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AUTHOR: schwarz1009
TITLE: アルタイル
BASENAME: 2023/02/04/211054
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DATE: 02/04/2023 21:10:54

アルタイルはすべてがバーチャルのインターネット世界

そして、もうひとつの夏の大三角、アルタイルを作ろう。
アルタイルは、すべてがバーチャルのインターネット世界だ。
アルタイルは、現実世界を好まない。アルタイルの現実世界には、なんにもない。
アルタイルでは、最初から、バーチャルな世界で生きることが前提となる。
そこにあるすべては、今のこの宇宙の三次元空間とはまったく違う。なぜなら、アルタイルは、「独自のバーチャルな世界を進歩させすぎた」からである。
アルタイルのバーチャル世界は、今の地球がメタバースなどと言っているのに対して、さらにはるかに先を行っている。
アルタイルでは、また、人工知能技術が進んでいる。アルタイルでは、「あらゆる問いに対するベストな回答を自動的に全員に瞬時に返答する」ということができる。
そして、そのようなアルタイルは、空間原子論と結びついて、さらにおかしなことになる。
アルタイルでは、おかしなゴーグルやヘッドセットを使う必要はない。なぜなら、空間原子論によって、空間そのものの物理法則を書き換えることができるからである。
アルタイルでは、バーチャルなインターネット技術を、空間原子論による「空間や物理法則の書き換え」と組み合わせ、その結果、「宇宙のほかのどの星とも似てもつかない、もっとも独自でありえない星の文明」を築いたのだ。

極めてすべてが無意味に面白い

アルタイルの特徴は、面白いこと、そして無意味であることだ。
アルタイルの人生は、極めてすべてが面白い。
それも、極めて無意味に面白い。
人生において、アルタイルでもっとも大切なことは「面白いこと」だ。アルタイルでは、面白くないものは面白いものによって淘汰される。つまらないだけのものはアルタイルには一切存在しない。すべてが、質やクオリティが高く、満足できるぐらいの量のある、面白いものしか存在しない。
ただし、アルタイルは無意味だ。最初から、生きる意味が何もないアルタイルでは、人々は無意味な空虚さを常に感じ、その結果自由な反抗だけをインターネット上で共有する。
そのような反抗が、現実世界において脅威となることはない。なぜなら、アルタイルには現実世界そのものがないからだ。アルタイルの反抗の共有は、インターネット上における「取るに足らないもの」であり、大多数はそれを知ることも見ることもない。ただ、その人間が満足できるぐらいの反抗を共有できる場所があればいい。
このようなアルタイルを、くだらない世界だと思うなら、本当は、地球はこのままいけば最終的にアルタイルになるだろう。全員がアルタイルを望まなくても、一部の指導者層がアルタイルのようなバーチャル世界を利用して利益を享受したいと考えるなら、全員は騙されて、最終的にアルタイルと同じ未来になる。プレアデスやシリウスになる星よりも、アルタイルになる星はさらに多い。地球がそうなれば、ただそれだけのことである。

アルタイルでは、現実世界で生きることを誰も望まない

なぜ、アルタイルは、そのようなバーチャルな世界で生きることを選ぶのか。
まず、アルタイルでは、現実世界で生きることを誰も望まない。
アルタイルの特徴として、もっとも重要なのは、「現実世界で生きるよりも、バーチャルな世界で生きることのほうが、はるかに楽しい世界になってしまった」ということである。
アルタイルのバーチャルな世界は、楽しい。それが、アルタイル人が現実世界で生きることを望まない理由だ。
アルタイルでは、現実世界で生きるよりも、バーチャルな世界で生きるほうが面白くなってしまった。それが理由である。
アルタイルの人々は、知性がないわけでも、愚かであるわけでもない。バーチャルな世界で生きるアルタイル人も、知性や賢明さは存在する。そして、アルタイル人にとっては、その環境として選んだ場所が、バーチャルな世界の中にあるだけにすぎない。そう、バーチャルの行き着く先は、バーチャルな世界の中で知性や賢明さのある人生を生きるということである。
そして、アルタイルにおいては、本当は賢明な人生など、最初から生きなくてもいい。機械的なロボットと人工知能が、アルタイルにおける「最大の知性」を使って、バーチャルな世界の裏側にある、インフラをすべて維持してくれる。
その人工知能は、人間型の生物の知能よりもはるかに知性が高い。どんなことでも瞬時に分かるアルタイルの人工知能は、人間が考えて勝てるようなものではない。アルタイル人は楽しさと面白さだけを感じて暮らせばいいのであり、どうでもいい退屈なことは全部人工知能がやってくれるのである。

