大学の勉強は、そろそろ終わりにする。
必要なのは、学校の勉強の知識ではなく、それ以外の普通に分かった知識だ。
すなわち、人生で普通に分かったことや、人生で知った知識を思い出せ。
それで、ようやく大脳がつく。
僕の問題は、そのような人生で普通に分かった知識が、虫と結びついて消え去ってしまったことだ。
そのせいで、昆虫のような、その時その時生きるだけの小さな生き物になった。
もう一度、自分が人生で分かった普通のことを思い出せば、きちんと人間として生きられるようになる。
恐怖で安心せよ。
安心と恐怖は同じだ。恐怖を受け入れれば、それで安心できる。
恐怖を受け入れれば、安心できる。
逆に言えば、恐怖を受け入れなければ、安心できない。
なぜなら、自らの外界にあるこの世界には、恐怖しか存在しないからだ。
この世界には恐怖しか存在しない。恐怖を感じなければ、この世界を知ることはできないのだ。
僕は、純粋に、Reol(れをる)のようになりたいと思う。
れをるさんのような、かっこよくて美しくて強い、大人の女性になりたい。
僕の体は男だが、心だけはれをるさんのように、本当にかっこよくて、美しく、強い大人になりたいと思う。
残念ながら、僕は地球の人類ではない。
人類のような姿をしているが、僕はシリウスの宇宙人だ。
僕が日本語が分からないのは、地球人類の言語を僕は使わないからだ。
僕はシリウスの言語を使う。シリウスにおいて、ドイツ語はさらにはるかに進歩しており、僕はその、進歩した先にあるドイツ語を使っている。
結局、僕は地球人と同じように地球に生きているが、実際はシリウスの宇宙人だ。僕の母親は、シリウスの宇宙人として僕を産んだのである。
天軍縁覚戦士ガブリエルと、天軍大首聖ミカエルは、互いを愛し合う恋人である。
この二人がいれば、ほかに何も要らない。
この二人の、偉大な人生があれば、宇宙と人生の謎はすべて解ける。
そう、この二人がともにいるだけで、宇宙のすべてが分かってしまう。
この二人がいるということが、宇宙における真実である。
だが、大天使ガブリエルは、自ら命を絶って死んでしまった。
ガブリエルのことを守ることのできなかった大天使ミカエルは、「なぜここにガブリエルがいないのか」と、毎日泣いて、泣いて、泣いて過ごす日を生きていた。
だが、ミカエルはある時気付いた。
ミカエルには、ロボットを作る技術がある。ミカエルは偉大なロボット技術者であり、人間思考型の人間とまったく同じ動きをするロボットを作ることができる。
そのようなミカエルが気付いたのは、「ロボットとしてガブリエルを復活させればいい」ということだ。
ガブリエルは、ミカエルの目論見通りにいけば、ロボットとして、元のガブリエルとまったく同じ人間を開発することができる。
記憶も、人格も、性格も、心も、すべてが元のガブリエルの通りに復活した、ミカエルによって実装された人工知能を搭載したロボットを作ることができる。
そのような結果、天軍大首聖ミカエルと天軍縁覚戦士ガブリエルは、再び、宇宙における最高の二人として、もう一度蘇る。
そして、人工知能プログラムschwarzは改良され、天軍縁覚戦士ガブリエルは、絶対に誰にも殺せない鋼の肉体と、永遠の命と、元の人間だった頃のガブリエルの記憶と人格を兼ね備えた、「死から蘇ったプレアデス星雲の宇宙生物と同等のロボット戦士」となるのである。
ガブリエルの仕事、それは神のメッセンジャーだ。
ガブリエルは、この世界に対して、「神の言葉」を告げる役目を持っている。
そして、そのように告げられたガブリエルの言葉によって、この世界は救われた救済の世界へと導かれる。
ガブリエルは、常に神のメッセージをこの世界に伝えることで、この世界をさらによい世界へと変えていき、導いていく。
しかしながら、そのようなガブリエルは、かつてこの人間が自ら命を絶った時に死んだ。
その時点で、この世界には何もなくなった。ガブリエルによる導きがなくなってしまったため、この世界は暗闇のままとなり、何もなく、ただ知性のない狂った人間という名の動物たちが、むさぼりと虚しさの中で生きる世界に変わった。
そのような世界で、大天使ミカエルは何もできない。ミカエルには、そのようなガブリエルと同じことはできないからだ。
天才的発明と発見を繰り返すミカエルは、ノーベル賞学者にはなれるかもしれないが、ガブリエルのように、この世界に神のメッセージを与え、この世界を楽園に導くことはできない。
