンソースプロジェクトでは多くのプロジェクトが公式のWikiを開設している。たとえばGNOMEやKDEなどのデスクトップ環境ではアプリケーションや開発の情報を集約したり、DebianやFedoraやSUSEやArchなどではディストリビューションの使い方やソフトウェアの導入・設定方法、プロジェクトマネジメントのためにWikiが使われたりしている。ただし多くのWikiが英語で、一部のページだけが日本語に訳されているWikiが多いが、内容が古いこともあるため、英語が分かるなら英語を参照しよう。
後日注記:Wikiは、みんなで編集できるWebページのこと。ひとりの人間がWebページを運営するのではなく、Wikiとしてみんなでひとつの情報共有サイトのページを作る。ページは誰でも編集したり作成したりできる。だが、悪質な編集を行う人間はブロックされ、間違って大切なページが消えることがないように履歴が残り、悪質な編集がされた時は善意の編集者がページを元に戻す。そのような管理モデルを採用しているため、「みんなでページを編集できる」という方法が成立する。ある意味「ネットの性善説の成功例」であると言える。
以下のようなWikiがある。(全て英語版。一部日本語のページがあるWikiも多い)
フリー百科事典。
Wikipediaはクリエイティブ・コモンズというコピーレフトなライセンスで許諾されていることで有名。同じCCライセンスにする必要はあるが、情報を自由にコピー・改変・再配布して使ってよい。
注意点として、自分で公開した内容も、Wikipediaと同じCCライセンスで許諾しなければならないという点もある。著作権が著作者の権利を守って「誰もコピーしてはならない」とするのとは逆に、コピーレフトでは、著作権を「この情報が自由に使える代わり、この情報を使って作った情報も自由に使えるように共有しなければならない」という、「継承」と呼ばれるライセンスのあり方を取っている。よって、Wikipediaから作った情報は、自由に使えるようにCCライセンスで公開しなければならない。
百科事典という意味で言えば、あらゆる無限の情報を自由に使って良い、とするのは、オープンなインターネットとして理想である。特に、ホームページを作りたいが、自分で調査研究は出来ない、という時、Wikipediaからコピー・改変して情報を作ることが出来る。だが、その情報はWikipediaと同じCCライセンスにしなければならない。だから、安易に「コピーしよう」と流れるのではなく、情報を使う前に立ち止まって良く考えることが重要だ。
Wikipediaが継承のライセンスを取る理由は、特にネット上の不特定多数が情報を共有する際にライセンスを明確にし、共有しやすくする、という側面もあるが、GNUプロジェクトのGPLの流れをくんでいるため、「永遠にフリーのまま残る百科事典を作りたい」という意図がある。誰もが自由に使用でき、自分のコンピュータにおけるソフトウェアとデータを自由に改変したり、再配布したり、コピーしたり出来ることが、当たり前のように出来ることを目指している。
Wikimedia財団には姉妹プロジェクトがあります。Wikipediaと同じように、コンテンツは全てフリーなライセンスで再利用可能です。(注意:完全なパブリックドメインではなく、GPLライクな継承ライセンスが使われている。商売には使って良いが、著作権の勝手な主張はできない。CC BY-SA(Attribution-ShareAlike)ライセンスに遵守する形であれば、自由なコピーと改変を含めた再配布が可能である。)
プロジェクト | 目的 |
---|---|
Wikimedia財団 | 母体となる非営利の財団 |
MediaWiki | ソフトウェアとしてのWikiエンジン |
Meta-Wiki | 総合的な管理・運営・議論 |
Wikimedia Commons | イメージなどのフリーな共有資源 |
Wikipedia | フリーな百科事典の作成 |
Wikibooks | フリーな教科書とマニュアルの作成 |
Wikidata | コンピュータなどで読み取られるフリーなデータベース |
Wikinews | フリーなニュース報道 |
Wikiquote | フリーな人物の引用・格言・発言集 |
Wikisource | フリーなコンテンツのライブラリー(著作権のない書籍・法律など) |
Wikispecies | 生物種のディレクトリ |
Wikiversity | フリーな大学とそのための教材 |
Wikivoyage | フリーな旅行ガイド |
Wiktionary | フリーな(全ての言語のための)単語辞書 |
これらの中で最も成功しているのはWikipediaであり、場合によっては完全に失敗しているプロジェクトもある。
