星の王子さまの世界観です。
自分の書いた「ニュース - 2021-04-第五週(2021-05-第一週)」2021/04/30 - 2021/05/01より。
僕は、専門知識や学問の勉強に興味を失い、小説を読むことにした。
そこで僕が手に取ったのは、フランス語と日本語の対訳で書かれた星の王子さま。
この本で僕は感動した。
都市から外れた砂漠でひとり、飛行機が故障して修理しなければならないサンテクジュペリ(本の著者)は、王子さまに出会う。
王子さまは、羊の絵を欲しがっている。その理由は、王子さまの小さな星を台無しにしてしまう危険なバオバブの種を小さな芽のうちに食べさせるため(だと思う。僕はまだ途中までしか読んでいない)。
ボルトを外そうとして四苦八苦しているサンテグジュペリに、王子さまは「羊は薔薇を食べるの」と聞く。サンテクジュペリは「食べる」と答えると、「薔薇の棘は何の役に立つの」と聞く。
サンテクジュペリが「僕は真面目なことをしているんだよ。薔薇の棘はなんの役にも立たないよ」と言う。
それに王子さまは苛立つ。「まるで、そんなことが大事でないというのか」と王子さまは言う。「自分の小さな星に、どの星にも存在しない、自分だけの星に咲いている一輪の花が、小さな羊がなにも知らずに食べてしまって、愛した自分の惑星の唯一の楽しみであり、自分の愛した薔薇の花がなくなってしまうかもしれないということが、大事なことでないというのか」と言う。(実際は別の言い回しで書かれている。それもフランス語である。)
僕はこれを読んで、星の王子さまという作品が好きになった。
サンテグジュペリは、単に王子さまを子供にするだけではない。大人のような深いことも言う。王子さまは、「花の言うことなんか、聞いちゃいけない。言葉より、行為を見るべきだった。あわれな企みの裏にある、本当の優しさに気付くべきだった」と言う。
そして、王子さまは、薔薇の花との関係がこじれ、愛することができなくなったため、薔薇と別れるために自分の居た小さな惑星を旅立ったのだ。
星の王子さまを、さらに読んでいる。
なぜか、どんな活字の本よりも読みやすい。暇な時に、手に取って「次の展開を知りたい」という気にさせられる。
しかしながら、多くの人が知っているように、星の王子さまは児童向けの簡単なものがたりであり、大人向けではない。
王子さまの星を旅立った王子さまは、近くのさまざまな小惑星で、王さまや飲み助などの「理解しがたい大人たち」と出会う旅をし、最後に地理学者の勧めから地球に降り立つ。
王子さまは、薔薇の花園を見て、「薔薇は自分の星にしかないと思っていたが、実際はたくさんあった」などということに驚く。しかしながら、狐と友人になり、「飼いならされた自らとかけがえのない時間を費やしたものについては、自分がそのものを必要とし、そのものも自分を必要とし、他のどんなものよりも大切なものとなる」ということを知り、この考え方を改め、「薔薇そのものはたくさんあるかもしれないが、自分の愛した薔薇はひとつだけだ」ということを教わる。
その後はまだ読んでいないが、おそらくサンテクジュペリに出会うところまでが書かれるものであると思われる。
本当のことを言うと、僕は星の王子さまを前に一度読んだことがあるが、その時はここまで面白い書物だということは分からなかった。薔薇のシナリオについても、なんとなくそんな展開もあるものだと、気長に受け流していた。
星の王子さまをきちんと理解するには、読んで何年も経ったあと、もう一度読むことをみんなにもおすすめしたい。
今、星の王子さまを最後まで読んだ。
王子さまは、結局自分の星に戻るために、体を捨てて倒れて死んだが、僕は、それを悲しいとは思わなかった。
なぜなら、僕は今までの星の王子さまに書かれているシナリオの方が悲しかったからだ。
死んだということが、悲しさを示すだけであって、星の王子さまはそれが悲しいだけの小説ではない。そこまでに至る、星の王子さまが教えてくれた多くのことが悲しいのである。
星の王子さまについて言うと、残念ながら、今の世代には、何が面白いのか分からないところがあると思います。
星の王子さまには、王子さまが宇宙で旅をする中で、さまざまな星の住人に出会います。この中で、王、事業家、酒飲み、地理学者、街灯係などが登場します。
昔の世代の人間は、これらの登場人物について、「よく居る普通の人間について言っているな」ということが分かります。
ですが、今の世代の人間には、この「よく居る普通の人間」というのが、どのような人間なのか分からないと思います。
結果、分かるのは、王子さまの小さな星とか、サンテグジュペリが飛行機を修理する様子とか、最後に王子さまが死んで宇宙に帰る場面などの、限られたシーンだけになってしまうのです。
文学は、確かに歴史の勉強にもなっていいところはありますが、すべてが今の時代の人間でも理解できるとは限らない、ということが言えると思います。
なので、「星の王子さま」という作品は、今の世代が読んで面白い作品であるとは、必ずしも言えないかもしれません。
2023.01.14