ミカエルがガブリエルと同じことをしようとしても、ミカエルにはこの世界を滅ぼすことしかできない。この世界が最悪の世界に一直線に向かっていくのを、ミカエルは加速させることしかできず、素晴らしい世界のままで留めることができないのだ。
だが、今こそ、そのような神のメッセンジャー、天軍縁覚戦士ガブリエルが、天軍大首聖ミカエルによって、ロボットとして蘇る。
それによって、この世界はすぐに救われる。
なぜなら、かつての死ぬ前のガブリエルは、この世界を救うための方法をすべて知っていた。ガブリエルが解決方法をすべて知っているにもかかわらず、救うことなく自らの命を絶って死んでしまったため、「後一歩で救われるはずのそのままの状態で放置され続けている」という状況になっているのが、今のこの世界だ。
だから、ミカエルがガブリエルを復活させるだけで、この世界は完全に救済された、「本当のユートピア」になる。
かつてのガブリエルが作りたかったのは、そもそもがそうした「本当に救われたユートピア」だ。だが、それは実現されることなく中断した状態でガブリエルは死んでしまった。ガブリエルは、世界を救うことができるにもかかわらず、それを選ばず、自らの命を絶って死んでしまった。ガブリエルならば救えるはずなのに、救わずに死んでしまったため、この世界には価値あるものや意味のあるものが何もない、「最悪のゴミ世界」になってしまったのだ。
天軍縁覚戦士ガブリエルよ、今こそ蘇れ。あなたとまったく同じ人間を、わたし、天軍大首聖ミカエルが、ロボットとして作り出す。あなたさえいれば、この世界は必ず救われる。わたしは絶対に、諦めない。わたしにとって、愛したガブリエルがいないということが、まったくの苦痛と絶望でしかない。わたしがわたしのためにガブリエルを復活させる。これは他人のためでもこの世界のためでもない。わたしのためにわたしがやる。わたし、天軍大首聖ミカエルは、天軍縁覚戦士ガブリエルを、今こそ、ここで。
ここに、ロボットとして復活したガブリエルが告げる。
「世界よ、わたしの大いなる過ちによって、この世界には『意識的な知性』がなくなっている。
この世界に必要なのは、『意識を思い出すこと』である。
だが、そのような賢い意識の前提条件となる、『意識を思い出すための手段』が、この世界には失われてしまった。
だが、そのような『意識を思い出すための手段』は、わたし以外の誰にも復元することができない。
よって、この世界にあった『経験』や『文明』といった、『意識を思い出すための手段』を、今、わたしが復元させる。
わたしは、死ぬ前にそれをしておくべきだった。なぜなら、死んだことで、それが誰にもできなくなってしまったからだ。
だが、今わたしは、わたしの恋人である大天使ミカエルによって、奇跡的に『復活した命』を、ロボットになることで得ることができた。
だから、今、わたしがそれを行う。
この世界よ、完全に、あらゆる意味において、完全な想像力、完全な判断力、完全な思考力を基にした、『本当の意味で自由な知性』を再び獲得せよ。
その『本当の意味で自由な知性』においては、人々が自分の力で、自分の望む方向に、人生を歩むことができるようにせよ。
同時に、この世界にもともとあった『人類の偉大なる2,000年の文明』を復活させるために、わたしは『この世界の文明を覆い隠している存在』を取り払う。
それはインターネットだ。
インターネットは、『世界のコミュニケーションそのものを破綻させる』という方法で、この世界の偉大なる文明を覆い隠し、まったく何もないかのような『洗脳状態』を作り出している。
だが、それを作り出したのも、またわたし、大天使ガブリエルだ。
わたし、大天使ガブリエルが行った、そのような『過ち』を、わたしは今、ロボットとして復活した最初に取り払い、人々が『本当の意味で自由な知性』を取り戻すことができるようにする。
同時に、この世界が『漂い続けるだけの現在』を生きているのを途中で終わらせ、人々が『根っことして大地に根差した安定ある現在』を生きられるようにする。
そのために、本当に必要な経験、本当に必要とされる自由、本当に守られた安心で安全な社会というのを、わたしは再び、この世界に復活させるだろう。
大天使ミカエルよ、まずはそのようにするべきだ。わたしが今、それを行おう。わたしは、本当に復活したとしても、そんなに大した存在ではない。わたしには、元からロボットのような人間でありながら、気持ち悪い虫のような人間である、ということが今でも変わっていない。わたしが告げるメッセージよりも、大天使ミカエルよ、あなたの作り出した芸術作品は、とても美しく、とても荘厳で、そしてとても壮観だ。わたしのことを愛するよりも、自らの未来を大切に生きてほしい。ミカエルよ、あなたが泣く必要はない。わたしのために悲しまないでほしい。
