Assy著
2011.05.12執筆。
レオンは何もかもつまらない。中学校に行きたくない。
つまらないほど馬鹿しか居ない。
日本もアメリカも自由もパソコンも全部嫌いだ。
ゲームや漫画も嫌いだから終わっている。
日本はインターネットばかりの世の中になった。
そういうところが意味が無い。
◇◇
ディアスという青年が居た。
大学生で、やることが無い。
大学は簡単だった。
いろんな事を考えるから、読んでもすぐに分かる。
◇◇
そのうち、レオンとディアスは、
ディアスの兄がレオンの中学校の先生だったことから、
適当に知り合った。
レオンは研究の能力がある。
学習心が旺盛で、何でも試すことが好きだ。
ディアスの言うことは難しい内容が多いが、
探究心のあるレオンにとってみれば、
面白い先生で、すぐに親友になった。
◇◇
レオンはいつしか、学校よりもディアスや大学生と話すことの方が面白くなった。
メールアドレスを交換して、メールで話しているうちに、どんどん友達が増えていった。
◇◇
そのうち、レオンは国に対して何かがしたくなる。
自由な国も、平等な国も、支配する国も、それぞれ何かが良いはずだと思うようになった。
でも、独裁者や、悪い人間、悪い国、悪い社会、悪い制度、悪い環境は嫌いだった。
どんなことをすれば良いのかを考えているうち、いつしか、ヨーロッパの国に行ってみたくなった。
◇◇
アメリカに行きたい、とディアスにメールすると、
ディアスの返事では、あんな国は駄目だ、という返事が返る。
ディアスは政治のことは分からないが、外国はどこも嫌いだ。
みんなをアメリカにしているアメリカを悪いとディアスが言うと、
レオンは、自由で他民族国家であるにも関わらず、
世界のことに対してきちんと何かをするアメリカは賢い、と思った。
◇◇
そのうち、今度は料理をやりだしたり、ピアノを弾きたいとか、
果ては猫を飼いたい、それからコンパイラを作りたいだとか、恋人が欲しいとか、
南太平洋に行きたいとか、ありもしないことをいくらでも言うレオンが、
ディアスは鬱陶しくなった。
◇◇
レオンはそのうち、ディアスとは縁が遠くなる。
メールの知り合いの中で、外国人が居た。
フランス人のクロード。
きちんと日本語が出来る。
日本語でレオンが、「どんな国ですか」と言うと、クロードが答える。
「町並みは綺麗だけど、それくらいかな。あるようで何も無い、古い国だよ。」
クロードはさらに書いた。
「君には、フランスは悪い。アメリカやイタリアも悪い。
ドイツやスイスに行くと、君みたいな、保守派の賢い人が多いと思う。
僕はそんなにどの国も知らないけど」
レオンは、この外国人が怖くて、あまりメールはしない。
そのうち、自分からインターネットで、英語で外国のサイトを見るようになった。
でも、ニュースサイトぐらいしか分からないし、英語の能力は何も無いから、
アメリカのニューヨークタイムズを見ても、何にも分からなかった。
◇◇
そのうち、レオンは中学校を卒業すると、
高校で、すぐに一人の女の子に恋をした。
レナと言う。いつも、目が綺麗で、いてもたってもいられなくなって、
学校の勉強がさらにつまらなくなったが、きちんと告白した。
レナは、驚かなかった。すぐにメールで返事をした。
こういう内容だった。
「あなたは素直で、心が綺麗な人だから、
友達からなら、つきあっても良い。
私は何にも無い女だけど、気が強いから、
あなたみたいな純粋な男の子と、うまくいくか分からないなあ」
そういうわけで、自然に何ヶ月か経つと、
二人は毎日のようにメールをして、それなりの普通のカップルに進歩した。
◇◇
レオンには、いつか日本を良い国にしたい、
それから、外国を見て回りたい、という探究心みたいなものがあった。
でも、あまり不用意に何かを変えたくなかった。
「継続が大切だ」、それだけを分かっていた。
◇◇
レナとは何年も上手く行っていた。
レオンはそこまで純朴ではなく、色々と勇気や自尊心が強いところもあった。
レナとの恋愛は、高校を卒業して、工業大学へとレオンが入学するところまで続いた。
レナは、大学や専門学校へは行かず、仕事をするつもりだったが、
そこで、レオンが言った。
「僕と君とは、きっと一生うまくいく。結婚して欲しい」
レナは、嬉しかったが、レオンにこう言った。
「その言葉は最高だけど、それなら、生活を考えましょう。
結婚は、あなたの仕事が何かに決まってからね」
レオンは、工業大学なら、どこかの技術系の会社に入れるはずだと考えていた。
恋愛はその後も順調に続き、レオンは、東芝の設計者になって、レナと結婚した。
◇◇
結婚式で、最高の栄光を掴んだ2人にとって、怖いものは無かった。
金も入るようになって、2人は、念願の海外旅行である、ラスベガスに行った。
何も怖くない。世界中に行きたい。
でも、結婚してしまうと、子供の教育や、生活の安定も考えなきゃいけない。
◇◇
アメリカ、ヨーロッパ、中国、どこも行きたいのだが、
いつまで経っても、東芝の仕事に追われる。
レオンは楽観的に考えていた。いつか時間が出来る。
出世もして、いつか何かの職業につけるはずだ。
生活は楽になった。子供もきちんと出来て育つだろう。
◇◇
そのうち、レナが言うようになった。
「あなたは、きっといつか国際的な頭の良い人間になって、
大きなことをするようになる、いや、すべきだと思うわ。
何か、政治塾にでも入ったらどうかしら」
レオンには、そんなことをする余裕は無い、ようで、結構あった。
政治塾とは言わないが、本を買うことが多い。
読んだ本は3分の1ぐらいで、適当に積み重なった。
◇◇
そのうち、子供が出来た。女の子で、オペラという。
その子供を守ることが第一だ。
レオンは、子供を英会話学校とピアノの教室に入れた。
そのうち、自分でも英語を頑張るようになった。
英語を聞いていると、何故か頭が楽に治る。
◇◇
オペラの英語はあまり出来なかったが、
レオンは英語を自分で書くことぐらいは出来るようになった。
アメリカ人の言っている英語も、結構色々良く分かる。
インターネットで英語の新聞を拾い読みしたりしていると、
アメリカが結構賢いのが良く分かる。
それくらいで、レオンの人生は終わった。