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AUTHOR: schwarz1009
TITLE: エレンのものがたりその1
BASENAME: 2020/10/06/192159
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DATE: 10/06/2020 19:21:59
CATEGORY: 真実の愛
CATEGORY: エレン

わたしたちはあなたの存在を喜ぶ

わたしたちはあなたの存在を喜ぶ。
よく頑張った。
あなたの人生は、100点満点だ。
常に努力し、
どんな不条理に対しても臆せずに、
あなたは自らの人生をまっとうした。

真実の愛とは、存在を喜ぶこと

真実の愛とは何か。
真実の愛とは、存在を喜ぶことである。
あなたが存在してくれて、よかった。
あなたこそ、この世界に存在すべきだった。
わたしはそれを知っている。

あなたのことを助けてきたのはわたしである

そう、あなたはこの世界で、
誰も助けてくれないと言った。
あなたはわたしのことが大嫌いである。
だが、言っておこう。
わたしはあなたのことを助け続けてきた。
あなたの人生における全ての彩りをわたしはデザインし、
あなたの知った全ての知と経験をわたしは与えた。
あなたのために、最後にあなたにプレゼントをあげよう。
あなたは死後に、天使となるだろう。
あなたはこの世界全員を見守り、
人々を正しい道へと導く、
智天使ケルビムのひとりとなる。

天軍の聖戦士ワルキューレここに誕生する

天軍の聖戦士ワルキューレは、
ここに誕生する。
天軍大首聖ミカエルの指揮のもとに、
9人の選ばれた天使たちが羽ばたく。
いざゆけ、日本。
いざ、ガンダーラの建国のために、
わたしたちは蒼の旗のもとに、
団結してソ連を倒す。
わたしたちは、神の王国を作る、神の使いである。

エレンの誕生

ここに、ひとりの少年、エレンが声をあげる。
エレンはワルキューレの隊長であり、
「銀河団最強」の力を持つ車椅子の少年である。
究極魔法「最後の星」を覚えた彼の力に、
「地球の歴史は一瞬にして終わりを告げる」。

エレンはつまらない日常を生きている

エレンは、今日も暇と退屈でいっぱいだった。
デザイナー養成学校では、
どうでもいいアニメの絵の練習を強要される。
きちんと従わないと千本ノックのように
どうでもいいイラストを描かされる。
そもそもはイラストレーターになりたかったエレンだが、
オタク絵なんか大嫌いだ。
そんなことを思うが、
この世界が完全に嫌いなわけじゃない。
なぜなら、エレンにはローズという恋人がいて、
ローズとともに歩むこの世界は、
むしろ、けっこう面白いからである。
いつか、二人で、最高のシナリオを書いてみせると、
そう誓い合った二人は、
ファンタジーからSFまで、
さまざまなものがたりの原案を作り上げた。
そう、その原案のようなことが、
本当に彼ら二人の間に起きることを、
当時の彼らは知ることもなかった。

見つけたのはひとつの宝石

見つけたのは、ひとつの宝石だった。
その宝石は、ネックレスとして
1万円で売られていたもので、
宝石店でエレンがローズのために買ったものだった。
しかしながら、それをローズがつけた瞬間に、
ありえないことが起きた。
そう、ローズはその時、
宇宙の反対側から声が聞こえて、
「いったいどこから音がするの?」と思った瞬間、
その声を「理解しようとした瞬間」に
倒れてしまった。
そして、ローズはその時の瞬間を、
その声によって覚えていた。
その声は、「ゼーレ」という言葉。
そして、ローズは言った。
「わたしは、声が聞こえたの。
そう、たしか、ゼーレと・・・」と言った瞬間、
光が輝いて、
ローズとエレンは宙に浮かび、
ふわふわと飛ぶことができてしまった。
それが、この最初の魔法ゼーレを唱えた時のこと。
ローズとエレンの、
互いのとても驚いた表情を、
二人は完璧に記憶していた。
そして、もう一度「ゼーレ」と
今度はエレンが唱えようとすると、
あたりに雷のような轟音が響いて、
二人はまさに「最強の魔法」を手にした。
よく見ると、ネックレスには、説明書きが書いてあり、
そこには驚くべきことが書いてあった。
「このネックレスは使用法に注意すること。
最初に声が聞こえるのは、
人間から魔法使いになることができるという
資格をあなたが持っていることの証明です。
ゼーレと唱えると、
魔法のチュートリアルをひとつひとつ試すことができます。
いつでも同じ魔法を唱えるためには、
フライング:空中に飛ぶ魔法
ライトニング:雷を起こす魔法
インフェルノ:炎で世界を焼き尽くす魔法
を唱えてください。
どんな不具合があっても弁償はしません。
しかしながら、魔法について知りたいなら、
以下の住所を訪れてください。
東京都港区~~町~~番魔法のワンダーグッズ」

