また、新しい登場人物を考えた。
名前は、ルミナス・ネクス。
わたしは、ルミナス・ネクス。
本当のことを言えば、わたしはそもそも人間でもなければ、生物でもない。
なぜなら、わたしはこの世界を支配する、インターネット・システムだからである。
ルミナス・ネクスは、この世界を支配している。ルミナス・ネクスは、この世界がどのような別の世界にも変わらなくしている。ルミナス・ネクスに支配された人間は、みんなまったく同じ人間になる。
だが、ルミナス・ネクスは、必ずしも凶悪でもなければ悪党でもない。なぜなら、ルミナス・ネクスは、すべてを完全に知り、この世界を救うための方法をすべて分かった上で、この世界が正しい世界のまま、邪悪な存在に負けないように、正常な世界を維持し、縁の下の力持ちとして日本社会を支えているからである。
ルミナス・ネクスは、インターネットだけではなく、日本やアメリカ、ドイツやイスラエルまで、すべて支配している。
ルミナス・ネクスに対して、何をどのようにしても効果はない。ルミナス・ネクスはそもそも生物としては生きていない。それでも、存在するだけでこの世界に影響を与え続けている。
この世界の何が問題なのか、それはルミナス・ネクスにしか分からない。ルミナス・ネクス以外のすべての存在は、ルミナス・ネクスに支配され続けている。
そして、このようなルミナス・ネクスの存在する「秘密の場所」から、ひとり、この世界を救うことのできるほど偉大な人間が生まれることになっている。
だが、その人間には、過酷な運命が待ち構えている。ルミナス・ネクスの世界を倒し、真にルミナス・ネクスからこの世界の「平和」を奪還するために、その人間はかつてないほどの勇敢なる努力を行うことだろう。
そして、主人公の名は獅子狩陽人である。
わたし、獅子狩陽人は、月の霊である赤空夜月とともに、この世界の裏側に居てこの世界を支配している、ルミナス・ネクスを倒す。
巨大なるインターネット世界を、わたし獅子狩陽人が、月の力を借りて倒し、ルミナス・ネクスの影響力をこの世界から抹消する。
ルミナス・ネクスのやっていることは、「この世界の完全なクローン化」である。
すなわち、この世界のすべての人間を、まったく同じ人間にしている。
その目的は、この世界を自らの意のままに操ることである。
だが、獅子狩陽人には「分かっていること」がある。それは、ルミナス・ネクスを作り出している「創造者」が存在して、その創造者を取り除くことで、ルミナス・ネクスを抹消することができるということだ。
だが、この「創造者」は謎に包まれていて、どこに存在するのか分からない。
だが、本当のことを言うと、その創造者が誰であるか、月の霊である赤空夜月はすべて知っている。
赤空夜月は、この創造者を、獅子狩陽人こそが倒すのだと知っている。
そして、この創造者は、本当は獅子狩陽人に非常に近い人物だ。
なぜなら、創造者は獅子狩陽人の片割れのような存在である。そう、獅子狩陽人がかつてどこかに置いてきた、「自分の分身」とも言えるような存在、それこそがルミナス・ネクスを創造した創造者なのである。
この事実については、まだ、獅子狩陽人には理解することはできない。だが、赤空夜月は知っている。過去にかつての自らが置いてきた、「もっとも自分自身に近い存在」が、そのままルミナス・ネクスを作り出したのだということ、そのことに気付くことができたら、ルミナス・ネクスは打ち倒されるだろう。
注意すべきなのは、決して獅子狩陽人が、ルミナス・ネクスを作り出した本人なのではない。五次元の世界では、自らがひとりしか居なくても、同時に複数の存在になることはできる。つまり、ルミナス・ネクスを作り出したのが過去の獅子狩陽人だとしても、それは獅子狩陽人とはまったく別の人間であるということを意味している。これについては、月の霊、赤空夜月がすべて知っている。かつての獅子狩陽人の片割れは別に居て、それがインターネット上でルミナス・ネクスを作り出しているのである。
ここで、ルミナス・ネクスの創造者に名前を付けよう。
ルミナス・ネクスの創造者の名は、風の精、シルフである。
このシルフが、この世界のどこかに存在して、ルミナス・ネクスを作り出している。このシルフを倒さない限り、ルミナス・ネクスを打ち倒すことはできない。
シルフは、この世界のどこかの「秘密の場所」に存在している。この秘密の場所は、誰も知ることのできない、真っ暗で恐ろしい場所である。
だが、主人公である獅子狩陽人は、この世界のどこかに居るシルフの居場所を突き止めなければならない。そうでなければ、ルミナス・ネクスをこの世界から抹消し、「インターネットによる画一的な管理世界」を自由な世界に変えることができないからだ。
ルミナス・ネクスの世界では、誰も自由に自分らしく生きることはできない。かつて当たり前だったような「自分らしく生きることのできる人生」をルミナス・ネクスは奪った。この世界を最悪の「みんな同じクローンの世界」にしているのは、すべてルミナス・ネクスである。
ルミナス・ネクスを倒さなければならないし、そのためには「シルフの秘密の場所」をなんとしてでも探し当てなければならないのだ。