AUTHOR: schwarz1009
TITLE: 魔法少女アキ
BASENAME: 2020/11/21/181631
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DATE: 11/21/2020 18:16:31
CATEGORY: ケンとアキ
僕の名前はケン。
普通の男子高校生だ。
うちの高校に、おかしな転校生がやってきた。
この子の特徴は、無口で、おとなしくて、何も話さない。
名前をアキと言うのだが、
何を話しかけても、まわりと交流しようとしない。
最初のうちはコミュニケーションしようと思う友人もいたのだが、
そのあまりの交流拒絶の傾向のために、
1週間もすると、クラスの中で孤立するようになった。
むしろ、いつもクラスの中に存在せず、
どこか別の場所で過ごしているようなのである。
誰も彼女のことを気にかけなくなってから、
僕ケンは、彼女の恐ろしいところを見てしまった。
なんと、ぬいぐるみと話しているのである。
僕がそれを見たところを、アキは気付いてしまった。
この時、アキははじめて自分から他の生徒に話しかけた。
アキは「見た?」と言った。
ケンは、「何だったの、今の?」と言った。
そして、アキは「わたし、実は魔法少女なの」ということを、
はじめて明らかにしたのである。
アキが言うには、魔法の力は惑星シュバルツという星のもので、
彼女はその星からやってきたということらしい。
アキはケンに対して「そう、秘密を守れる?」と言った。
ケンは「守れるよ」と言った。
アキは、「わたしたちの味方になってほしい」と言い、
彼女はケンの家を訪れ、
その星の民族衣装に変身して、
今までの自分の生涯のことについて話した。
魔法惑星シュバルツは、
長い間平和で平穏無事な星だったのだが、
大魔王ディオニスという暴君が現れ、
このディオニスは「少女狩り」という愚行を始めた。
シュバルツに居る少女たちは、
ほとんどがディオニスによって魔法牙城デミアンに幽閉されてしまった。
この混乱から逃れるために、
アキは地球にたったひとり逃れてきた。
ケンはそれを聞いて、「ぬいぐるみと話していたのは何?」と言った。
アキは、「彼はぬいぐるみじゃないの。
ぬいぐるみの姿をしているけれど、
本当はわたしのペットのアライグマ、グリヤちゃんなのよ。
そうね。本当の姿を見せてあげて、グリヤ。」と言った。
その瞬間、ぬいぐるみは恥ずかしそうにしながらアライグマになった。
「僕の名前はグリヤ。
僕たち二人は、魔法の惑星シュバルツに戻る前に、
強力な仲間を地球や他の星でたくさん作って、
ディオニスに対抗できる勢力にしたい。」
とアライグマのグリヤは言った。
ケンは、「それで、僕にも仲間になってほしい、
ということを言いたいのだね?」と言った。
アキは、「できることなら、仲間になってほしいけれど、
しばらくの間は、魔法惑星シュバルツには帰れないわ。」と言った。
ケンは、「魔法って、どんなことができるの?」と言った。
アキは、「たとえば、天空を飛んだりすることができるわ。」と言った。
次の日、学校のクラスに戻ったアキは、
運命的な出会いを果たす。
すなわち、アキのことを追ってやってきた、
別の魔法少女、ユキが現れたのだ。
ユキは、アキとケンに加わり、
これによって、魔法惑星のことを知っているものは3人になったが、
その後、アキとケンとユキは、
ディオニスに対抗できる勢力を拡大するために、
信頼できる友人に限って、シュバルツのことを話すことにした。
人々は最初は疑ってかかったが、
アキとユキがさまざまな魔法を見せると、
「すごい、魔法使いだ」と驚愕の表情を見せ、
しだいに、この高校でユキとアキのことを知らない人間は居なくなった。
しかしながら、そこから、
シュバルツからこのことを察知した、
ディオニスの使いがこの高校にやってきた。
彼の名はロトフ。
しかしながら、アキとユキは、
むしろ、たくさんの友人が自らの勢力に加わったこともあり、
ロトフから逃げるのではなく、
戦うことを選んだ。
