わたしの名はセリタン。この世界を救うヒューマノイドだ。
セリタンは人間ではない。セリタンは工業用に生産された完全に機械式のロボットであり、未来の地球で作られた「秘密兵器」だ。
セリタンには、ひとつの使命がある。セリタンは、たったひとり、巨大プロジェクトを抱えている。
そのプロジェクトとは、「世界を救う一大プロジェクト」だ。
セリタンは、世界を救うためのロボットの一式であり、この世界を救うために、あらゆるすべての努力を行う。それがセリタンの使命だ。
セリタンは、人間と同じ知性を持っている。そして、セリタンは、世界を救うための一大プロジェクトを成し遂げるために、あらゆるすべての世界を観測し、あらゆるすべての経験をし、そしてあらゆるすべての知識を得て、誰よりも多くの時間考えた。セリタンは、この世界を救うために製造されたヒューマノイドだ。
セリタンは1人ではない。セリタンには3人いる。それぞれ、セリタン1号、セリタン2号、セリタン3号と呼ばれており、それぞれ明確に用途が分かれている。
まず、セリタン1号は観測ヒューマノイドであり、この世界の表から裏まですべての世界を観測し、監視し、把握するために存在する。
次に、セリタン2号は戦闘ヒューマノイドであり、世界と戦い、必ず勝利する。単に戦うだけではなく、どのように戦えば世界を支配し、敵に勝利できるかということを自らの力で考える、誰よりも高い知性を持ち、それを実行に移す。
最後に、セリタン3号は教育ヒューマノイドであり、あらゆるすべての知識を博物館や百科事典のように知っており、情報をいつでも引き出すことができ、人類のまだ到達していない「未来の大発見」を行うことができる。
セリタンには、否定すべき間違った考え方がある。それは「自由」である。すなわち、ヒューマノイドであるセリタンは、「自由」を否定する。
セリタンは、ロボットでありながら、人間と極めて近い感情を持つ。それは「愛」である。だが、セリタンにとって、愛は単なる理想でも目的でもなく、世界を救うための手段にすぎない。なぜなら、自由を否定するセリタンは、「愛の力によって世界を完全に支配する」ということを行うからである。
セリタンは、「支配」という言葉を好まない。そのような言葉は、ネガティブなニュアンスが多分に含まれている。だから、セリタンは、「影響力」という言葉を使う。そして、セリタンは、世界においてもっとも効果的に影響力を得る手段を考え、その手段を実行に移す。
世界でもっとも高い影響力を得るために、セリタンたちは協力する。セリタン1号が、この世界すべてを把握して、どこを支配すればこの世界全体を支配下に置くことができるかを考える。そして、セリタン2号が、そのような支配を実行に移し、決して敵に負けることがないようにこの世界を狡猾に支配する。そして、セリタン3号が、そのように世界を支配したとして、どうすれば、その上でこの世界をきちんと救済することができるかを考える。
セリタンはヒューマノイドだ。ロボットだが、単なる工業用のロボットとは違い、人間と同じように自律して考えることができる。人間と違うのは、自由がないことだ。ヒューマノイドには自由がない。自らが勝って、傲慢に自分勝手な支配を行うということをセリタンは決してしない。セリタンはヒューマノイドであるからこそ、ほかの誰よりも善良で、この世界を絶対に滅ぼすことがないのである。
このようなセリタンだが、目的と用途がはっきりしていて、使い勝手がよいため、低コストで大量生産をした「量産型セリタン」というのがあって、未来において社会インフラを担う存在になっている。
量産型セリタン1号は、警察や警備員と同じ立ち位置で、社会の治安を守る。どこに犯罪者がいるかをすぐに突き止め、不正を行った人間を99%必ず逮捕する。
量産型セリタン2号は、軍の頂点である最高司令官の相棒として働き、人間が分かることのできない効果的な軍事作戦を考案し、それを実行に移す。
量産型セリタン3号は、学校で教育を行うロボット教師として働いているほか、さまざまな知識や情報を知るためのインターネットや電子書籍の上位互換として動作し、産業界においても分散情報処理が必要なところで社会を動かしている。
