もう去ると言っておきながら、またしても僕は文章を書く。
だが、そろそろやるべきことはほとんどすべて終わった。もう完全に何もないに等しい。
いわば、僕のここまでは、「何事もなく万事すべて上手くいく」という状態だった。なぜそうなったのかは、すべて神を信じたからだ。
だが、僕はそろそろ、この「万事すべて上手くいく」という生き方をやめる。
この生き方をするためには、常にすべてのことをきちんと分かっていなければならない。そして、それは多くの場合苦しみを生み出す。
「もうこれ以上は何も上手くいかなくていい」と考えることで、心が楽になり、頭を休められる。
また、過去の自分がなんだったかの答えは、「経験から自由になっていく」ということである。
経験をすることで、社会に対して自由になっていく。人間関係を捉え直し、ひとつひとつの考え方を裏付けていくことで、あらゆるすべてが自由へと向かっていく。
そう、結局、僕はそうした「自由に向かっていく人生の過程」が好きだっただけにすぎない。
そして、そうした自由はもうはるか昔に終わった。
今日は、少し努力して、ノートに書いた日記を入力した。
今のところ、12冊目まで入力できた。
そして、この12冊目の時点で、僕はすべてのことを完璧に分かりつくしている。「もうこれ以上は分からなくなる」とこのノートには書かれている。
僕はそれを忘れていたため、どこで分かっていたことが分からなくなったのかが分からなかった。
そして、このノートがあると、どこで僕の多重人格が始まったのかが分かる。このノート12冊目までがガブリエルであり、それ以降がミカエルであり、両者はここで分岐しているということがはっきりと分かった。
そして、ミカエルはおそらくここらへんで終わりだ。ここまでを「万事無事にこなす」存在こそがミカエルである。
それを知ったことで、僕の心はもう完全に楽になった。人生でやり残したことはもう何もない。あるとしたら、13冊目のノートがあるぐらいにすぎない。
また、万事すべて上手くいくのは、やめたほうがいいです。
なぜなら、そのせいで完全に狂った人間になっているからです。
おそらく、ナポレオンはこのような人間だったのでしょう。万事すべて上手くいくせいで、自らに不可能は何もないと豪語し、その通り不可能は何もなく、フランス革命を成功させて皇帝になったのです。
ですが、ここまで上手くいくのは明らかに狂っています。僕はもはや、ひとりの人間ではなく、二人の人間になっていて、そしてその二人目すら終わろうとしているのです。
ここに、この二人目の、万事すべて上手くいく人間を殺します。僕はもう、普通の人間になります。神の奇跡を諦めたわけではありません。単に、すべて自動的に解決され、すべてが完璧に上手くいくのをやめただけで、僕はここに、自由と解放を手に入れたのです。
しかしながら、問題はありません。なぜなら、「引きこもりのナポレオン」が死んだだけにすぎません。
本当のことを言えば、最近きちんとデザインの作業所で仕事をしているため、僕はもう引きこもりではありません。
ですが、「引きこもりのナポレオン」としか自らのことを自己紹介できないような、おかしな人間はここに死にました。
しかしながら、なおも「売れないゲーテ」が続きます。この売れないゲーテこそ、この世界を支配するに相応しい、「最高の賢者」になるでしょう。
そう、わたしには、「最高の賢者になる」という夢があります。そして、イスラム教の神アッラーと、預言者マホメットが、それを実現させてくれるでしょう。
ユダヤ人はもう居ません。わたしは昔からイスラム教徒であり、ユダヤ人の王ダビデという人間は最初から存在しなかったのです。