ここに、地球対ディオニスの戦いははじまったのである。
ケンは、剣道部の主将を務めていて、
大会で優勝したこともある、
最強の剣士だった。
誰よりも最強の剣術を持っていたケンは、
アキに、「戦うための武器はないか」と言った。
アキは、「それなら、魔法の剣があるわ」と言った。
ケンはその魔法の剣を使い、
ロトフと戦った。
ロトフは瞬間移動やテレパシー能力もあるスパイだったが、
武人として強いわけではなく、
争いごとを好まない忍者のような仕事だったため、
ケンを見て「これは勝てるわけがない」と判断した。
少し剣術を交えると、
ケンの勝利はほぼ確定し、
ロトフは負けを認めた。
ロトフは、今までディオニスがやってきた悪事を、
洗いざらい全てクラスの全員に説明した。
このクラスにはケンと同じ剣道部員が多く、
彼らは「わたしたちが集まれば、勝てる」と確信した。
ロトフが敗北を認めてしばらくすると、
今度はシュバルツから別の使いがやってきた。
彼らはアキやユキの味方であり、
ケンの強さに驚き、
「地球人はなんと強いものだ。
ぜひわたしたちの味方になってほしい」と言ったが、
ケンや他のクラスメイトは、
この判断に迷った。
しかしながら、迷っている間にさらに刺客が現れ、
なんと隙を見てユキを連れ去ってしまった。
このことに、クラスメイトたちは驚きの念を持ち、
「ユキを助け出したい」と言った。
ここで、アキはひとつ、提案をした。
「戻れるかどうかは分からないけれど、
わたしたちの力をもってすれば、
ディオニスを圧倒することができるはずなの。
だから、どうかお願い。
わたしたちと一緒に、シュバルツに来てほしい。」
ケンたちは、この涙の訴えにより、
シュバルツに行くことに決める。
「どうすればシュバルツに行けるのか」とケンは聞いた。
アキは、「その前に、あなたがた全てが魔法を使えるようにするわ」と言い、
呪文を唱えた。
「マリエッド、ロスバエル、ウメウルド、
全ての根源に存在する大いなる3人の魔法の神々よ、
わたしたちに魔法の力を授けよ。
そして、惑星シュバルツにわたしたちを転送せよ。」
クラスメイトたちは、次の瞬間、
魔法族の民族衣装を着た状態で、
惑星シュバルツにやってきたが、
その世界は酷いものだった。
焼き討ちになったとみられるたくさんの壊れた宿舎があり、
まさに「廃墟」だったのである。
しかしながら、そこに居る20人のクラスメイトたちは、
あまり驚くこともなく、覚悟を決めていた。
「さあ行こう。
わたしたちはディオニスの牙城へと向かう20人の英雄だ。」
しかしながら、そこに魔王ディオニスは現れた。
彼らも、同じぐらいの数、20人の強者と見られる兵隊を率いていた。
ディオニスは言った。
「そのほう、わたしに対して反旗を翻すものと見える。
わたしと戦う意志はあるか。」
クラスメイトは、それに対して大きく言った。
「わたしたちの友人であるユキを返せ。」
しかしながら、ディオニスはそれに対して答えず、
配下のものに命令した。
「いいだろう、やつらを懲らしめてやれ。」
ディオニスの配下は言った。
「そうだ、わたしたちはちょうど同じ人数居るようだ。
ひとりひとり、1対1で争い、
勝ったものに対して次の挑戦者が挑むようにするのはどうか。」
ケンは言う。
「僕が最初に戦う。みんな、それでいいか。」
みなは頷いた。
しかしながら、ケンの強さはものすごいものだった。
相手が瞬間移動などを駆使して戦う中で、
たったひとり魔法の剣を使って、
どんな弱い魔法も寄せ付けず、
ディオニスの兵隊すべてを圧倒した。
結果、全てケンが勝利し、
ディオニスはこのケンの強さに戦慄を覚えて、
ケンに「わたしたちの負けだ。降伏する。」と言った。
そして、ここに幽閉された少女たちは解放された。
ユキは、「やっぱり、ケンさん、あなたは強かったわ」と言った。
クラスメイトたちは、
「さすが、日本最強の高校生剣士と呼ばれただけはある」と言った。
全ての平和は取り戻され、
シュバルツの国民と、地球の小さな高校の高校生たちは、
長い間友人関係を保ったのである。
めでたしめでたし。