Assy著
2008.09.21執筆
シュバルツは昨日から不機嫌だ。
何かあったらしいが、誰も気にしていない。
どうしたのだろう。
恋人のシェーラはというと、いつも忙しくて、何も周りのことを考えられていない。
静かなゆっくりとした空間が大好きなシュバルツとは対極だが、ベストカップルだ。
シュバルツは最近誰とも話していないようだ。
一人で何かを頑張っている。
なんだろうか。彼はいつもそういう人間だ。
話すときには何でも何でも話すのに、話さないことは一切話さない。
責任感が強すぎる。彼はもっとのんびりした方が良い。
それはそれと、ペルシアは次第に悪くなってきている。
分裂の可能性が現れてきたのだ。
彼らは今までずっと団結してきたが、そろそろ個別化を感じてきているようだ。
どんなことになるのかは、誰も分かっていない。ただ、議論がその方向に進んできている。
危険だ。
これでは絶対に、ペルシアの領土が完全に分かれてしまいそうだ。
彼らの議論は、まさに、次第に不信感を増している。
それぞれが自分の好む人間を味方にしている。敵が増えた。このままでは党が分裂してしまう。
どうやら、全員がそこまでの幸せを望まなくなっている。
むしろ、幸せがどうでも良くなってきた。次第に誰もが正義を主張してきた。
そして、真実や正しささえ彼らはもう追究しなくなった。
彼らは最も危険なことをしようとしている。分裂するための内戦が起きそうだ。
今まで、この星には、ずっとずっと長い間戦争というものが無かった。彼らは、もう話し合いを好んでいない。
このままでは戦争になる。
あれから何ヶ月か立った。確かにペルシアはもう分裂寸前だが、そこまで悪い経緯を辿っていないようだ。
とにかく、それぞれが、グループになってルールを作り出した。
彼らは、全員が、もう他の人と一緒を目指していない。孤立と自由を目指し、仲間同士で自由に気ままに、しかしながら真剣に挑戦しようとしている。ペルシアは、これを認める議論をしている。
もうペルシアは成り立たないだろう。彼らは孤立を目指した。分裂していく。
だが、全員が、帰る場所を考えていない。いつかペルシアに帰りたくなったとしても、そこにペルシアはないのだ。
その議論が無い。皆このままでは、いつか破綻するだろう。それでもしたいようだ。
彼らはもうペルシアの無い世界を生きたいようだ。
彼らは、ペルシアに戻りたくなったとき、一体どうするのだろうか。
もう一度団結してペルシアを作り出せるだろうか。無茶だ。彼らは間違ったことをしているのではないか。
それでも、これは皆の望みだ。望みは叶えられるべきだろうが、しかし・・・
帰る場所が無い寂しさは一番私が良く分かっている。私は、ペルシアが無かった頃から、この星を知っている。ペルシアが出来るまで、幾多の苦難が合った。奇跡とも呼べるこの国は、全員での議論と調和を目指し、世界を統一できた偉大な国だった。
もうそれは無くなる。
この後はどうなるのだろう。シュバルツの将来が心配だ。
あれから10年が経ったが、この地球は素晴らしいことになった。
まさに、分裂した上で、ペルシアこそなくなったものの、ペルシアと呼ばれる地域が残った。
あの地域は、全員を受け入れる。仲間を探したければ、絶好の場所になった。
シュバルツはというと、やはり考えすぎている。いつも恐れてばかりで、不機嫌だ。
どこの国も好んでいない。彼は保守派だった。
しかたなく、タジカと呼ばれる国に住んでいる。ここは、一番静かで、ゆっくりとした国だ。
タジカで過ごすのは楽だが、シュバルツは議論が無いタジカが嫌いなようだ。