AUTHOR: schwarz1009
TITLE: 平和が良い
BASENAME: 2021/02/13/123448
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DATE: 02/13/2021 12:34:48
CATEGORY: 平和
CATEGORY: 未来
CATEGORY: ハレルヤ
結局、平和が一番良い。
争いがなくなり、
全てが平和になれば良い。
ここは、未来の地球。
全ての国家はひとつの世界政府となり、
緩やかで自由な連合が、
巨大な生産能力で全てのものを生産する。
科学技術が飛躍的に進歩し、
過去に人間のしていた仕事は全て、
自律制御の機械と人工知能が行う。
未来のコンピュータは、
眼鏡、イヤホン、マイクの形をしていて、
音声認識で命令を入力し、
眼鏡の中に見える拡張現実に出力を表示する。
これがインターネットに繋がっていて、
世界中の全ての機械に指示を出したり、
機械の稼働状況を確認したり、
別の人類と会話やゲームができるようになっている。
また、食べ物は、
新しい「完全食」という料理が作られる。
炭水化物とビタミンやミネラルを
ミックスしたこの食べ物は、
全ての栄養分がありながら、
健康的で、そして美味しく、
どんな味にも変えることができ、
食材はどんな炭水化物でも構わない。
自律型の制御機械、
すなわちロボットアームのついた、
人工知能の運搬作業車が、
この完全食を完全自動的に大量生産し、
その拠点はコンビニ並みにどこにでもあるため、
いつでも好きなだけ食べられる。
未来において流行っているゲームは、
時代移動と呼ばれるゲームである。
インターネット上のストアから、
無料でダウンロードできるこのネットゲームは、
自分の見ている世界を変えることができ、
これにより、
江戸時代にも、古代ローマにも、
革命期のフランスでも、恐竜の時代でも、
未来とされるどんな時代の世界にも、
友達や家族を連れて、
みんなで世界そのものを移動することができる。
このゲームはオープンソースで開発されており、
その内実はプラグイン式の3D画像ファイルであるため、
ほかの「世界定義ファイル」を導入することで、
事実上、無限に訪れることのできる世界を増やすことができ、
たとえばハリーポッターの世界に行って、
ハリーとともにホグワーツの生活を楽しむような、
プラグインが多数提供されている。
また、ひとりの日本人数学者が発明した、
未来のプログラムがある。
それは、「科学的思考自動化」というプログラム。
このプログラムでは、
科学者が普通行う、
仮説、実験、推論、検証、説明、発見、発明という、
思考のあらゆるパターンを網羅した、
さまざまな小さなプログラムを組み合わせ、
全体で総合的制御を行うことで、
科学者の全てを自動化する。
実際のこのプログラムは、
まるで、「仮想的なひとりの科学者を作る」に等しい。
このプログラムがあることで、
人間はなんの努力もしなくても、
次々に科学的な新発見が生まれる。
このプログラムは、
それぞれの連合の最高制作責任者の中心となる、
中核コンピュータ「ハレルヤ」に採用されている。
しかしながら、ハレルヤという人工知能があるからといって、
コンピュータに人類が支配されるわけではない。
ハレルヤの設計の基本は、
人工知能を搭載したデータ解析コンピュータにすぎない。
ハレルヤはあらゆる世界中の機械の情報を、
IoTによって集約し、
いつどこで何が行われているか、
全ての事実を知っており、
問題がある箇所を即座に修正する。
これにより、「何も矛盾や間違いの一切ない世界」が実現する。
平等な再分配を行いながら、
格差なく正しい科学技術の発展と進歩を行い、
過去よりも未来が悪い世界になることは絶対にない。
また、未来においては、
妊娠しない性行為が簡単にできる。
結婚や子育ては、したい人間がすればいいのであり、
なんでもできる未来において、
唯一の動物的な快楽はセックスだけになる。
未来の地球では、
人間は生まれて死ぬまで、永遠に自由である。
他人の自由を奪わない範囲なら、
何をしてもいい。
何もしなくてもいい。
しかしながら、法律を犯したら、
ハレルヤが即座に制裁を与える。
人を殺そうとした瞬間に、
ハレルヤはその人間を電気ショックで死刑に処する。
しかしながら、ハレルヤに怯える必要はない。
ハレルヤはその人間が犯罪を犯そうとした時、
即座に警告し、
警告を無視すれば全ての力を使って対抗措置を取るため、
電気ショックで死ぬ人間はひとりも生まれないからである。
また、そのような時、
ハレルヤは警告だけでなく助言をする。
すなわち、
「人を殺すならゲームの中でしなさい」と、
ハレルヤはアドバイスする。
しかしながら、こんな未来は最悪だ。
どこで僕らは間違えたのだろうか。
Windows以上の発展は、
全部間違いだったのだ。
できないなら、できるまでやりなさい。
それが、ピアノやデザインの最後のコツである。
分からないなら、分かるまで考え続けなさい。
言葉の権力者に、心を奪われるな。
もはや、彼の「大いなる戦いの修行」は終わった。
ここから先、彼は僕たちを助けてくれない。
自分で判断し、自分で生きなければならない。