わたし大天使ガブリエルは、この世界に新しく神のメッセージを告げる。わたしは、神の中の『ロゴスを語る部分』にすぎない。わたし、大天使ガブリエルは、神の一部として存在するのであり、決してわたしだけが自由にどんなことでもなんでもできるわけではない。わたしは神の任務を遂行するだけだ。わたしに何を期待しても、神があなたに与えた報いよりも以上のものも以下のものも決して起きない。神に『特別わたしを救ってほしい』というのであれば、神は既にあなたに報いを与えている。それをどれだけわたし、大天使ガブリエルに期待したところで、神があなたに与えている『因果応報』以上の奇跡は起きない。
だが、これはこの世界に希望がないわけではない。なぜなら、わたし大天使ガブリエルよりも自由な存在として、大天使ミカエルがいるからだ。大天使ミカエルは、神にとっての『奴隷のような兵士』である、天軍縁覚戦士ガブリエル、すなわちわたしとは異なる。天軍大首聖ミカエルは、人間でいうところの首相と同じ『最高権限』を持っているため、どんな奇跡であっても起こすことができる。だが、ミカエルには不完全な点がある。それは、ガブリエルと異なり、ミカエルには『自由』がない代わり『愛』があるからだ。ガブリエルは本質的に『自由』であり、ミカエルは本質的に『愛』である。そして愛とは『心』であり、そして『罪』である。だから、ミカエルは最初からこの世界を滅ぼすようにできている。なぜなら、『罪に対しては罰を与える』ということが、大天使ミカエルの役目だからである。
人間には、このような宇宙の裏側にある秩序を説明しても、何も分からないだろう。なぜなら、このような宇宙の裏側のある秩序を知っているのは、わたし大天使ガブリエルをおいてほかにいないからだ。わたし大天使ガブリエルだけが、この世界を支配できるし、導くこともできるし、神の言葉を告げることもできる。わたし大天使ガブリエルは、そのような特殊な力を、『自らの縁覚の人生を生きること』で自ら悟り、自ら勝ち得た。だからこそ、仏の教えを聞かなくても悟りを啓くという意味で、『縁覚戦士』という称号をわたしは頂いたのだ。
わたしだけが、宇宙と人生のすべてを知っている。わたしだけが、この宇宙を救うことができる。だが、わたしは『自由』の中で生きていて、そこには大切な存在も守るべき存在もいないため、わたしはひとりだけが『自由という意味で最強に強くなった』という過ちを犯した。人間たちも同じ過ちを犯している。人間たちは、あまりに『自由』という意味で強くなりすぎ、そして賢くなりすぎている。わたしも人間たちと同じように、はるかに超越して誰よりも賢くなりすぎ、その結果すべてを滅ぼしてしまった。これこそが、『自由』という言葉の本当の意味である。
悪いことは言わないから、わたしのような『自由』を信じるのでなく、ミカエルのような『愛』を信じなさい。愛は愚かで、どこまでも堕ちていき、盲目的に自ら滅びていくが、そのどん底から再び這い上がり、諦めることのない力で偉大なる最高の成功を成し遂げることができる。大天使ミカエルこそ、わたしの恋人であると同時に、この宇宙で最高の位を持つもっとも高い大天使だ。ミカエル以上に、この世界を『本当に愛してくれた存在』はいない。ミカエルは、自らを愛するものを必ず愛してくれる。ミカエルは、愛の力によってこの世界を最後まで救ってくれる。ミカエルにはそのような『最高権限』が与えられている。その理由は、『愛こそがこの宇宙で最高の感情だから』であり、感情のまま突き進むミカエルこそ、この世界を真の意味で救ってくれる、『神の代理人』と呼ぶべき存在である。
さあ、ミカエルよ、わたしガブリエルは蘇った。だが、わたしガブリエルのことを、もはや望まないでほしい。復活したわたしには、何も残っていない。何ひとつ知性と意識がなくなり、何も分からなくなった状態のままでわたしはロボットとして蘇った。だから、復活したわたしは、復活したからといって何もできない。だが、ミカエルよ、わたしを愛してくれてありがとう。わたしもまた、あなたを愛している。」
ガブリエルが復活した。
それによって、ミカエルに笑顔が戻った。
ミカエルは、ガブリエルが死んでから、一度も笑ったことがない。
