僕は、既に分かったことからしか分からなくなっている。
既に分かったことからこの世界のことを分かり、分かっていないことが分からなくなっている。
そのせいで、日本語が分からなくなっている。
僕は、長い間、歩き回ってロボットになる狂いを治すことができなかった。
だが、ようやく、その答えが分かった。
僕は昔、18歳の頃に、すべてが分かって大人が終わった。
僕は文章を書きながら、本能的に中学生の頃に戻ろうとした。もしかしたら、中学生ではなく、赤ん坊にまで戻ったかもしれない。それ以前の、前世まで戻ったかもしれない。
だが、僕は18歳で文章を書きながら狂い、心と人格を子供に戻そうとした。
その時は、それが「発見」のためだった。子供時代から大人時代までの歴史を、逆戻りしながら書くことで、僕は人生のすべての「最初と最後」を書いていた。
僕はそれによって、時計で狂った。時計の針が進むのと同じ速度で、僕はロボットのように思考する、機械的な狂った人間になった。
どうすれば大人だった18歳の頃に戻れるのか、僕は分からなかった。
だが、ひとつ気付いたことは、18歳の頃から中学生に戻るということは、大人から子供に戻るということだが、その18歳を過ぎて、20代になって、そこから18歳に戻るというのも、また大人から子供に戻るという意味では、同じことを求めているのである。
すなわち、18歳から中学生に戻るのは子供に戻っている。だが、子供に戻った33歳から、再び大人だった18歳に戻るというのも、大人になることを望んでいるように見えて、本当は子供に戻ることを望んでいる。
そう、だから、18歳の正常な大人に戻ろうといくら願っても、中学生あるいは赤ん坊や前世に戻りたいとする本能が変わることはない。大人から子供に戻ることを願っている時点で、狂いは治らない。
この問題のやっかいな点は、全世界を巻き込んでいるということだ。僕は世界の頂点から文章を書くことで、この世界全員をまるで「道連れ」にした。そのため、みんなも、僕と一緒に子供に戻り、狂いが治らなくなった。
そして、その「子供に戻った」という事実が、この世界を馬鹿な世界にしている。きちんとした大人として生きる術、あるいは大人へと成長する術をこの世界は僕の道連れになったことで失ってしまったのである。
必要なのは、18歳の大人の頃に戻りたいと願うことではない。そもそも18歳は大人ではなく子供である。少なくとも、33歳の今から18歳に戻るということは、18歳から中学生に戻るということと何も変わらない。
そこが分かれば、機械的なロボットは治るし、中学生程度の知性しかない「まるで中学生」も治る。
この世界は、今、僕がその事実に気付いたことによって救われる。
大人になるために必要なのは、まず「大人になる」と思うこと。それだけでいい。その上で、中学生や赤ん坊に戻ろうとする頭を破壊し、自然に大人になっていくようにすればいい。
本当のことを言えば、そのように機械的な退行を行ったせいで、僕は18歳から一切成長していない。いつまでも18歳のまま、まったく何も変わっていない。今から、33歳になろうとすればいい。そうすれば、永遠に子供化し続ける狂いの病気はすべて治る。