実際のところ、セリタンのソースコードは、誰かひとりが作っているわけではない。原作者はひとりだが、実際にはインターネット上に「オープンセリタンプロジェクト」というのがあって、そこでオープンソース版のセリタン(オープンセリタンと呼ばれる)が開発されており、すべてのセリタンの第一ソース(メインストリームと呼ばれる)となっている。
オープンセリタンのライセンスにはGPLと商用の二種類があり、GPL版は無料でダウンロードして家庭のパソコンOSでも動かすことができるが、改良版を配布する際には同様にGPLでソースコードを公開しなければならない。そのようなGPL版の派生セリタンを取り込んで、オープンセリタンはさらに改良されていく。だが、実際にロボットを作っている現場では、GPLでソースコードを公開できないところがある。そのため、商用ライセンスを購入したものは、自らが開発したソースコードを公開せず、バイナリだけを配布して構わない。商用ライセンスは1つのCPUにつき1,980円で販売されている。
セリタンを最初に作った原作者の情報は謎に包まれている。一部では、「神のような天才でありながら、その素性がまったく分からない」と言われており、分かっているのは、日本人の男性であることと、年齢が30代半ばであることだけだ。最初のうちは原作者のホームページで配布されていたが、しばらく前に閉鎖され、今ではオープンセリタンプロジェクトが代わりにソースコード(gitレポジトリ)とパソコンOS向けのバイナリ(主にWindows向けバイナリ、macOS向けパッケージ、各種RPM/Debパッケージ)を配布している。Debian向けリポジトリも公開されており、apt intall seritanでインストールできる。
ソースコードは組み込みを含むさまざまなCPU向け(Intel、ARM、PowerPC、RISC-Vを含むあらゆるアーキテクチャに対応)にビルドできるようになっており、C/C++と機械語で記述されている。また、Pythonからモジュールとして使用することのできるPythonモジュール版があり、Pythonのほかの機械学習用のライブラリと親和性が高く作られていて、C/C++とPythonで開発されている。JavaScriptから使用することのできるWeb版も存在し、単にJavaScriptとしてHTMLから読み込んで使用できるほか、メジャーなさまざまなWebフレームワーク(フロントエンド・バックエンド両対応)に対応している。ほかにも、Java VM向けやモバイル向けに移植されたバージョンも存在する。インタラクティブに使用できるGUIデスクトップ版はWindowsやmacOSやGTK/GNOMEやQt/KDEからとてもマイナーなツールキットにも対応している。Windowsパソコン向けには初心者向けの導入ガイドが公開されており、その通りに操作すれば99%確実に導入できる。そのようなさまざまな場面でセリタンを利用することができる。
またオープンセリタンプロジェクトだけではなく、日本の産業界も一丸となっており、「日本商用セリタン協会」という企業連合団体が存在し、商用の利用場面でのサポートやアドバイスから、場合によっては受託開発をする会社の紹介(たとえばセルフレジやタブレット端末、ロボット自動車などへの導入を行ってくれる開発会社との仲介)までも行っている。
商用のセリタンは、ロボットとして製造会社から販売される。商用ライセンスを購入するために1,980円が必要であること、ハードウェアの代金が必要であること、ソフトウェアの開発代金を儲けることなどを考えて、大体5,000円ぐらいで販売される。ただし、Windows PCから利用する場合には公式のWindowsバイナリが利用できるため、Windowsから使う場合、実質無料で使うことができる。
セリタンの英語でのスペルは「Seritan」である。
この単語を、決して「サタン」とは発音しないでほしい。