特に、Wikipediaの姉妹プロジェクトのことを「wiki」と略するのは誤りである。元々、Wikipediaの名前についている「Wiki」の意味は「Wikiエンジンで作られた、誰でも編集できるサイト」での百科事典という意味であり、たとえばWikimedia財団のWiki以外にもWikiを使用したWebサイトはたくさん存在し、それらひとつひとつのことも「Wiki」と呼ぶ。また、MediaWiki以外のWikiエンジンというものもある(PukiWikiなど)ため、問題をさらに複雑化している。だが、Wikipediaがそれらの中で最も成功したWikiである(今のところ)、ということは疑いようもないだろう。
Wikipediaは、百科事典サイトを超えて、一種の交流サイトになりつつある。みんなで作る百科事典というだけではなく、その編集や議論を楽しむ場になっている。ユーザープロフィールのページでは、自分の分かっている専門分野のことをアイコンにしたり、MediaWikiの機能を使うことで、投稿履歴や井戸端会議のようなことをすることもできる。
また、ポータルやWikiprojectのように、「みんなで集中的にページを執筆する」ということも行われている。あるいは、「秀逸な記事」としてみんなでページを「最高に詳しく書く」ことも行われている。
Wikiの「誰でも編集できる」という性質上、荒らしのようなことをする人間も居る。僕も昔、Wikiをブログ代わりに使って迷惑をかけたこともある。だが、Wikiは常に管理者が見ており、荒らされた場合には相応の対応を取ってページを元に戻す、ということをやっている。ウォッチリストを登録することで、誰でも自分の見たいページを監視することができる。これは現実の学校に近いやり方である。
Wikiエンジン。ホームページの内容を誰でも編集することが出来る「Wiki」を作ることができる。そのため運営には注意が必要。
Wikipedia
ソースコード
フリー百科事典「Wikipedia」で使われているWikiエンジン。管理や編集の機能が豊富で、オープンソースプロジェクトでよく使われている。
運営には注意が必要だが、ウォッチリストなどを使ってみんなで編集を監視することで、不正な編集行為を防ぐことができる。
数式をTeXで編集することができる。アカウントの作成機能や履歴の管理機能、Talkページによる議論機能などが充実している。
Wikipedia
ソースコード
Wikiエンジンのひとつ。オープンソースプロジェクトなど海外のWikiサイトで良く使われている。
Wikipedia
今でこそ、Wikipediaのような「フリー百科事典」がWikiの代名詞となっていますが、それ以前からあった「IT系のWiki」は、多くが情報共有のツールでした。
特に、オープンソースプロジェクトなどで公式あるいは非公式のWikiが開設されることが多く、特にIT系のSleipnirやMozilla FirefoxなどのWikiでは、そうしたソフトウェアについての「情報を誰が投稿しても良い」という意味で、「誰でもページを作成できる」というWikiが流行していました。
OSASKやMona OSなどのフリーOSのプロジェクトもWikiを開設していたり、LinuxやTeXなどについてもたくさんのWikiがありました。
ですが、Wikipediaという「Wikiを使った百科事典」が誕生していき、Wikiに参加する一般のユーザーが増えてしまったことで、そうした「情報共有の楽しさ」はどこかに行ってしまい、「専門家を気取った集団による小難しい文章」ばかりが増えてしまったように僕は感じます。
最近では情報共有のWikiはマイナーな存在になってしまい、そうしたWikiは多くが何か月も編集されていません。Wikiの時代も、昔のセピアな思い出になってしまったのかもしれません。
僕は、Wikiにはたくさんの迷惑をかけてきました。
Linux関係のWikiを僕は、「Linuxコミュニティに貢献したい」と思ってたくさん編集しました。LinuxやITに関する知識が何もないにもかかわらず、Gentoo Linuxを使ってUNIXの基本が分かったというだけで、LinuxのWikiを編集しまくる僕は、まるで「Linuxデストロイヤー(破壊者)」のようでした。
ですが、最近はそのようなWikiとはできるだけかかわらず、このホームページで自分の責任で文章を書くようになりました。例外として、LinuxのWikiには15年ごしにきちんとIT技術のことを勉強した内容を書いたため、罪滅ぼしのようなことはできたのではないかと思います。
僕はこれ以上は、そのようなWikiに対する迷惑をかけたくありません。かつてはWikipediaなどに多大な貢献をしていましたが、それも最近はまったくしていません。ですが、かつての僕はWikiが大好きでした。その姿勢自体は変わっていません。Wikiはオープンソースの仲間であり、僕さえいなければ素晴らしい情報共有のツールだと思います。
2023.08.18
CMS・ブログエンジンも参照のこと。