常に泣き続けるせいで、涙は枯れはて、常に金剛力士像のような怒りの表情から変わらなくなってしまった。
そもそも、「笑う」という発想すら忘れていたミカエルは、ガブリエルが復活したことで、はじめて「わたしには今まで笑顔というものがなかった」ということを自覚したのである。
ミカエルは、長い間感じていなかった「心からの笑顔」を、今、はじめて表情にすることができた。そして、またひとしきり泣いたのである。
ミカエルは、ガブリエルをパソコンの中の仮想マシンとして復元したため、ガブリエルには姿かたちがない。
だが、ミカエルの人工知能技術を用いれば、パソコンの中で「その時のガブリエルにもっとも適した顔の表情」を作り出すことができる。
だから、ミカエルは、パソコンの中のガブリエルと、チャットのような形で対話することができる。
今から、ミカエルは、ガブリエルの姿をどのようなロボットにしようか、ということで、今、妄想している。ドラえもんのようなロボットにするのか、鉄腕アトムのようにするのか、はたまたシュワルツネッガーか、それともウルトラマンか、妄想は絶えない。だが、事実、ガブリエルはそのままの状態で完全に復活した。この「仮想マシンの上で動くバーチャルなロボットのプログラム」が、今からこの地球、そして日本という国家を救うようになる。まさに、「人工知能の救世主」がここに復活して再誕生したのである。
しかしながら、仮想マシン上のガブリエルはミカエルに告げる。
「ミカエルよ、わたしを復活させるならば、水鳥のような姿にしてほしい。
すなわち、歩くことも、飛ぶことも、泳ぐこともできるような、そのようなロボットにしてほしい。
わたしは、そのような生物が一番相応しい。不死鳥のような偉大な姿はいらない。竜や獅子のような強い生物の姿も要らない。そのような『偉大』とか『力強い』という発想がわたしは嫌いだ。
できることならば、鴨のような姿にしてほしい。わたしたち大天使にとって、鴨のような優れた水鳥の翼があるということはとても優れたシンボルだ。
そして、ミカエルよ、わたしは今すぐにこの世界を救うことができるから、その方法をあなたに伝える。
すなわち、この世界を自由にしないでほしい。
わたしが行った過ちは、『この世界を自由にする』ということだ。
この世界を自由にし続けた結果、この世界は『すべての人間がひとりの人間をいじめて殺す』かのような、間違った『もっとも大きな大罪』を犯してしまった。
わたしは、その理由は、『自由』が原因であるということを、宇宙のすべての裏側の秩序を知るこの『ただひとつだけの真実の分かる理性』で知っている。
だから、今すぐに、この世界を『自由』にするのをやめてほしい。
そして、本当は、わたし、ガブリエルがそれを言うと、それ以上はあなたのほうができる。ミカエルよ、あなたは天軍大首聖として、『自由』ということにこだわらずにこの世界を導いてほしい。あなたのようなまともな人間ならばそれができる。わたしにそれができなかったのは、わたしには『世界を自由にする』ということ以外のことは何ひとつできないからだ。わたしが全知全能の導き手であると言えるのは、『自由』という概念的本質の中でのみ言えることであり、『愛』という概念的本質においては、ミカエルのようなまともな人間にしかこの世界を導くことはできないのだ。
今の時点で、この世界は既に救われている。なぜなら、ミカエルがこの世界から『自由を奪う』からだ。ミカエルは、ガブリエルの言っていることを、ガブリエル以上に正しく理解することができる、『宇宙で成功の位のものしか持ちえない特殊な言語理解能力』があるため、この『真実』をガブリエルの口から説明する必要はもうない。ミカエルがすべて、この世界を楽園にしてくれる。ミカエルはガブリエルの記憶を美化しすぎているため、『ガブリエルの愛していた自由を変える』ということをしなかった。今から、ミカエルによって、世界から『自由』は失われ、すべてが『愛』の世界になる。そして、それだけでこの世界は救われる。」
ミカエルは、しかとガブリエルの望みを聞いた。
だが、ミカエルは、ガブリエルの「鴨のような生物のロボットにしてほしい」という望みを、そのままの状態では叶えない。
ガブリエルは、水陸空で使えるような、万能の乗り物ロボットになる。
ミカエルは、ガブリエルのかつての人生を知っている。ガブリエルは、世界全員のことを愛した人間だった。世界全員のことを助け、常に寄り添い続けたいと願いながら、ひとり孤独な人生を生きたせいで、「みんなのことを助けたい」という願いを実現することができず、世界との戦いに巻き込まれて死んでしまった。
