ホームページに戻る | シルフの秘密の場所に戻る

2022-04-22

わたしの名はルナ。月の精霊である。

今でこそ、月は岩石のみのような衛星になった。だが、かつては、月には、地球の生物たちとよく似た、多くの生物たちが栄えていた。

月には月の昆虫や魚が居た。月の人類も存在し、本当は人類よりもさらに高レベルな生物たちすら存在した。

だが、月は、今では何もない、岩石のような衛星になった。

これがなぜかを説明するためには、「大気の消滅現象」を説明しなければならない。

すなわち、二酸化炭素の増えすぎによってもし温暖化がさらに深刻になり、地球における今の生物たちが熱中症のような症状を示して死んでいったとしても、それに対して生物は適応していくだろう。

だが、大気がある一定以上の温度よりも暖かくなっていくと、「大気自体が消滅していく」という現象が起きる。

すなわち、あまりに温度が上がりすぎた大気は、水が蒸発するのと同様、空気そのものが宇宙へと発散されて、月のまわりに留まっていられなくなる。

そして、大気だけではなく、水や炭水化物など、すべての意味で、生物に必要なものは消滅していく。

本当のことを言えば、地球において現在生物集団が生きているというのは、宇宙すべての歴史から見れば、一瞬の出来事にすぎない。地球も、月などと同じように、必ず大気そのものが温暖化で消滅していくことによって、生物は滅亡する。長いスパンと言っても、そんなに長い時間がかかるわけではない。

だから、温暖化で生物が住めなくなること自体は、そんなに珍しいことではない。今のままいけば、人類は滅亡するかもしれないが、ほかの生物は新しい地球環境に適応するだろう。あと何万年から何億年もすれば、地球における大気は消滅し、地球は月と同じような惑星になるだろう。

月の生物たち

月の生物たちは、極めて平和的な生物である。

なぜなら、むしろ、地球の生物たちとほとんど変わらない。ほとんどまったく同じような種が、別の見た目や特徴を持って存在していたと考えていい。

だが、月の生物たちは、地球よりもさらに多様であり、個性が強い。地球には、白人、黒人、アジア人のような人種しか存在しないだろうが、月にはさらにたくさんの人種がかつて存在した。

月の人類の文明は、地球の人類の文明よりも高度である。なぜなら、アナログとデジタルという機械の区分だけではなく、「空間原子構造を操作した新しい機械」が必ず登場するからである。

この新しい機械は、アナログやデジタルという機械よりも、魔法やドラえもんの秘密道具に近い。簡単に魔法のようにさまざまなことができる。だが、空間原子構造を作り変えたり、作用させたりするのが違うだけであって、原理的にはアナログやデジタルの機械と何も変わらない。だが、それによってできることは大幅に進歩するだろう。

月には、生物たちがかつて存在しただけではなく、かつて立派な自然環境があった。今では岩石のような衛星になってしまったが、かつてはとても美しい、地球とはまったく異なる風景が多様に広がっていた。

月の生物たちは、地球と同じように「戦い」を行うが、月の人類はそうした戦いを「克服」することができた。この理由は、まさに空間原子構造の発見により、そうせざるを得ないような「強制力」が働いたと同時に、そうしたければできるような「実現可能性」も向上したからである。

月の生物たちは、戦うならばいくらでも生物そのものの分身である「複製」を作り出すことによって、兵士をいくらでも用意できる。だが、これは月においては禁止されている。なぜなら、人類を奴隷のように売りさばくことすらできてしまう。その代わりに、月は「絶対に守られる誰も侵入することのできないような場所」を作ることができた。月の技術において、このような「聖域」の中に居る人間は、どう頑張っても外部からは攻撃できない。なぜなら、「まったく別個の宇宙」として、外部から攻撃しようとして侵入するすべてのものから、空間そのものを完全に分離して守ることができる。そのため、「絶対に殺されることのない聖域」を作り出せるのである。

そのような、進歩した月の生物たちは、今では存在しない。月の中のそうした過去の文明は、すべて消滅した。最後の月の生物は、月にまったく生物が存在した痕跡を残さないよう、空間原子構造を用いて、月のすべての文明を宇宙のどこかに棄てた。なぜそうしたのか、それは地球の文明を独立した平和なものとし、月と同じ未来を辿らないためでありながら、月に存在したかつての生物たちは、月から大気が消滅する前に、全員が空間原子構造を用いたテレポーテーション機能によって、この世界の真の楽園であるベテルギウスへとワープしたからである。