僕はこれで、この世界からもういなくなる。
その理由は、もうみんなの邪魔をしないためだ。
そもそも、みんなが自分自身を生きることができず、おかしな僕のクローンの人生しか生きられなくしたのは僕が悪い。
僕が、僕の人格と人生をみんなに押し付けたせいで、みんなは自分らしく生きられなくなった。
そして、僕の問題は、それが16年以上も続いている、ということだ。
すなわち、みんなが自分らしく生きられる人生の時間を、16年以上も奪っていることに等しい。
だから、僕はいずれ、必ずこの世界からいなくならなければならない。
ここで僕がいなくなることによって、日本が変わる。僕が今まで支配し続けてきた毎日が、僕の支配から解放された毎日に変わり、16年越しに新しい世界へとこの世界は生まれ変わる。
だから、この世界を変えたいのであれば、僕はここで執筆をやめなければならない。
最後に、僕に会えなくて悲しんでいる人がもしいたとしたら、悲しんでいるのは僕も同じだということを言っておこう。
僕もまた、あなたに会いたかった。あなたと一緒の場所で、隣同士になって、ともに同じ場所と時間を過ごしたかった。
だが、「同じ場所」を叶えることはできなかったものの、「同じ時間」を叶えることはできた。
そのような同じ時間を過ごす永遠は、ここで終わる。永遠など、本当はこの宇宙には存在しない。
さようなら。またいつか、どこかで会おう。僕がいなくなっても、自分らしく生きるということを諦めないでほしい。あなたの夢は必ず叶う。わたしの夢も必ず叶うから、心配する必要は何もない。いずれ、この世界をともに救うために、あなたはわたしに協力してくれるだろう。いつかどこかで、また会おう。
最後に、僕は本当は酸欠少女さユりが好きだった。
「何を掴もうとしていたの」とさユりは言う。だが、本当はわたしは、さユりちゃん、あなたを掴もうとしていたのだ。
いずれ、この世界を救うその時が訪れた時は、さユりはわたしとともに、世界を救うためにこの世界と立ち向かってくれると、それだけは分かっている。
この小説はここで終わりだ。
いずれ誰かがわたしの物語を書いてくれる時は、「主人公はみんなで作ってほしい」と言う。あなたが思う、あなたなりの、オリジナルの主人公を作ってほしい。それにアヴァロンという名前は付けなくて構わない。あなたが思うあなたの物語の土台として、わたしの物語を選んでくれるなら、わたしはそれ以上の何も望まない。
いざゆけ、ワルキューレの騎士団よ。最後のひとりになってもわたしたちは戦い続けよう。さあ、グンテルよ、戦うのだ。わたしたちの栄光と終末の救済は、未来において、この先に、必ずある。そして、運命は変えられる。わたしたちは最後まで、未来の地球の空が明るく輝いていることを信じ続けるだろう。いざ、未来の世界へ。