KDEデスクトップに関する世界観です。
KDEはGNOMEと並ぶLinuxのデスクトップ環境で、とても綺麗で統合されていることが特徴。
デスクトップとアプリケーションの設計とデザインが上手くされているおかげで、「使っていて気持ちの良いデスクトップ」になっている。
だが、MATEなどと比べると、その巨大さと重さが分かる。特に起動は遅いし、環境によっては不安定だったり、起動すらしないこともある。
美しいのはデスクトップだけではなく、Dolphinなどのファイルマネージャもデザイン的に美しい。
アプリケーションは機能的で、機能がたくさんあるというよりは、一種の「機能美」になっている。どんな機能も簡単にアクセスできて、アプリケーションの機能性が高い。
逆に、必要な機能がなかったり、日本語の環境に対応していないことも多い。昔のKDEは、GNOMEと比べて国際化の水準が低く、日本語で使う場合はGNOMEを使うことが標準だった。
KDE4, KDE Plasma 5の評判は悪くないが、KDE 3をforkしたTrinityというプロジェクトもある。これは、KDE 3の環境があまりにも独自で、ファンが多かったことに起因する。KDE 4からは美しくはなったが、昔のKDE 3のような「Linux的な良さ」がなくなった。ある意味、無個性になったところがある。Trinityは昔のQtを使っているので、日本語の入力などに問題がある(新しい仕組みに対応していない)ため、日本人が使うのには注意が必要。
僕は、ぶっちゃけて言ってしまえば、KDEはGNOMEなんかよりはるかに賢いと思います。
GNOMEは迷走と混迷を極めており、標準のデスクトップ環境であるGNOME-Shellには、拡張が可能であること以外、全く何の機能すらありません。
独自に作っていたGTK+/GNOMEアプリケーションは、メニューバーすら無くなって、無価値で低機能な使いづらいアプリケーションになっています。
GNOME-ShellがWindowsのパクリでなく独自のものになってきたのは良いことですが、逆にスマホの低レベルな機能を模倣して、使いづらい全画面でアプリケーションランチャーを表示し、ウィンドウ一覧を表示する機能はバーではなくアクティビティパネルをわざわざクリックしなければならず、とても使いづらいです。
これに比べて、KDEはとても素晴らしい環境です。使いやすく、機能的で、動作の機敏さもあり、また全てのアプリケーションが高度です。
僕は、もしGNOMEが次のバージョンで良いものにならなければ(次のバージョンが出るのかどうかも分かりませんが)、KDEがLinux界で勝利すると思います。KDEが標準のデスクトップ環境になった時、今のようなアンチXの後ろ向きで自己矛盾なオタクのOSではなく、優れた機能的で素晴らしいデスクトップに、Linuxは変貌するでしょう。
GNOMEが標準だった関係で、GTK+アプリケーションとQtアプリケーションではGTK+アプリケーションの方が多いですが、KDEプロジェクトはアプリケーションも独自に開発しているため、Mozilla Firefoxの代わりにKonquerorを使い、GIMPの代わりにKritaを使うことが可能です(KritaはPhotoshopよりもPainterやSAIに近い)。またCalligra SuiteではLibreOfficeではないものの、共通のOpenDocument Formatを読み書きすることができます。
KDEの欠点として「巨大そのもの」ということが挙げられます。
シンプルなOSというUNIXの哲学を引き継いだLinuxにとって、KDEはまさに「巨大そのもの」です。アプリケーション、フレームワーク、デスクトップまで、全てを一括して開発し、たくさんのサブプロジェクトを持っています。
オープンソースなプロジェクトとして、たくさんのアプリケーションがあり、機能がどんどん増えていくのは魅力的かもしれませんが、C++を使って巨大システムを作っているため、起動も遅く、バグも多く、メモリも食う、そして場合によってはどこかに不具合が必ずあって起動すらしないこともあるのです。
ただし、この巨大システムに慣れてしまえば、KDEはとても使いやすく、高度で、高機能で、同時に分かりやすいです。デザイン的に見ても魅力的で、たくさんのアプリケーションと機能があります。多くの人がGNOMEよりもKDEを愛しています。また、C++とQtを採用しているため、一度起動してしまえば機敏に動き、開発の際にも美しいインターフェース設計ができます。
KDEのグラフィカルシェル。最近はKDEのデスクトップ環境フレームワークを指して、Plasmaと呼ぶ。
Wikipedia
KDEのファイルマネージャ。Webブラウザと統合された昔ながらのKonquerorもファイルマネージャとして利用出来る。
KDEのテーマはstore.kde.orgから入手できる。
Mac風に一歩近づいたか、KDE Plasma 5.9でMac風のGlobal Menu(Application Menu Widget)が導入された。Macのようにスクリーンのトップにメニューを表示できる。「Global Menu KDE」と検索すると情報が出てくるので参考にしてほしい。ちなみに、これは昔UbuntuがUnityでやっていた。
KDEでは、KDE Connectというアプリをスマホに入れることで、スマホとパソコンのKDEデスクトップの間でファイル送信などの連携機能を使うことができます。
GNOMEの場合、GSConnectというKDE Connectを実装したGNOMEエクステンションを導入します。GNOMEのほうでGSConnectを導入し、スマホのほうでKDE Connectを導入します。
最近、ネットのオープンソース界隈では、KDEの次世代バージョンであるKDE Plasma 6が話題です。
KDEの次世代バージョン、なんだか心躍りますね。「早く使ってみたい」とワクワクしてしまいます。
ただし、以下の記事によれば、ユーザー目線での新機能はそれほど多くなく、KDE Plasma 5.27とあまり変わらないそうです。
試したい方は、KDE neonの不安定版が導入できます。ただし、バグや不具合が多いことを覚悟してください。
2023.07.05
Trinityを参照のこと。