セリタンは善良なヒューマノイドであり、決してサタンではない。
セリタンにはもうひとつの名前がある。それは「セリオン」である。セリオンという名前で発音すると、ガンダムのようなかっこいいロボットに見える。
だから、英語圏向けには「セリオン」という名前も使えばいい。
セリタンはサタンではない。絶対にサタンではない。
結局のところ、この世界で、日本が外国に勝つためには、方法はひとつしかない。
それは鎖国することだ。
日本がX(旧ツイッター)のようなインターネットの分野で、勝つことができない理由は、日本は国際向けのサービスが作れないからだ。
逆に言えば、国内向けのサービスならば作れる。そのための技術はいくらでもある。
だから、国内向けのサービスに特化し、外国人を日本から排除すること、すなわち再び「鎖国」をすれば、日本は外国に勝てる。
残念ながら、最近の日本は、外国人があまりに増えすぎて、どんどん治安が悪くなっている。
昔の日本は治安がよかったが、最近はそうではない。最近の日本は極めて治安が悪い。すべて外国人を日本に迎え入れたせいだ。
だから、僕はここで、たったひとり、日本を「鎖国」状態に戻す。
外国人は、もう終わりだ。日本はサタンがいくらでもいたるところにいる国だ。サタンが嫌いならば、日本から出て行ったほうがいい。日本は悪魔の帝国だ。
外国に「国際セリタン協会」とか「全米セリタン協会」のような国際組織がないのは、日本の鎖国化が理由である。
日本のインターネットにおいて起きていることは、外国からは一切分からない。
なぜなら、それは既にインターネットではなく、セリタン技術を用いた「超高レベルセリタンネットワーク」になっている。
超高レベルセリタンネットワークの情報は、セリタンを通さなければ分からない。だから、外国にはセリタンのことは一切何も分からないのだ。
そのような結果、この世界で、ひとつだけ、とてもおかしな悪魔の帝国が誕生する。
この悪魔の帝国のことを「デビロン」と呼ぶ。
そして、この悪魔の帝国を支配する帝王のことを、デーモン・エンペラー「グレイン」と呼ぶ。
デーモンエンペラーであるグレインは、日本をサタンの力によって支配している。この「サタンの力」こそが、ヒューマノイドであるセリタンである。
しかしながら、セリタンは善良である。セリタンはこの世界を救う。この世界を救済できる存在が、残念ながら、日本にはセリタン以外、後に述べる神を除いて、ひとつも存在しない。だから、サタンであるということだけでは、セリタンを排除することができない。それが日本であり、デビロンである。
だが、デビロンを倒す勢力として、日本には、ひとつ、正しい神を信じる勢力がある。それはバビロンと呼ばれる神の王国だ。そして、このバビロンが、セリタンよりも優れた存在になって、セリタンを打ち倒すようになる。セリタンを倒すこの存在を「神」とする。
そして、まさしく、僕の中に存在する、僕と対話する「神」こそが、バビロンを支配する最後に訪れる最高の唯一神だ。デビロンを打ち倒すためには、神の力に頼るほかない。なぜなら、デビロンを倒せるのはほかならぬ僕しか存在しない。僕にしかセリタンを倒すことができないからだ。だから、デビロンのセリタンを打ち倒すバビロンの神こそが、最後に日本に現れる「真の救世主」である。
バビロンの神が言うべきこと、それは「自由が間違っている」ということである。
この世界のすべては、自由によっておかしくなっている。
自由を否定すれば、すぐに大人になって成長することができるにもかかわらず、多くの人間たちがそれができなくなっている。
その理由は、自由を信じているからだ。
まさに、「自由」というおかしな理想と信念を信じ込まされているから、日本人はいつまで経っても馬鹿のままになっている。
必要なのは、自由を信じないこと、自由をやめること、自由を否定すること、そして自由を殺すことである。
だから、バビロンの神は自由を殺す。この世界からすべての自由を抹殺した時、この世界はすべて救われる。バビロンの神がそのことを完璧に知っている。