MATEの世界観です。
MATEは、昔からのGNOME 2の操作性を追究して分岐された、GNOME 2のfork(派生版)。
GNOME 2のインターフェースや操作性を追究しながら、GTK+3への対応など、設計やアーキテクチャの面で古くなった部分だけを、GNOME 3の最新版に近づけようとして開発されている。
昔のGNOME 2は重かったが、MATEはなぜか軽快で安定している。それは、ハードウェアのスペックがここ十数年で大きく進歩したからである。特に、64bit化したCPUや、大きくなったメモリが要因である。
昔のGNOME 2がたくさんの機能を持ちながらシンプルだったように、MATEはとてもシンプルかつ多機能である。それは、標準のファイルマネージャやテキストエディタ、端末やファイルアーカイバなどを使えば分かる。昔のGNOME 2の開発者が頑張っていた通り、シンプルな使いやすい伝統的なメニューとボタンのインターフェースをしている。そして、標準の機能がとても高機能で、メニューバーにはGNOME 3でなくなったたくさんの機能が残っている。
だが、最近のGNOME 3で見られる、ありえない機能は存在しない。GNOMEパネルはさまざまなCORBAコンポーネントは配置できるが、エクステンションでWindowsと全く同じにはできないし、たとえばオンラインアカウントを登録して、クラウドアプリケーションと通信するような機能は無い。たとえば、Google Driveとの連携機能は設定できない。(ただ、僕の経験から言って、GNOME 3とMATEを共存させた環境で、GNOME 3でオンラインアカウントを設定すると、なぜかMATEでもGoogle Driveと連携できたことはある。そうした何かの機能がある可能性はあるが、僕は良く知らない。)
MATEのさまざまなアプリケーションは、GNOME 3の同じアプリケーションと区別するために名前変更された。これによって、GNOME 3をインストールしている環境に、そのままMATEをインストールできる。
だが、僕はMATEを使うならば、GNOME 3はインストールせず、MATEだけをインストールすることをおすすめする。これは、アプリケーションメニューがとても散らかって、使い辛いものになるからである。
もちろん、標準のアプリケーションだけではなく、GIMPやInkscapeなども最新のものを使いたいが、そういうところがMATEの課題になるだろう。どこまでをGNOME 2のまま残し、どこまでをGNOME 3の仕様に追従するか、という問題がある。
MATEは使いやすいが、それでも、GNOME 2は過去のものである。それこそ、Linuxはコマンドラインが優れているせいで、GNOMEが劣っていたからといって、そんなにそれだけで使えないわけではない。GNOME 3をエクステンションでWindows並みに使いやすくして、GNOME端末とMozilla FirefoxとGNOME 3の環境を使っているエンジニアや一般ユーザーはたくさん居る。
だが、MATEはMATEの道を切り開くだけである。
Cinnamonも参照のこと。
GNOME、GNOMEデスクトップ、GNOMEアプリケーションを参照のこと。