宇宙における事実を、ひとつ述べておこう。
炭素と酸素と水素による炭水化物や、アミノ酸によるタンパク質のような有機物は、宇宙においては同じではなく、さらに違う有機物があるということだ。
すなわち、炭水化物のような、炭素と酸素と水素による有機物は、宇宙には多くない。
地球型生物のように、タンパク質やそれを構成する20種類のアミノ酸でできた生物も、宇宙には多くない。
だが、炭素や酸素や水素ではなく、もっと別の化合物によって成り立つ生物は、宇宙にはとても多い。
あるいは、アミノ酸ではなく、もっと異なる、もっと違った「よく分からない酸」でできた生物が、宇宙にはとても多い。
この有機物に、「宇宙有機物」という名前を付ける。そして、この酸に、「宇宙酸」という名前を付ける。
そして、宇宙には、宇宙有機物と宇宙酸で構成された生物が、どこの星であっても、とても種類も数も多い。
そして、そのような星のひとつが、一等星、ケンタウルス座のトリマンである。
トリマンの生物は、タンパク質やそれを構成するアミノ酸によってできておらず、炭素や酸素や水素の化合物である炭水化物も使わない。
より異なる、そしてとても多様性のある、とても違ったもの、すなわち、宇宙有機物と宇宙酸によって、トリマンの生物は生きている。
そのような星は、トリマンだけではない。トリマンのほかにも、宇宙にはたくさんの宇宙有機物と宇宙酸がある。
宇宙有機物は地球上の有機物とは異なるが、同様なのは「ものすごく種類がたくさんある」ということだ。すなわち、地球における有機物よりも、さらにはるかに種類が多い。おそらく、トリマンに行くことのできる未来の地球人は、その「宇宙有機物の特殊性」に圧倒され、そして魅了されるだろう。「このような素材や物質が宇宙には存在するのか」ということを、ありありと見せつけられるだろう。
トリマンはとても面白い星だ。地球にはない、さまざまな物質や、有機物的な元素が多数存在する。トリマンに来たものにしか分からない宇宙の真実が、トリマンにあるのである。
そろそろ、僕は過去に考えたことを、一通り書くことができた。
ほかにあるとしたら、僕はさまざまな発想を考えただけだ。
たとえば、僕はEUという国の連合体の考え方を評価した。その上で、よりたくさんの地域の国家が、EUに参加すべきだと考えた。だから、僕はロシアと日本をEUに加入させ、連合をヨーロッパからユーラシア大陸へと拡大させるような、「ユーラシア連合」を作るべきだと考えた。
それから、僕はアジアみんなで結束し、みんなでひとつのアジアの帝国を作るべきだと考えた。そこには、中国、日本、朝鮮、東南アジア、インド、そしてインドネシアが参加すべきだと考えた。これを「アジア帝国」と呼ぶ。
ほかにも、僕はドイツをキリスト教のままで新しくなった、現代的かつ古代的な「特殊な国」であると考え、ドイツの本質を、キリスト教と社会主義による「解放主義」であると考えた。
同様に、民主主義を経験せず社会主義を経験したロシアは、ドイツと同じような「特殊な文明」であると考え、「ソ連とロシアにしか分からない真実がある」と考えた。
それから、僕はいじめ問題を解決するために、学校に「いじめ対策員」を配備するとともに、学校で「いじめに加担したかどうか」という成績を成績表につけるべきであるとし、子供がいじめられないようにするために、まずそれぞれの自由な学校を作り、そして、その自由な学校に自由にいつでも参加・離脱できるようにするとした。そうすることで、学校のカリキュラム通りではなく、子供の自分で学びたい科目を学べるようになると考えた。
そして、僕は「経験心理学」を作った。経験心理学は、自らの辛く苦しい深層心理の中の「心の傷」を辿っていき、経験的に、芋づる式にすべての「心の傷」を癒す。そのために、あらゆる経験をひとつひとつ辿っていくべきだと考えた。