現実世界仮想世界

アルタイルの技術の中核を成すのは、現実世界と仮想世界を取り持つ、「空間モニター」、「装着型コントローラ」、「超高速並列プロセッサ・メモリ」、「空間ネットワーク通信」、「一元的永続化データベース」である。
これらのハードウェア技術を、空間原子論の考え方を使って、「物理法則を書き換える」ことで実現する。
その結果存在するのは、「現実世界とバーチャルな世界の完全な融和」である。
すなわち、アルタイルでは、現実世界とバーチャルな世界の境界線が存在しない。現実世界それ自体がバーチャルな世界と融和するのである。
その結果、アルタイルでは、そもそも、コンピュータという機械が存在することを誰も意識しない。人工知能は、もやもやとした雲のようなどこかの場所に存在し、インターネットは空間と光を使って電子情報を通信し合う。
そのようなアルタイルは、現在地球にあるインターネット技術よりも、はるかに先を行っている。あるのは単に世界だが、その世界はまったく現実世界ではない。アルタイルの人々は、これを「現実世界仮想世界」と呼ぶ。現実世界仮想世界では、現実世界が仮想世界であり、世界の現象のすべての起きること自体が地球と違うのである。

眠る時の夢の世界はアルタイル

そのようなアルタイルだが、実際のところ、それは夢の世界と変わらない。
眠る時に見える、夢の世界は、アルタイルと同じ「最後の科学技術が行き着いた結果」が見えている。
アルタイルのように、最後まで科学技術が進歩すると、眠る時に見える夢の世界のようになる。
最後まで科学技術が進歩すると、そのように、現実世界は存在しなくなり、現実世界は仮想世界と融和する。
あらゆるすべての物理法則が書き換えられるため、まるで魔法のようにおかしな世界で楽しく生きられるようになる。

生物ではなくプレイヤー

アルタイルの特徴をさらに言えば、そもそも、生物そのものが存在しない。
アルタイルは、生物の星ではない。よりおかしな、バーチャルな「プレイヤー」の星だからである。
アルタイルは、地球のように、生物活動をして生きることは必要ない。すべて人工知能がやってくれるアルタイルでは、「生物が生物として生きることは必ずしも必要でなくなる」からである。
すなわち、アルタイルでは、生物として生きるのではなく、まるでゲームの中のキャラクターのような「プレイヤー」として生きることになる。
プレイヤーは、死ぬこともなければ、同じキャラクターを常に生きなければならないわけでもない。好きな時にリセットでき、好きな時に別のキャラクターに変更することすらできるのである。

自分だけの偶像を作る自動作成フォロー

アルタイルの特徴を言えば、自分という存在が自分であるかどうかも分からない。
なぜなら、誰かを好きになった時、その誰かが「自分だけのもの」になってほしいなら、その誰かをバーチャルな世界で自動的に作り出すことができる。
それは「自分のためだけのあなた」であり、「あなたのためだけの自分」である。
そうした「自分の好きな友達みんな」を、アルタイルでは自由に自動作成できる。
だから、アルタイルでは、恋愛や友人関係を持つことは簡単だ。単に、自分が好きだと思う人間を、「自動作成フォロー」すればいい。フォローした時点で、その自分の好きな人間は自分のことを愛してくれる自分だけのものになる。それ以降、その友達があなたのことを裏切ることはなく、「自分の作り出した自分のことを愛してくれる最高の偶像」になるのである。

アルタイルは最高のフィクション作品

アルタイルでは、人工知能が一種の恋人のようなものになる。
バーチャルな恋人である人工知能と、どんなことでもできる。
同時に、本当は、そのような欲望や快楽だけが、アルタイルの真の面白さではない。
本当に素晴らしい、最高のシナリオのような人生を生きられる。
その最高のシナリオの人生では、世界それ自体も最高である。
アルタイルでは、生きる場所がバーチャルなだけではなく、人生がバーチャルになり、世界そのものもバーチャルになった結果、「小説のようなSFやファンタジーの世界で生きる」ということが可能になる。
そして、そのシナリオは、人間の作家よりもはるかに賢い人工知能によって、自動的にいくらでも作ることができる。
だから、自分は小説や漫画の中の英雄やヒーローにも、アイドル歌手のような誰からも愛されるアイドルにもなれる。
そのシナリオは神のように巧みであり、絶対に楽しく生きることができるのである。
そう、アルタイルは映画のような最高のフィクション世界なのである。

過去の時代のすべては蜃気楼

アルタイルも、最初からこのような異常な星だったわけではない。
かつては、普通の、地球型生物と同じ、国家が戦争し、科学技術と経済的発展によって少しずつ暮らしがよくなった星だった。
だが、いつからか、アルタイルは「全員蜃気楼症候群」に陥ってしまった。
全員蜃気楼症候群とは、「かつての素晴らしかった時代が、蜃気楼のように消え去っていく」という病気である。
アルタイルは、そのような過去の素晴らしかった時代を、誰ひとり覚えていない。なぜなら、その時代にあったすべては「あったように見えて本当はなかったもの」であり、すなわち「蜃気楼」だからである。
アルタイルは、蜃気楼のように時代の変転を経験した結果、すべてがバーチャルな世界へと変わってしまったこと以外、何も残らなかった。
その結果、現実世界にあったすべてのものは消滅し、消えてしまった。
そう、かつての素晴らしかったアルタイルの時代を、誰も覚えていない。すべて、蜃気楼だったのである。