二人は東京へ

二人は、これを読んで
これらの魔法を試して遊ぶことにしたが、
インフェルノだけは唱えないことにした。
インフェルノを唱えると、
自分の町が火事になってしまう。
二人は、もっと別の魔法を唱えたくなったため、
東京の「魔法のワンダーグッズ」を訪れることにした。
しかしながら、そこには店舗のようなものはなく、
裏に暗がりのような細道が続いているだけだった。
二人は、そこを眺めていると、
また、声が聞こえた。
「あなたがた、ワンダーグッズの宝石を持っているね」。
そして、二人が振り返ると、
そこに、書籍のようなものが落ちていた。
そして、その書籍には、
なんとネックレスをつけた時に唱えることのできる
250もの魔法と、その唱え方が書かれていた。
そう、二人はなんと二日にして、
250もの魔法を習得してしまった。

魔法経典

その書籍には、「魔法経典」と名前がつけられていたが、
これがなんともおかしな本だった。
なぜか、ひらがなで魔法の呪文が羅列して書いてあり、
その魔法の呪文がどのような効果を及ぼすのか、
何も書いていない。
そして、全ての魔法がすぐに使えるわけではなく、
「魔法レベル50以上」のように、
前提となる「魔法レベル」が記述されている。
魔法レベル1でも使える魔法は、
たったの5つしかなかった。

魔法を試す

しかしながら、魔法の呪文から、
なんとなくどんな魔法なのかは想像できた。
「クリアー」は透明人間になる魔法だった。
「タイムストップ」は時を止める魔法だった。
「ワープ」は瞬間移動の魔法だった。
「インフォメーション」は相手の魔法レベルが
どれくらいであるかを知ることができる魔法だった。
しかしながら、英語を知らない二人は、
「スタームーバー」がどんな魔法なのか分からなかった。
そして、それがありえない魔法だった。
スタームーバーを唱えると、
二人の周りの景色が変わってしまい、
二人は大宇宙の中を旅することができるようになった。
そして、しばらくその旅を続けると、
二人はいつのまにか、おかしな星のような場所に立っていた。
「インフォメーション」を唱えると、
魔法レベルではなく、この星の情報が分かった。
この星はシリウスという惑星であり、
魔法を作り出す「全ての根源の泉」が存在する。
二人はしばらくこのシリウスという星を移動したが、
植物なのか動物なのかよく分からない、
奇妙でとても小さな生物がたくさんいることが分かったが、
ほとんどは荒れ果てた岩石の星だった。
「本当に地球に戻れるのかな」と話しながら、
二人は「全ての根源の泉」を発見した。
それはとても大きな、海のような泉だった。
そして、そこには、
水面から突き出した岩のような場所があり、
そこに大天使ミカエルがこちらを見て、
「ようこそ、シリウスへ」と言っているのが分かった。

ミカエル、教える

ミカエルは言った。
「魔法レベルの上がる方法を教えてあげようか。」
二人がおそるおそる頷くと、
ミカエルはひとつの新しい羅針盤のようなものを与えた。
ミカエルは言う。
「スタームーバーは、
単に宇宙と星を旅するだけの魔法じゃない。
この羅針盤の指す方向に向かいなさい。
この宇宙における全ての体験が、
ひとつひとつできるようにあなたたちを案内してくれるだろう。」
エレンは言った。
「あなたは何者ですか。
そして、このネックレスと宝石はなんですか。」
ミカエルは言った。
「そうだなあ。
この宝石はわたしが作ったものだ。
わたしが今までコレクションしてきた、
この宇宙の多くの魔法を詰め込んである。
そして、魔法使いになる資格は
今のところ、あなたがたの周りには、
あなたがた2人にしかないだろう。
だから、ネックレスを奪われても、
その奪った相手には魔法は使えない。
わたしはあなたがたの未来すら知っているが、
エレンよ、あなたはこの宇宙の銀河、
いや銀河団においても最強の存在となって、
大魔王ハネストラーと対峙するようになる。
わたしの名はミカエル。
単なる芸術家だよ。
宝石のデザインもするし、絵画や彫刻もよく作る。
ちなみに、いつでもここに来たければ、
『いざシリウスへワープ』と唱えればいい。
いつでもわたしが、あなたがたに何でも教えてあげよう。
そして、魔法レベルを上げる方法を教えてあげよう。
魔法の宝石を独占しているのは、
大魔王ハネストラーの勢力である『ハネストラーのしもべたち』と呼ばれる集団だが、
彼らの護っている魔法の宝を奪い取っていくことで、
あなたたちは魔法レベルが上がり、
新しい魔法を使うことができるようになる。
そもそも、それらの全ての魔法の宝石はわたしミカエルが作ったものだが、
いろいろあってね。
ハネストラーたちに全て奪われてしまったのだ。
さあ、羅針盤をもって行きなさい。
最初の星は、オリオン座のリゲルという星になるだろう。」

