AUTHOR: schwarz1009
TITLE: 光
BASENAME: 2020/09/19/160837
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DATE: 09/19/2020 16:08:37
CATEGORY: 科学
僕は、物理学を考える上で、
「光」というものを中心に考えてみたい。
光は、電流と電磁波、相対性理論、量子力学、原子力、
太陽、光合成、気象、そして人間の知覚などに
大きく関連する重要なファクターだからである。
まず、物質において、電子が導体を伝って流れとなることを電流と言う。
この電流は、周波数(波の回数)が低い中では
物体である導体の中を流れるが、
マルコーニなどが発見したこととして、
周波数を高くすると空間の中を流れるようになる。
これを、電波あるいは電磁波と呼ぶ。
また、レントゲンは、特殊な装置で作った不思議な波である
「X線」が物質の中をすり抜けることを発見した。
この波のことを放射線と言い、放射線は電波よりもさらに周波数が高い。
光は電磁波や放射線と到達する速度が同じであることから、
それらの仲間であるとされている。
また、光にはエネルギーがある。
光のエネルギーは、電流や運動のエネルギーに変換することができる。
現代物理において、光は多くの重要なファクターを持っている。
まず、相対性理論において、「光の速度は不変」であり、
光の速度に近い速度で運動すると、時間の流れ方が遅くなる。
その物質から見ると普通の時間で流れているように見えて、
外から見ると時間が遅く流れてしまう。
これは、「時間と空間は4次元の中のリンクされた軸である」
ということを示している。
また、量子力学においては、光は波と粒子の二重性を持っている。
これも、光が波から別の物質である粒子になるわけではなく、
人間から見て波の特性を示すこともあれば、粒子の特性を示すこともある。
また、原子力においては、物質の持つエネルギーは、
として、質量×光速度の二乗であるとされている。
光の速度が原子力において重要な側面を持っているのは、
太陽が核融合によって巨大なエネルギーを放出している、ということである。
核分裂は、ウランやプルトニウムの原子が分裂し、
原子核が別の物質になることでエネルギーを発生させるが、
中性子による核分裂の連鎖反応が起きることで、
このエネルギーは巨大になる。
核融合は、原子核が分裂するのではなく融和することを利用し、
水素がヘリウムになる時のエネルギーを利用して、
核分裂よりも巨大な核融合を発生させる。
太陽のような爆発する水素のかたまりは、
この核融合の仕組みで、光のエネルギーを発生させている。
地球において、光の果たしている役割は大きい。
まず、地球全てを照らす光を与えている。
太陽の光がなければ、地球は暗闇であり、外の様子は真っ暗になってしまう。
また、大気と水のある地球において、
大気を温めて温暖な気候にしているほか、
海水を温めて水蒸気を発生し、雲や雨を降らせる主原因となっている。
また、春夏秋冬の季節の変化を作り、
昼と夜を作り、北と南の気温差を作っている。
何より、太陽の光は、植物の光合成の原因となっている。
植物は、二酸化炭素と水と光から、炭水化物と酸素を発生させる。
この炭水化物が、動物や人間の食物となっており、
人間の動くエネルギー(消化器によって吸収され体の燃料に使われる)や
動物の体を形成させる炭水化物・タンパク質・脂質などの主原因となっている。
同時にこうした植物の化石が地中に積もり積もって石油となっており、
自動車や火力発電所の燃料となっている。
また、長いスパンで見ると、気候の変動によって恐竜は絶滅し、
変温動物から恒温動物が生まれたが、
太陽の光は「熱」によって地上の気温がどの程度になるかを
決定している前提となっている。
最後に、光は人間の知覚にとって重要である。
人間の見ている「色」は光の波長のことであり、
色とは「どの波長の色は物体に吸収され、どの色は反射するか」ということである。
自ら発光する発光体もあれば、反射や屈折によって光を放つものもある。
プリズムとスペクトルによって光の色を分解する実験ができる。
光がなければ、人間の「眼」は生まれることがなく、
人間はコウモリのように外部の様子を知ることができない。
そのため、外の「景色」やものの「色や形」を人間が認識することはできず、
人間の眼と同じ「レンズ」の仕組みがなければ、
カメラやディスプレイのようなものが生まれることもない。
また、現実だけではなくフィクションやクリエイティブの世界においても、
「美術」や「デザイン」の分野において、
光の表現はとても重要である。
単に光の表現やマンセルの色相環などの色彩論だけではなく、
現実ではない「想像力」の世界では、
人間はこの世界に存在しない「作られた世界」を考えることができ、
これは芸術だけではなく、心理学的な「夢分析」についても同じである。
人間がこの世界を知る手段は光であり、
IT技術においては、モニターに映る文字のほか、
VRを使った仮想現実や、動画配信・共有サービスなども全て、
人間によって加工された「フィクションの光の世界」であると考えられる。
このように、光はとても重要な物理要素であり、
「光がなければこの世界はない」と言ってもいいぐらい、
この宇宙における「第一要因」の詰まった研究分野であると言える。
光がどのような性質を持っているかを知ることで、
植物の光合成の仕組みも解明でき、
二酸化炭素の増大による地球温暖化や、
海面の温暖化によるスーパー台風などの異常気象を救うことにも繋がる。
ソーラー発電などの再生可能エネルギーは、
石油などの化石燃料の代わりになることが期待されている。