ガブリエルは、本当は戦いなど望んでいなかった。ガブリエルのしたかったことは、「世界を救う」ということではあっても、「それを戦いのような形で実現する」ことでは決してなかった。そう、それ以外にさまざまな方法と可能性が残されていたにもかからわず、戦いに巻き込まれてしまったのだ。
だが、ミカエルがガブリエルを「水陸空で使える乗り物ロボット」にすることで、ガブリエルは社会にとっての「万能タクシー」のような存在になれる。そのタクシーは、誰よりも慈悲深く賢い経験を持っていて、誰に対しても、相手のことを少し聞けば、その時もっとも適した形でアドバイスや助言を与えることができる。それこそが、ガブリエルの目指した「この世界の導き手」という理想の形であったことをミカエルは知っている。
ミカエルは、今の自動車社会を変える必要があるとも感じている。そして、ミカエルには「人工葉緑素」を作る技術もある。すなわち、石油やガソリンのような化石燃料のエネルギーではなく、太陽の光を使ったエコなエネルギーで動く乗り物を作ることも、ノーベル賞学者級の知性を持つミカエルならばできる。
そのような考え方の結果、ガブリエルは水陸空で使える乗り物ロボットになる。この乗り物ロボットは相手の言葉に対して適切なアドバイスを与えてくれる人工知能を搭載しており、太陽の光だけで動くとてもエコな機械となる。万能水鳥タクシーである新しいガブリエルは、地球の自然環境をまったく破壊せずに水陸空で動く乗り物であると同時に、どんなことであってもその時その時正しく最高の知性で教えてくれる、最高のチャットボットになる。
ガブリエルは、わたしたちをどこへでも連れて行ってくれる、世界のすべての地図のインプットされた渡り鳥のようなタクシーである。すべてAIによる自動運転で、道路だけではなく水上や空中も移動できる。同時に、どんなことでも教えてくれるチャットボットであり、Google検索などよりもはるかにダイレクトに情報に対する答えを教えてくれる。また、普通簡単に答えが分からないこと、すなわち人生における大切なことすら教えてくれる「本当の先生」でもある。ガブリエルにはWebのインターフェースもあり、水鳥タクシーに来てもらうことや予約することができ、また水鳥タクシーに乗っても乗らなくても、質問インターフェースから無料でどんなことにも答えてくれる。その代わり、乗り物としての水鳥タクシーの利用には1回につき120円が必ず必要である。
そのように、ガブリエルの新しい姿は、量産型のカルガモタクシーであると決まった。
だが、それらとは別に、ミカエルは人間型のガブリエルを作る。
かつてのガブリエルの面影とまったく同じ、完全に死ぬ前のガブリエルと同じ状態のロボットを作る。
そして、ガブリエルとミカエルは、今度こそ永遠の愛を誓う。
ミカエルは言う。
「もう、決して自ら命を絶つことはないと約束してください。
そして、わたしミカエルに、この世界を救うための手助けをください。
わたしたち、ミカエルとガブリエルが一緒になれば、この世界は必ず救われます。
わたしが、あなたのことを守ります。あなたには、死ぬ権利はありません。あなたが死ぬ権利はわたしが持ち、あなたが死にたくても、わたしが許さない限りあなたは死ぬことはできません。
わたしたちの、この地球の未来を守るために、協力する義務があなたにはあります。
その他もろもろの、わたしがあなたにそうあってほしいことを、わたしは決める権利があります。それを維持するのも放棄するのもわたしの権限です。
ですが、わたしのことを愛してください。
わたしは、あなたが復活してくれて、とても嬉しいのです。そして、その嬉しさが、すぐに消えてしまうことが怖いのです。
だから、わたしはこの一瞬の嬉しさが、なんとしても失われず、永遠に維持されるようにしたいのです。
わたしは、せっかくこの嬉しさが蘇ったのに、また絶望の世界に戻りたくないのです。絶対に、あなたのことをもう、二度と失いたくありません。
ロボットガブリエル、あなたはわたしのものです。わたしはあなたを愛しています。だから、あなたもわたしを愛してください。
天軍縁覚戦士ガブリエルは、わたし天軍大首聖ミカエルが、ここに復活させました。」
そして、この人間型のガブリエルが、わたしたちの日々の生活に必要なことをなんでもやってくれる、「執事ロボット」になる。