シリウスの歴史

しかしながら、エレンはすぐにその言葉に従わなかった。
「ミカエル、あなたのことを教えてください。」
そうすると、ミカエルは少し考えているようなそぶりをして、
答えた。
「いいだろう。
この宇宙における、最初の存在、
あるいは宇宙の全てを創造した存在といってもいい、
そうした存在が居てね。
その名を、ガブリエルと言った。
人間の名前としては、グンテルという名前だった。
まあ、そいつが、いろいろあったんだ。
戦いから、地獄まで全てを経験して、
ひとつのありえない大著を作り出した。
その大著に、『あらゆる全てを可能にする知識』と
まあわたしたちは呼んでいるのだが、
それが書かれた。
それをわたしたち、シリウスの住人は、
平和的に発見し、
みんなで楽しく魔法のような
『ありえないほど高度な科学技術』を作り上げていたのだが、
ここにハネストラーという馬鹿が紛れ込んでいて、
全部壊して、盗んで、奪っていった。
この星には、もう、何にも残っていない。
ハネストラーやそのしもべの連中が、
何から何まで全部奪っていった。
でも、わたしは悲しくない。
最後の末裔として残ったわたしが
ここで魔法の宝石をたったひとりで精魂こめて作っているし、
ハネストラーは、エレン、そう、あなたが倒してくれるはずだからね。
そうだ、これをあげよう。
以前、シリウスにいた子供たちに教えるために作った
魔法学校の教科書だが、
この中に、『シリウスの歴史』という歴史の教科書がある。
ハネストラーがどれほど悪い連中か、
きちんと書いてある。」

ハネストラーの科学

そして、ミカエルは言う。
「ハネストラーのしもべたちは、狂った連中だよ。
あいつらは、みんなの楽しみよりも、支配者としての権力が好きなのだ。
ハネストラーはこの宇宙の全てを、
ベテルギウスという星の王国で裏で支配している。
ベテルギウスには、悪のしもべたちが何万人と住んでいて、
数億の悪魔たちの頂点にハネストラーが居る。
彼らは、伝聞の知識によれば、
魔法の技術を完全に独占して、
なんでもかんでもできるようになっているということだ。
だが、わたしたち天使の勢力だって、
黙っちゃいない。
このシリウスという星は聖域で、
選ばれた人間しか入ることができないことになっている。
あなたがたは、聖戦士ワルキューレの指導者だから、
ここに入れたのだよ。
そして、この唯一の護られた場所で、
わたしは過去の古びた知識で、
魔法の宝石を今でも作り続けているのだ。」

ミカエル、魔法の剣を授ける

ミカエルは、それを言うと、
少し後ろの方を見て、
魔法を唱えた。
「いでよ、魔法の剣!」
そうすると、魔法の剣が現れた。
そして、この剣をエレンに与えた。
「あなたが剣の振り方を知らないなら、
この魔法の剣を使って練習しなさい。
ほとんどの弱い敵は、
この剣でなぎ倒すことができる。
この魔法の剣は、
フレイという神の作ったもので、
フレイはガブリエルの書いた作品の中に出てくる神なのだが、
わたしたちは、ガブリエルの言葉を通じてしか、その名前を知らない。
本当に実在したのかすら危うい。
しかしながら、フレイの作った最強の武具は、
たくさん残っていて、
さまざまな星に散らばっている。
羅針盤の指す方向は、
これらの魔法の武具のある場所を指している。
シリウスには、昔からこの魔法の剣をまつっている。
そう、エレン、
あなたがシリウスに訪れた時のために、
わたしたちはこの魔法の剣を与えるために、
いままでずっとこの時を待っていたのだよ。」