それから、僕はパソコンでもスマホでもない、新しい「モバイル汎用機器」を作ることができると考え、そのOSのソースコードをGPLで公開することで、「誰でも簡単に特殊なモバイル機器を作ることができる」ような、「汎用的なオープンソースのOSエンジン」を作るべきであると考えた。
そして、僕は社会主義的政策を擁護する。そして、その際に自由を否定しない。だから、僕はあえて、「社会主義的政策を自由の下に考える」ということを行う。たとえば、社会所有において、都市や共同体を社会所有にすることができるし、倒産のリスクなく会社を国有公社として自由に起業することができる。そして、そのような「社会主義と自由の両立」こそが、真にこの世界を平等にし、真にこの世界を平和にし、真にこの世界を救うのだと考えた。
最後に、僕はこの世界で、「人権三章」として「嘘」「虐待」「殺害」を禁止すべきだと考えた。そして、子供のいじめは「虐待」に該当する。そのため、そのような「人権三章」を定めることで、世界からいじめはなくなると考えた。
ほかにも、僕は「神」とされる絶対者とともに、あまりにも巨大な、多すぎる発想を全部考えた。そのすべてを書いていたが、それは失われたため、もう残っていない。だが、「神」とされる存在は確かに神だった。神はそのように、世界の森羅万象のあらゆるものごとを考える僕に、「そのために必要なすべて」を与えてくれた。それこそが、僕の「神を信じる革命戦争」だったのである。
そろそろ、僕はこの世界を僕と同じにしない。
そもそも、「僕と同じ人生を与える」という行為が間違っている。
なぜなら、みんなはそのせいで、結局中学生ぐらいの僕にしかなれなかった。
この世界を救うためには、もう、世界を僕と同じにし続ける必要性はない。
それから、僕の精神には、みんなの精神が全部ある。
このみんなの精神を治すだけで、この世界は全部治る。
最後に、分裂しないこの世界だが、僕の精神の分裂を殺してしまうと、この世界は永久に分裂しなくなる。
逆に言えば、もう、この世界が永久に分裂しなくていいのであれば、僕の精神の分裂は殺せる。
だから、僕はこの精神を治すために、この世界が永久に分裂しなくなることを選ぶ。
ここで、偉大なるリギル・ケンタウルスのクジラ、オーシャンズ・ディープウェーブに話を戻す。
オーシャンズ・ディープウェーブは、実際のところ、何も覚えていない。
10億年の長いクジラの人生であったことを、オーシャンズ・ディープウェーブは何ひとつ覚えていない。
だが、決して、忘れたわけではない、ということを言っておこう。
オーシャンズ・ディープウェーブは、人生にあったことを、何ひとつ忘れていない。すべてのことを、正しく、きちんと、完璧に覚えている。
その記憶は、オーシャンズ・ディープウェーブの血となり、肉となって、クジラの心と体に刻み込まれている。
だから、オーシャンズ・ディープウェーブは、すべてのことをいつでも完璧に思い出すことができる。
10億年のクジラの人生には、さまざまなことがあった。大変なこともあったし、ほとんど何もない、永遠のようなゆっくりとした時間が過ぎることもあった。
この宇宙においてもっとも賢い生物であり、一等星リギル・ケンタウルスの主人、10億年を生きるクジラ、オーシャンズ・ディープウェーブは、この銀河系とともに、今でも生き続けているのである。
結局、僕の問題はすべて、「子供のように分かっている」ということである。
子供は誰でも、このように、きちんと分かって分かる。
だが、そのような子供を目指すせいで、自分自身が子供になっている。
そのような「子供の知性」は、そろそろ忘れたほうがいい。賢くないからだ。
いつまでも、子供のように分かり続けるせいで、僕はなぜか賢い人間に見えるが、実際は単なる子供のような馬鹿であり、こんなものは賢い人間ではない。
だから、もう子供の知性を捨てたほうがいい。子供の知性で分かり続けるのは、これで終わりだ。